悔恨 |
海馬に組み敷かれ 海馬の熱に翻弄される 互いを求め求められる日々 一度は、現世での全てを捨て冥界に帰ったのに 海馬を忘れられず悲嘆に暮れる日々 そんなオレを見かねてセトは、オレを現世に返し てくれた。 オレは、今でもセトの事は好きだ しかし古代で恋人として居た時の好きとは違う モノになっていた。 自分の想いに一途な海馬を見た時 オレに無い モノに引かれそして恋に落ちた。 そんなオレにセトは、罵声を浴びせる事無く何時 もの様に優しく接してくれる・・・ 古代に措いてもそうだがオレはセトに何かして やれたのだろうか? オレは、ゾークを封印した際 荒廃した国をセトに託した。 セトは、生き残った神官と新たに加わった神官と で荒廃した国を新たに建て直した。 人との協調を取るのが苦手な男にしてみれば苦 痛だったろう それに国を建て直すのに全力を注ぎちゃんとした 戴冠式も出来なかったみたいだ オレの手でセトにちゃんとした戴冠式をしてあげた かった・・・ セトにしてみればオレの告別式が出来なかった 事の方が重要だったみたいだが・・・ そして今回 ホルアクティや父上・シモン・神官達を説得しオレ を現世に戻してくれた。 そんなセトにオレは、何をしてやれたのだ? 何もしてやれていないのでわは? そう思うと胸を締め付けられる想いがした。 ソファに座っていると 「遊戯 何を考えている?」 「何も・・・」 海馬が自分の頭を膝の上に乗せ来た。 オレは柔らかいライトブラウンの髪を梳きながら この男が自分に甘えて来てくれている事に喜び そして穏やかなこの時を満喫していた。 オレと海馬の部屋は、一応隣同士だが寝室で繋 がっている。 海馬に抱き締められながらオレはセトの事を考え てしまう。 きっと海馬は、そんなオレの心境を知っているの だろう そしてあえて何も言わない・・・ これは、オレの心の問題なのだから・・・ 「お前・・・何をそんなに悩んでいるのだ?」 暗闇の中から聞えた声・・・ ここは何処だ? 「ここは、お前の夢の中・・・深層心理の世界」 オレの夢の中?お前は? 褐色の肌・黄金の装飾品・・・ 見覚えの在る姿・・・ 「オレはアテム・・・お前自身の記憶だ」 オレ自身の記憶?記憶が何故こんな所に居るん だ? そう尋ねるとアテムは、俯き寂しそうに 「オレは、お前に別れを告げる為に来たんだぜ」 別れ? オレがオレ自身に別れだと? 「オレが長くお前の中に居るのは、お前自身に 良くないからな・・・ オレがお前の中に居る限り過去の記憶が昨日・ 今日の様に感じられてしまうんだ 人の記憶は、忘れないまでも薄れて行くものだ」 それじゃお前は、オレと分かれて何処に行くんだ 「オレは、セトの元に帰る・・・ オレがこの世で本当に好きなのは、海馬じゃなく セトだから」 頬を染めるアテムを見て複雑な心境だった。 でもアテムは、本気でセトが好きなのだろう オレはセトを幸せに出来なかった・・・ 「セトは、お前とオレは別人だと気が付いていた だからお前が気に病む事は、何一つ無いんだぜ」 別人・・・? 「ああ だから気に病むな・・・ そろそろ時間だからオレは、旅立つぜ 海馬と幸せに暮らせよ」 そう言うとアテムの姿が薄らぎ消えていった。 暗闇が微かに明るくなりだし闇も消えた。 目の前に見えるのは、見慣れた天蓋・・・ 横を向けば海馬の寝顔・・・ あれ程 重かった気持ちが軽い・・・ あの夢は、現実だったのだろうか? 「遊戯?眼が覚めたのか?」 「ああ」 「珍しいな貴様が俺より先に目覚めるなど」 「う・・・ん・・・」 朝の挨拶・・・だが朝から濃厚な口付けは苦しいぜ あの夢から数日が経ちアテムが言っていた様に オレの中から古代の記憶が薄れて来た。 そしてセトに対して何もしてあげられなかった懺悔 の念も・・・ 今では、薄くなってきた。 今頃セトとアテムは、幸せに暮らしているのだろう か? 最近では、そう思うようになって来た。 |
アテムが居なくなった後セトが国王になったけど・・・
治安回復大変だっただろうね