吹雪君の小さな野望
何時も疑問だった事がある
何時か聞きたいと思った
自分の目の前に居る兄
彼は女子寮の明日香の部屋を訪れる時は寮の正門から来る
時折、寮長達に出会うらしいのだが一度も咎められた事が無いらしい
寧ろ騒ぎ立てられた事でさえ無い
完全に女子に対して無害と認定されているようだ
(男としてこの認定はどうなのだろうか?)
彼は自分と亮の仲を応援してくれる良き理解者
「兄さん前々から聞きたかったのだけど何故そこまでして
私達を一緒にさせようとしているの?」
カチャカチャ・・・
甘味を抑えた蜂蜜を数適混ぜたハーブティを少しづつ口に含みながら
尋ねると同じハーブティを(こちらは甘味たっぷり)啜りながら更に
グラニュー糖を追加して入れよする兄 吹雪
(明日香に睨まれグラニュー糖を入れる事を断念)
「だって亮と明日香みたいな
美男美女が結婚したらきっと可愛い子供が出来ると想うんだよね」
砂糖追加を阻まれやや拗ねている吹雪
兄の言葉に頬を染めながら
私も亮も未だ未成年よvv
結婚なんて本人達の同意の元でするものなのに〜
しかも子供って気が早いわよ〜vvv
若い父親と若い母親
兄さんは若くして叔父・・・
そう想いながらも亮との新婚生活と更に子供が出来た時の生活を妄想・・・
自分と亮の子供なら・・・
ううん 亮の血を色濃く受け継いでいたら確実に美男子である筈!!
そして父親譲りの強いデュエリストとして育つのよ!
(更に膨らむ妄想)
「その子供を俺と十代が実の親として育てるの」
とんでもない事を口走る兄に明日香は
「そんな事勝手に決めないでよ!」
怒る明日香に対し吹雪はシュンとしながら
「だって〜十代は子供産めないじゃないか〜
それに全くの他人の子供育てるより兄妹の子供の方が自分との遺伝が近いかなぁーっ
て思ったんだもん」
プーと子供の様に頬を膨らませながら啜る甘味たっぷりのハーブティが何故か苦いと思った。
確かに男同士では子供は産めない
もし自分が吹雪と同じ立場だったら・・・
自分と遺伝子が近い兄弟姉妹から養子として子供を望んだだろう
解らないワケでは無い
しかしそうなるともう片親の遺伝子はどうなる?
複雑な心境だ
「明日香・・・四人で一緒に子育てはダメかなぁ?」
呟く様な提案に
「良いかも 子育てって結構大変そうだから」
まだ子育て経験が無い筈なのに既に未来の子育てを考えだしたようだ
そんな明日香に吹雪は、苦笑しつつもこのまま上手く言いくるめば
運よければ十代と共に子育てに参加出来るかもvvv
そして子供には自分や亮の事を「お父さん」十代や明日香の事を「お母さん」と呼ばせようと画策をしているのだ
2人の父 2人の母 きっと子供も小さい内は、違和感無く呼んでくれるだろうが大きくなるにつれ
どう呼ぶのかが気になる所だが今は、この無謀な野望を成就するべくいろいろと画策する吹雪
吹雪がこんな野望を抱いているなんて知らない明日香は、四人での子育てに興味をもっている
吹雪の小さな野望は、この先成就するのかは???である