Valentine of Queen

「あの〜明日香さん・・・」
オベリスク・ブルーの女子寮
たまたまオシリス・レッド寮から衣服を取りに戻って
来ていた明日香に申し訳無さそうに親友の
枕田ジョンコと浜口ももえが声をかけて来た。
彼女達の両手には、紙袋がそれぞれ握られて
いた。
紙袋の口の部分から微かに見えるのは綺麗に
ラッピングされた物体・・・
しかも1個や2個ってもんじゃない複数入っている
四角いのやら円柱みたいなモノ
それを見て明日香に思い当たる事が・・・
 
そうかもうバレンタインの時期なのね
 
彼女達が持っている紙袋に入っているのは
バレンタインチョコ・・・
 
男子に配られる義理チョコなのだろう・・・
 
「チョコを男子に配る協力をすればいいの?」
優しく微笑むと
2人は少し困ったような顔をした
「?違うの?」
 
もしかして兄や亮に渡すのかしら?
 
吹雪や亮は、アカデミアでの女子の憧れの的
そんな彼等は、掴む事も出来ない高嶺の花なのだ
なのに明日香は、彼等と親しく話しをしている
まぁ〜吹雪は、彼女に兄なのだから当然と言えば
当然だし亮は、そんな兄の親友なのだ
今まで彼等宛の手紙を何通も預かり彼女等の代わ
りに渡した事だってある
今回もそうなのだと思った
でも2人の反応は、ど〜も違う気がする
2人は、<どうしよう〜>って顔をしつつも覚悟を決めた
のか明日香の方を見やると
「明日香さんこれ下級生から明日香さんにって頼まれたの」
差し出された紙袋・・・
(まさか?冗談でしょう?)って思っているがどうも本気みたい
 
「下級生の女子や男子に頼まれましたの・・・」
明日香は一瞬眩暈を感じた気がした。
今迄女子から貰った事は、あっても男子から貰った事なんて
ないのだ
それでも『嫌だ』とは言えず明日香は、チョコの入った紙袋を
2人から預かったのだった。
翌月のホワイトデーのお返しの出費を気にしつつ・・





戻る