10十記念


 

-109-

「やぁ〜明日香!!」

いきなり女子寮の明日香の部屋に現れた兄吹雪

「兄さん今迄何処に行ってたの?」

1週間前から行方不明だった兄

又何か変な事に巻き込まれてしまったのでは無いかと心配していたのだが・・・

そんな明日香の気持ちを知る由も無い吹雪はクーラー・ボックスを肩に担いで明日香の部屋に来たのだ

しかも満面の笑顔付きで・・・しっかり日焼けして・・・

「う〜んとね ちょっと海に・・・」

そう言うとクーラー・ボックスを開けるとギッシリ敷き詰められた氷の上に何重にも巻かれた物体が

「兄さんそれ何?」

「これは十代君の為に用意したモノだよ」

嬉しそうにキッチンに立つ兄の姿

女子寮には小さいながらもキッチンがある

女の子故に料理も出来て当たり前・・・とでも言いたい様な

(文武両道?)

「明日香は御友達の部屋にでも行っててよ〜」

「えっ!!!どうしてココは私の部屋よ!!何で家主の私が出て行かないとイケないのよ!!」

そう叫ぶものの吹雪に無理矢理背中を押されて室外に・・・

困り果てた明日香は、親友の部屋に行こうかと迷いはしたものの足はレッド寮へ・・・

万丈目が以前建てた部屋へと向いていた

 

 

-10月10日-

「明日香さん夕べは万丈目君が作った部屋に泊まっていたんですね」

「兄さんに部屋を追い出されて行く宛が思いつかなかったのよ

それより翔君何処に行くの?剣山君まで」

「アニキが朝起きてから様子がおかしいドン」

「そうそう何だかソワソワして」

「だからアニキの行動を見ていたドン」

「そうしたら兄貴が何処かに行こうとしてるんです」

(十代がおかしいのは何時もの事だと思うけど・・・でも今朝って言うのが引っかかるわね

兄さんが一枚絡んでいる気がするんだけど・・・)

吹雪と十代は気が付いてない様だけど2人の仲はアカデミアでは公認なのだ・・・

(亮と明日香の様に)

「兄さんの様子も変だったから何かあるわね」

「吹雪さんも?」

「何時もどおり変なんだけど私を追い出してプチ缶詰になりながら何かやろうとしているから・・・それにクーラー・ボックスなんて・・・」

釣りで魚を入れたりジュースを冷やしたりする意外使い道が無い様に思える

しかし妹に変と言われていようとは・・・

でも翔も剣山も否定する言葉が思いつかない

2人とも苦笑するしかないのだ

「先輩・・・あそこで森に向かっているのは・・・」

「兄さんだ・・・でもあの手に持っているには?」

森に向って歩いている吹雪の手には箱が・・・

「後をついって行って見よう」

「丸藤先輩 アニキはどうするドン」

「心配ないわ 兄さんの後を着いて行けば自ずと十代に行き当たるから」

「そう言う事」

「そう言う事って・・・どう言う事ドン?」

小首を傾げつつも先輩達の後を着いていく剣山

「行けば解るよ」

翔にそう言われ渋々付いて行く

 

明日香を先頭に森の中を暫く歩く

急に立ち止まる明日香に翔が

「どうしたんです?」

「兄さんを発見したわ」

明日香の指差す方向に吹雪が・・・

自分達に背を向け何かから隠れる様にしている

「兄さん何してるの?」

急に明日香に声を掛けられビクッと背を震わせ振り向く吹雪

「明日リンどうしてここに?」

「兄さんの後を着けて来たのよ」

「吹雪さんは、どうしてこんな所に隠れているんです?」

「あそこに有るのは丼だドン」

剣山の指差す方向には蓋の開いた丼が1個置かれてあった

「あっあれは、十代君にあげる丼だよ」

「十代にあげるって・・・普通にあげればいいじゃない」

呆れる明日香に

「ダメダメ!!普通にあげちゃダメなんだよ」

そうこう言っている内に

「アニキが来たドン」

剣山がそう言うと吹雪は、皆に座る様に指示をする

「どうして僕達まで?」

「いいから・・・十代君の可愛い姿を見せてあげるよ」

(アニキの可愛い姿?どんな姿だドン?)

 

 

「吹雪さ〜ん ふぶきさ〜ん」

左右をキョロキョロしながら歩いて来る十代

そんな十代が丼を見つける

次第に表情が緩み嬉しそうになっていく

(まさか!?)

明日香と翔と剣山が驚く中 吹雪の表情も緩んでいる

「うわ〜!!マグロ丼じゃね〜か〜」

そう言うや否やそそくさと食べだす十代

(えっ!本気で食べるの?普通怪しいモノや落ちているモノは食べないでしょ???)

(普通は疑わないドンか?)

(普通 道端に落ちあるモノを食べないよ〜)

「ああ・・・マグロ丼を一心不乱に食べる十代君

君のその愛くるしい姿にどれだけ僕の心は潤いどれだけ僕の目の保養になるか

僕の愛護によって更に僕の目を楽しませてくれ!

ちなみに今 十代君が食べているのは大トロと中トロで作ったマグロ丼です」

「「「ええっ!!!そんな高価なモノを!!!」」」

何かを決意したのか明日香は立ち上がると茂みを掻き分けて十代の元へ行く

「ふぁれ?ふぁふぅかぁ?(あれ?明日香?)」

「十代 こんな所で何をしているの?」

急いで丼を掻き込み終えると

「吹雪さんに手紙で呼び出されたんだ」

そう言ってポケットから手紙らしき紙切れを出し明日香に見せる

「兄さんならそこの茂みにさっきから居るわよ

それにこんな所に丼が有るなんて変だと思わないの?」

「えっ?吹雪さんに呼び出される決まって何か食べ物が置いてあるぜ?

それにその事を吹雪さんに言うと『食べても問題無いよ』って言われたんだ」

(しっかり兄さんに調教されているのね)

(流石 吹雪さん恋の魔術師と言っているだけの事は、ある!兄貴がデュエル以外で興味引くモノをよく心得ていると言うか良く調べている)

(まさかマグロ丼でアニキが釣れるなんて今度試してみるドン!!)

明日香は茂みの方を振り返ると

「翔君 剣山君 今直ぐ兄さんをココに連行して来て」

(ひぃぇ〜実の兄を犯人扱いですか?明日香さん?)

(明日香先輩何気にカッコイイドン)

明日香に逆らえない2人は言われるがまま吹雪の脇を固め茂みから出て来る

「吹雪さん!!どうして茂みの中に?」

「ははは・・・十代君が可愛く丼を食べる姿を見て居たんだよ」

「そんなのオレの前で見てくれたっていいのに〜」

「隠れて見るからいいんだよ」

ピッシ・・・

明日香のチョップが見事に吹雪の脳天に命中

「兄さんそれは只の変態行動よ」

(明日香先輩強いドン・・・刃向わない方が身の為だドン)

「あっでも体育の後で2人だけで室内でベッドの上で汗だくになりながらの食事もいいかもよ」

(互いに汗だくになりながら十代君とベッドで絡み合うのもいいかも

ああ・・・でも体育の日って10月第二月曜なんだよね)

(兄さん・・・それって兄さんが食べるだけじゃないの?)

「体育の後ってお腹空くからいいかも〜!!」

満面の笑みの十代

「でも何で2人きりで汗だくでベッドの上なんだ?別に食堂でもいいんじゃ?」

(おお!!アニキが違和感に気が付いたドン)

(ええ!!兄貴 吹雪さんの言葉の意味理解してないの〜)

「十代 兄さんと2人きりのベッドの上での食事は止めなさい!行儀悪いわよ」

(やっぱり理解してないのね・・・十代・・・

それが可愛いといえば可愛いんだろうけど・・・)

十代の<???>マークいっぱいの表情を見て萌えに浸っている兄

そんな兄の姿を見て溜息吐く明日香

 

 

 

「丸藤先輩 今回のお話って・・・」

1010日にちなんでると思うよ

だって<目の愛護>に<体育の日(1966年〜1999年まで)>

<釣りの日(魚の異名である「とと」の語呂合わせ)><マグロの日><缶詰の日>って

1010日の行事だもんね」

「書いてるヤツ 適当に組み合わせたザウスルか?」

「きっとそうだよ」

「それ以外考えられないでしょ?この前資料読んで繋げて脳内で遊んでたから」

「「はははは・・・(冷汗)」」





書けば書くほど意味不明に・・・



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