成就

 

フ〜・・・

外を見れば満天の星

どうやら真夜中までかかってしまったのか

セトは軽く伸びをしインク壷に蓋をし葦ペンをパレットの

上に置いた

つい先程まで目を通していたパピルスを見やる

「別に今見るような内容では無いのだが・・・」

余りにも急な出来事に興奮して眠れなかったのだ

 

そう余りにも急に決まった女王アテムの結婚・・・

しかもその結婚相手が自分なのだ

 

幼い頃から想い焦がれていた相手が自分のモノになる

こんなに嬉しい事は無い

今迄アテムの美しさは近隣諸国にまで噂となり

求婚して来た王侯貴族の数はどれだけ居ただろう

その都度嫉妬していたのだ

彼女はエジプトの秘宝・・・

決して国外に持ち出してはならない存在

そんな存在が2ヶ月後には自分の妻となり自分の隣に

居るのだ

 

コンコン・・・

「セト・・・起きているのか?」

控え目なノック音と共に掛かる声

その声にドッキとさせられる

ゆっくり恐る恐る開けられた扉から覗くのは、愛しい者の顔・・・

「こんな夜更けにどうされました?」

室内に入る様に促すと

「なかなか眠れなくて・・・お前は、こんな時間まで仕事を

していたのか?」

机の上のパピルスに気が付くと申しワケなさそうな顔をする

「ああ・・・これですか先程終わったばかりですよ

立ち話もなんですから椅子に腰かけて下さい」

「しかし女王ともあろう御方がこんな夜更けに男の部屋に

訪れるなんて他の者が見れば・・・」

セトから差し出されたカップに口付けながら

「他の男の部屋ならいざ知らず

婚約者の部屋に訪れるのも良くないのか?」

こ・・・婚約者・・・

アテムのこの言葉にさえドキドキさせられてしまう

確かに婚約者の部屋なら噂されても「それがどうした?」で

済みそうだ

「女王よ 男の部屋に単身で来るなんてどんな目に遭うのか

解っているのですか?」

しかも短衣の夜着

その夜着から伸びる綺麗な細い足

アレほど長衣の夜着を着るように言っているのに目のやり場に困る

「どんな目だ?

オレは、ただ気になる事があったんだ・・・眠れなくなる程に・・・」

憂いを帯びた表情に今迄無かった欲望が目を覚ます

今抱きしめてその唇を奪う事が出来たなら

「眠れなくなる程 気になる事とは?」

「お前 好きな人居るのか?」

「? ええ居ますよ」

貴女の事です・・・アテム

 

しかしそんな事を知らないアテムは自分の表情を見られたくないのか俯きだす

「恋人が居るのに・・・オレの我儘で結婚相手にしてしまって済まない

相手に申しワケ無いから近い内に婚約破棄の発表するから・・・」

その言葉に驚くセト

セトは、俯くアテムを上向かせるとそのまま柔らかい唇に自分のを押し当てる

「!」

ガリッ・・・

「! っ・・・」

思わずセトの唇に噛みついてしまった

薄っら浮かぶ血

「なっ・・・何をする!!」

口元を押さえ目を潤ませながら抗議の声を上げるアテムに

「単身男の部屋に訪れるとどういう目に遭うのか教えてあげようと

思いまして」

冷気を宿した瞳 それに反する様な全身を覆う怒気に恐怖心を抱く

思わず腰が退ける

「逃がすものか」

 

 

 

 

 

 

 

チュクピチャ・・・

「ふ・・・んん・・・」

アテムをベッドの上に押し倒し両手を一纏めにし抵抗を封じると

貪る様に唇を重ね合わせる

逃げ惑う舌を絡め取り自分の唾液が相手の口腔内に流しこみ

混ぜ合わせる

暫くしてアテムの唇を解放すると頬を紅潮させ潤んだ瞳に飲み

込めないで口角から流れだした唾液

閉じる事無く熱い吐息を吐く口

その全てが愛おしい

その全てが手に入ると思ったのに自分の気持ちに気付いてくれず

『婚約破棄』などと口にした相手に怒りを感じる

どうすれば目の前に居る存在に自分の気持ちを伝える事が出来るのか

その術を自分は知らない・・・

知らないのなら奪うしかない

奪い気付かせるしか・・・

 

「はぁ・・・うう・・・ンンン・・・」

首筋を強弱付け吸われる感覚に思わず声が漏れる

自分でも聞いた事の無い艶めかしい声

抵抗しようにも思う様に腕にも足にも力が入らない

アテムの夜着を脱がそうと試みるが前合わせの服でもないし背中にファスナー

が有る服でもない

頭からスッポリと被る服なので脱がすのが大変・・・

セトは、アテムをベッドに横たえたまま自身を起こしサイドテーブルの上に

置かれた千年ロッドを手にする

アテムは、虚ろな瞳のまま千年ロッドを手にするセトと微かに膨らむ股間を

見ていた

 

「セト・・・オレには・・・アイテム・・・の力なんて・・・」

効かない・・・

「ククク・・・そんなのは百も承知 誰も貴女の心を操ろうなんて思ってません

これは、こういう使い方をするんですよ」

千年ロッドの羽の様に広がった一角を服の首周りに引っ掛けるとそのまま

一直線に引き裂く

夜着は、悲鳴にも似た音をたてて服からただの布キレに姿を変えた

布キレの隙間から覗く肌理細やかな肌が見え隠れする

その見え隠れする肌に指を這わすと首をすくめ身を震わせ硬くなる

アテムの躰に圧し掛かり胸に掛かる片方の布を捲ると主張する飾りを

愛おしそうに眺め指で弾き摘まみ捏ね繰りまわし吸いつく

舌先で転がす様に舐め乳房に押し込む

もう片方は、布越しに鷲掴みにし搾乳をする

痛い感覚と甘い感覚が入り混じり何とも表現し難い

アテムは、甘い声を絶える事無く上げ身を捩り感じているとセトに訴える

その声を行動がセトの気持ちを昂揚させる

空いている片手で太股を撫で上げれば筋肉がピクピクと反応をする

セトの愛撫に感じシットリと濡れた場所に指で撫でると

「こんな場所を触れる前から濡らすなんて・・・」

嬉しそうな声

「はぁぁ・・・やぁ・・・見ないでぇ〜やぁぁぁぁぁ・・・・」

閉じる事の許されない足

中心を濡れたモノがピチャピチャと音をたたて這い回る

 

何故・・・セトは・・・

オレはセトに恋人が居るなんて知らなかった

オレの所為で恋人と別れる様な事になったら・・・

ああ・・・もしかしたらオレはセトが恋人と別れる事を願っているんじゃ・・・

セトを誰にも渡したくないセトをオレだけのモノにしたい

だからセトには内緒で彼との縁談を決めたのかもしれない

 

ここ最近近隣諸国からの縁談の話しが後を絶たなかった

辟易した気持ちだった

自分には心に決めた人が居たから

その人以外誰のモノにもなりたくなかったから

 

「こんな状況下でも考え事か?余裕だな・・・」

耳元で聞こえる声に現実へと引き戻される

ジュブジュブ・・・

音と共に硬くて熱いモノが挿し込まれる

「いヤァ・・・!!!いっ・・・痛い!!やめて・・・・」

その叫び虚しく最奥まで一気に突き進められセトの腰が下肢に当たる

鉄錆の様な匂いが微かに鼻に突く

緩く強く打ちつける行為

初めての筈なのに煽動し絡みつく肉の温かさ

まるで全てを搾り出させ様としているかの様で気持ちがイイ

挿入時苦痛に歪んでいた顔に赤みが挿し生理的に流されているので

あろう涙が劣情を誘う

「セ・・・ト・・・なんで・・・」

何故こんな事するの?

「貴様は俺のモノだ誰にも渡しはしない・・・」

「で・・・で・・・も・・・」

お前には恋人が居るんだろ?

「俺には、貴様だけ・・・貴様以外いらない!!」

もしかしてオレはセトに求められているのか?

オレの想いお前に伝えても迷惑じゃないのか?

アテムは痺れる腕を何とかセトの首にまわし抱き寄せ想いを伝える

見開かれる蒼い瞳を見る事は、出来ないけど自分を抱きしめてくれる

腕の強さが彼の心を表しているのかの様に思えた

 

 

意識を手放し眠りに着くアテムを抱きしめながら

「貴様の気持ちを聞けるとは思ってもいなかったぞ」

アテムが言った『婚約破棄』の言葉に我を忘れ全てを奪うつもりが

予想外のモノを手にいれる結果になろうとは・・・

しかしそれを言うのならアテムも同じなのだろう

きっと目が覚めればこの愛しい存在は、今夜の事を思い出し赤面しながら

俺に背を向けるだろう

その背を抱きしめ今度は、俺の気持ちを貴様に打ち明け様

 

「貴様に俺を・・・俺に貴様を・・・」





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