再生-1-
非ィ現実だと思った・・・
今自分の目の前で起きている光景
無数の粒子が1ヶ所に吸い寄せられるかの様に集まる
それが時間をかけてあるモノを形成していった
神の領域を冒す行為
夢を見た
見た事の有る・・・否 見た事の無い場所
そこにあの男が居た
自分が心から求めた男が
自分を裏切り勝手に冥界に戻った男が
自分の記憶している白い肌のまま
何時もの様に学ランを肩にかけた姿のまま
何時もの自信に満ち溢れた笑みを浮かべ
「海馬 オレを迎えに来てくれないか?」
等と言ってくる
まるで俺が拒否しないと解っているかの様に
何だか悔しいので
「俺が何故貴様を迎えに行かないといけない?」
それに今貴様が居るのは冥界の筈
現世では無いのだ
「冷たいヤツだなお前」
少しふてくされた様に頬を膨らませ
「何時も事有る事にオレの事ばかり追いまわしてたクセに・・・
オレが冥界に帰った途端にポイ捨てかよ
お前がその気ならオレは、イシズの所にでも行ってペガサスかジークの所に世話にでも
なるぜ」
<遊戯>の名をあえて出さないのは<遊戯>に迷惑がかかるから
それとペガサスの会社もジークの会社も海馬の会社とは連係を取りながらもライバル社同士
海馬を困らせるにはうってつけなのだ
それを理解した海馬は忌々しい表情を浮かべながらも気になる事を訊ねた
「連中の名を出すと言うのは、貴様 現世に戻ってくるのか?」
その問いに遊戯は、少し嬉しそうに
「時間は、かかるけど戻る・・・」
だからお前に迎えに来て欲しいのだ
「何処に迎えに行けばイイ?」
その問いには少し困った様な表情を浮かべながら
「オレにもこの場所に見覚えが無いんだ」
「だったら誰が貴様をそこの場所に?」
「セトだぜ・・・セトが何かしらの儀式で使った事のある場所みたいなんだ」
セト・・・前世での遊戯の恋人だった男
微かにだが自分には、今遊戯が居る場所に見覚えがある
海馬自身が行った事無い場所
なのに何故その場所が解るのか
海馬の記憶の奥深くに眠るセトの記憶が影響している所為
不本意だが確信がある
それ故に海馬は、起きてからイシズの元に電話を入れた
イシズも同じ様な夢を見たらしい
だが夢に現れたのは遊戯では無く
自分と瓜二つの女性だった
だが内容は、ほぼ一致していたのでイシズに案内を請うた
そして今目の前に起きている不可解な現状
神官セトは、ここで何の儀式を行なっていたのか
その記憶を辿ろうにも余りにも深い所にあり
手繰り寄せる事が出来ない
だが何となくだが海馬には解った様な気がした
確信とは言えないけど
神官セトは最愛なるアテムの復活を願い
死者蘇生を行なったのだ
禁断の錬金術で・・・
しかし魂は千年パズルの中に眠っているのでアテムの復活は叶わなかった
そこでもし千年パズルを組み立てられアテムが己が使命を果たし自由になった時
時を越えアテム復活の儀式が始動する様にされていたのだ
術者が存在しなくても一定の条件さえ満たせば自動で作動する様に・・・
恐ろしいまでの執念
セトは自分がアテムの魂を追い転生を繰り返し必ず廻り合う事を確信していたのだろう
どれだけの時間を費やそうとも
海馬がイシズと一緒に遊戯を見つけた時から1ヶ月が過ぎ様としていた
海馬は、遊戯を連れ戻したかったが形成途中の遊戯を今動かせばどうなるか解らなかったので
不本意だが遊戯の事はイシズに預け自分が一端アメリカに戻った
そこで密かに遊戯が現世で困らないように国籍や戸籍の取得に勤しんだ
それは日本にいる<遊戯>達には内緒で・・・
内緒にしている理由の一つが<遊戯>が遊戯を連れ戻しに来るかもしれないから・・・
遊戯は<遊戯>には弱いのだ
彼に強く押されれば簡単に陥落されてしまう
それにもしもの事を考えて・・・
形成に失敗し魂事肉体も消えてしまうかもしれない
一度失った半身
それによって<遊戯>がどれだけ立ち直るのに時間が掛かったのか知っているから
二度も同じ悲しみを味合わせるのも酷と言うもの
それに関してイシズも理解を示してくれた
ただ彼女から
「貴方からそんな言葉が聞けるとは思いませんでしたよ」
等と言われたが自分敢えて反論はしなかった
自分でも人を気遣う言葉を発し様とは思わなかったから
だがもし<遊戯>に遊戯の事がバレてもアメリカまでは来れないだろう
その為にこの地を選んだのだから
早く遊戯に逢いたい
あの真紅の瞳に自分を写して欲しい
彼と今一度デュエルがしたい
否 デュエルだけでは無い
いろんなゲームに挑戦し挑戦されたい
彼が居れば自分は生きていると実感出来るから
それにいろんな面において彼の存在は、自分の活性に繋がるから
待ち遠しい・・・