宝物

 


遊戯がニ心別体になったのは1年前・・・

これでヤツが誰にも気がねする事なく俺の元に来ると思った。

俺は、ヤツを手に入れられると思ったのだ!!

それなのにヤツは、俺の気持ちなんぞ無視をして相棒とやらの元に行ったのだ。

俺にとって許せない事だったのだが俺が18になった暁には、ヤツは俺の元に来ると約束した。

 

遊戯が海馬邸に来る1ヶ月前には、ちゃんとプローポーズもしたし婚約指輪も渡した。

その際この俺が直々に作った謎の卵も・・・

この卵は、何が誕生するのか作り上げた俺自身でさえ解らない代物だ。

 

そして俺が18歳になった事を期にヤツを海馬邸に・・・この俺の元に来させた。

 

毎朝遊戯の寝顔を見ながら夫婦で在りながら眠る遊戯に口付ける行為が何故か背徳心を

俺に与える。

まぁ俺にしてみれば遊戯は、神聖かつ尊い存在なのだから仕方が無いかもしれない

そんな俺の楽しみを遊戯自身が奪ってしまった。

俺が起きた時隣で寝ている筈のヤツが何処にも居ない!!

もしかしたらベッドから落ちたのかと思いベッドの傍や下を探したが何処にも居ない

シャワールームやトイレの中も探した。

寝ぼけてクローゼットの中に居るのかと思い開けてみたが居ない

書斎もくまなく探したが何処にも遊戯の姿が無かった。

 

胸の中を過ぎる一抹の不安・・・

もしかしたら遊戯は、俺に愛想をつかし相棒の元に帰ったのかもしれない

海馬には、思い当たるふしがあったのだ。

情事の最中「限界だ」と嫌がり泣き叫ぶ遊戯を組み敷き何度も行為に及んだのだ。

翌日どれだけ文句を言われたかしれない。

 

そんな思いを胸に抱き部屋の外に出てみた。

遊戯が屋敷内に居る事を信じて擦違うメイドに遊戯の居所を聞いてみたが「知らない」との

返事が返って来る。

 

まさか遊戯は、もう一人の方に・・・

 

階段を降りながら考える事は、ロクでもない事ばかり

「あっ兄さまおはよう それとおめでとう!!」

朝食を済ませたモクバが海馬の顔を見ながら満面の笑みを浮かべている

何故「おめでとう」なのか疑問を抱きつつも海馬の頭の中は、遊戯の事で・いっぱいになる

もしかしたら遊戯は、早く目が覚めてしまいモクバと朝食を取ったのかもしれない・・・

そう思いながらモクバに訪ねると

「遊戯は、食堂に来てないけど・・・中庭付近には、居たよ」

モクバの言葉に海馬は、人知れず安堵の溜息を胸中に落とした。

「兄さまがプロポーズした時に渡した卵を抱き抱えていたけど・・・」

モクバが言い終わらないうちに駆け出す海馬

 

兄さま・・・本当遊戯一筋なんだね

まるで遊戯の尻に敷かれてるって感じ

これじゃ夫婦喧嘩しても兄さまは、決して遊戯に勝てないね

そう言えば公式デュエルでも勝った事無いんじゃ・・・

 

モクバは、頭を左右に振りながら今考えてた事を振り払おうとした。

そうとも知らない海馬は、リビングから中庭に出ようとした時

「遊戯!!」

磯野や河豚田と一緒に居る遊戯

海馬は、愛しい者の姿を見つけ急いで傍に近づいた。

「海馬 おはよう!!」

満面の笑みにグッと来てしまう

何と言う愛くるしさ

抱きしめたくなる。愛くるしい唇に吸いつきたくなる。

結婚して今尚夫を名では、無く氏で呼ぶ遊戯

何度も名で呼ぶように言ったが恥かしくて呼べないらしい

 

「貴様 何故こんな所に居る?」

キュ〜

海馬の言葉に返事するかのような間の抜けた鳴き声

「遊戯・・・?」

キュ〜

「海馬 さっき卵が孵ったんだぜ」

遊戯の腕に抱かれているのは、小さなドラゴン

 

よく見れば自分の忠実なる僕によく似ている

「まるでブルー・アイズにソックリだぜ」

「遊戯さまは、瀬人さまとの間に子供が出来たとハシャイでおられたんです」

これが人の子なら微笑ましい光景なのだが・・・

いかんせん遊戯は、男であり誕生したのは、ドラゴン

どう反応していいのか磯野も河豚田も複雑な心境なのだ。

 

「なぁ海馬 この子を俺達の子供として育てていいよな?」

「ああ・・・いいが・・・学校とかに入学させるのは、無理だぞ・・・」

「どうしてだ?」

「コイツが成長すると校舎内には、入れん

それにコイツの手では、筆記用具が持てんからな」

 

瀬人さまぁ〜それ以前に戸籍が取れません!!

 

声に出して訴えたい部下達を余所に誕生したドラゴンの名前を考え出す2人

ブルー・アイズに似た我が子(?)を前にこれからの子育てを話し合う2人

 

これから先どうなる事やら・・・

 



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