まどろみのなかで・・・

 


互いを激しく求めあった後で心地良い眠りにつく。

海馬がオレを求めてくれるおかげで不確かな存在であるオレは、現世に居ても良いと思える。

 

現世に復活した今でも途絶える事の無い不安。

もしかしたらオレは、今尚夢を見ているのかもしれないと思ってしまうのだ。

目が覚めたら誰も見知った人なんて居ない世界に自分は、ただ一人で存在する。

そんな不安からオレを救い出してくれるのは、優しい手でも優しい言葉でも無い。

激しくオレの心にぶつかって来て全てを奪おうとする男。

海馬瀬人。

彼の存在がどれ程オレに安らぎを与えてくれるか。

そんな男の胸に顔を乗せ彼の鼓動を聞きながら安堵する。

幸せだと思うと思わず顔がほころんでしまう。

「何をニヤけている?」

肩を抱きしめてくれる腕に力が篭り彼の方に抱き寄せられる。

「お前が居るお陰でオレは、自分を見失わなくてすむ。お前に感謝してるぜ」

急に礼を言われ海馬の蒼い瞳が一瞬見開くが、次第に細められ。

「フン・・・急に何を言うかと思えばお前が居る世界に俺が居て当然だし俺の居る世界に貴様が居て

当然。別に感謝の言葉を言う理由なんて無い」

相変わらずぶっきらぼうなモノ言いだがその声が上ずっている所を見るときっと照れているのだろう。

そんな彼の顔を見たいと思うけどきっとオレ自身の顔も赤く染まっていると思うから何か照れくさい。

 

遊戯は、海馬の胸に顔を乗せ肩に感じる温もりの中次第に眠りにつく。

そんな遊戯の安らかな吐息を聞きながら。

「貴様が今尚何に不安を感じているのか知らんが俺がその不安を消し去ってやる」

貴様が全てが俺の全てなのだから・・・



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