キッス・Kiss
チュッ・・・クチュ・・・
「・・・ん・・・はぁ・・・ん・・・」
以前スキンシップと称し瀬人とキスをして以来それが気に入ったのか事ある事に瀬人は、キスを
強請って来るようになった。
ただスキンシップとは、言いがたいキスを・・・
毎日では、無いが瀬人は、決まった時間に来る。
出来るだけその時間までに課題を済ませておきたかったのに今回は、苦手な教科の課題が
出ていててこずってしまった。
その所為で折角瀬人が来ているのに触れる事が出来ない。
瀬人は、大人しくベッドの上で遊戯が課題を終わらせるのを待っていた。
でも5分経っても10分経っても終わる気配の無い課題。
痺れを切らせた瀬人は、机の上に飛び乗り邪魔をしてくる。
(貴様 俺が傍に居るのに何時まで無視するつもりだ!!)
「瀬人 もう少し大人しくして待っててくれ」
困った様な表情を見せる遊戯。
遊戯のそんな顔を見たく無いのに・・・
瀬人は、遊戯に抱き抱えられ間近で遊戯の紅い瞳を見つめた。
血を想わせる紅い紅玉。
俺を狂わせる宝石。
瀬人は、遊戯の両頬に自分の小さな手をあてがい固定すると自分の顔を近付ける。
瀬人が何をしようとしているのか解った遊戯は、紅い瞳を瞼の内側に隠してしまう。
今もし抵抗でもしようものなら自分の両頬に添えられている小さな手から鋭い爪が出てくるだろうから。
引っかかられでもすれば相当痛いと思う。
(瀬人・・・微妙に爪が痛いんだけど・・・)
重なる瀬人と遊戯の唇。
遊戯の唇を舌でこじあけ歯列を舐め上げる。
何回瀬人とキスしてもココから先は、侵入させたくない。
でもそんな思いも虚しく頬に当たる小さな手から容赦無くチクッと爪が遊戯の頬に食い込む。
ささやかな抵抗も許さない瀬人は、上下に開く歯列を割って入り遊戯の舌をハンターの如く追いかける。
逃げ惑う遊戯の舌。しかしそれも微かに食い込む爪には、適わない。
すんなり瀬人の舌に絡め出す。
(くそ〜何で瀬人は、こんなにキスが上手いんだ!と言うより何でこんなにネコらしくないんだぁ〜!
それにしてもこの味・・・あれほど言ったのに・・・)
自分の意識を持って行かれそうになる。
コレ以上の事をされても抵抗出来ないかもしれない・・・
(それにしてもネコにファーストキスを奪われるなんて・・・出来る事ならアイツをしてみたかった。)
滅多に会う事の無い蒼い瞳の同級生。
これが彼とのキスなら・・・
抱きしめられながら『遊戯』って優しく名前を呼ばれ彼の片手で顎を上向きにさせられ彼の優しい笑みを
見ながら唇同士が重なり合う・・・
(ん!!!)
急に遊戯から熱烈に舌を絡められ驚く瀬人。
明らかに遊戯の心が別世界に行っている事を物語っている。
(貴様 俺とキスをしながら心の中で誰とキスしている!!)
「はぁ・・・ん・・・」
どれだけの間キスをしていたのだろう。
数秒だったのか数分だったのか解らない。
離れた互いの唇を繋ぐ銀糸がどれだけ互いの舌を絡めあっていたのかを示している。
何処か満足気な瀬人。
遊戯は、瀬人の顔を見て現実世界に引き戻されたのか抱えている瀬人を放り出すとアッと言う間に
ベッドの掛け布団の中に顔を隠した。
急に放り出された瀬人。流石にネコと言うだけあって躰を捻りながら無事に床の上に着地する。
(貴様 この俺を放り出す・・・遊戯???)
「ニャァ〜」
どうしよう 幾ら瀬人とキスしていたからってアイツとキスしている所を想像するなんて・・・
絶対オレ変だ!!末期なのか?アイツもオレも男なのに・・・
思い出される妄想世界での彼とのキス。
何故か嬉しく そして幸せに感じた。
遊戯は、自分の指で唇をなぞる。彼とのキスを思い出す為に・・・
「ニャァ〜」
唇をなぞっていると目の前に瀬人の顔。
何時まで経っても掛け布団から顔を出さない遊戯の事が気になり潜って来たのだ。
その瀬人が柔らかい肉球で自分に唇に触れてくる。
柔らかい・・・
(・・・)
「瀬人・・・前にも言ったけどネコ缶食べた後でキスしないでくれ・・・
キスの間ネコ缶の味がしたぞ」
あれほど食後にキスしたくないと言ったのに!!!
「にゃ〜」
小首を傾げる瀬人。
多分ネコ相手に何を言っても理解してもらえない・・・と思う遊戯。
(貴様こそ俺とキスをしている最中 誰とキスしていた!!)
まさか人の姿をした自分が相手だと思っていない瀬人。
(オレこのままだとキス以上の事されるかもしれない・・・
みっ操の危機??ネコ相手に・・・それだけは、御面こうむりたい。)
と思う遊戯に対し
(貴様の躰にこの俺を刻み込んでやる!)
と意気込む瀬人。
ああ・・・オレっていったい・・・