Secret・Love(Back Version)
フワフワと宙に浮いている感じがする。
宙に浮かぶと言う事は、こんなに気持ちがいい事なんだと思ってしまう。
このまま眠っていたいぐらいに気持ちがイイ。
しかしその気持ち良さは、急に重さに変り首筋がヒンヤリしてきた。
しかも息苦しい・・・
余りの息苦しさにうっすらと目を開けると飛び込んで来たのは、ボヤケた海馬の顔。
何だか不機嫌そうに見える。
「やっと目が覚めたか」
「かい・・・ば」
呂律が回ってないが少女の様な愛らしい声。
モクバが研究スタッフに命じて作らせたボイス・チェンジの飴の効果で遊戯の声は、女の声になっているのだ。
「少し寝ていろとは、言ったが起こしても起きぬとは・・・」
海馬が言っている事を回らない頭で何とか思い出す。
(ああ・・・そう言えば・・・慣れないパーティで疲れてウトウトしてたんだ。)
そんな遊戯を気遣い海馬は、『少し寝ていろ屋敷に着いたら起こしてやる』と言ってくれた。
そして屋敷に着き海馬は、何度か遊戯を揺らし起こしたが全く起きる気配が無い。
仕方が無く遊戯を抱き抱え寝室まで運んだのだ。
腕の中で眠る遊戯。余りにも無防備過ぎる寝顔に苛立ちがこみ上げて来たが、それでも余りの愛くるしさに
頬の肉が緩んでしまう。
しかしこのままでは、遊戯の全てを堪能する事が出来ない。
身を捩り自分を感じる声を聞きたい。
ただでさえ自分の中心部分は、痛い程に熱を持ち張っているのだ。この熱を発散させたい。
折角遊戯が居るのに自慰なんてしたくない。
「やっと目覚めたのだ。このまま貴様の全てを堪能させてもらう」
言うが早いか海馬は、遊戯の唇に貪りつく。
スカートの裾から入って来た左手に太股を撫でられ右手で背中を撫でられる。
背中を撫でていた手は、ファスナーを見つけるとそのまま降ろしにかかる。
痛い程吸われる舌に口腔内には、熱い海馬の吐息。
知らず知らずの内に遊戯の両腕は、海馬の首に回り抱きしめ手は、海馬の髪を梳く。
乱される髪。多分自分の髪を乱す遊戯の手は、鬱陶しいだろうけどそれは、自分を感じ求めて無意識の内に
している事だと解っているから好きな様にさせている。
それよりも自分の口付けに必死に応え様としている様が可愛い。
唇が離れる頃には、遊戯の躰を覆っていたドレスは、床の上。
唯一身に着けているのは、ガーターベルトをストッキングのみ。
それなのに海馬は、ジャケットを脱いでいるとは、言えまだスーツ姿。
その違いに遊戯は、恥かしくて居た堪れない気持ちになる。
顎を軽く噛まれそのまま喉仏を甘噛みされる。
「あっ・・・まって・・・」
軽い抵抗・・・それを無視するつもりだった。無視も出来た筈なのに
「何だ?」
不機嫌な声で応える。
「お前も・・・脱げよ・・・」
海馬のワイシャツの襟元を掴みながら言う。その瞳は、熱で蕩けていて睨まれても誘っている様にしか見えない。
「貴様が脱がしてくれるのなら」
えっ?と言う表情を見せる遊戯だったが
「わかったぜ」
そう言うと気ダルそうに躰を起こし海馬と向いあう。
寝起きと熱烈なキスで躰の力が入らずワイシャツのボタンが思う様に外せない。
まどろっこしい気持ちになる。
それでも何とかボタンを外していると海馬の手が新たな動きを開始する。
遊戯の尾閭骨を中指で捏ね繰りまわし出したのだ。
ビックと反応する遊戯。何故かソコを捏ねられただけなのに感じてしまう。
「はぁぁ・・・んん・・・」
愛らしく声を上げる遊戯。その小さな躰は、ボタンを外す事を諦めたのか海馬の両肩に手を着き声を
発している。
方に置かれていた手は、次第に海馬の首に絡みつき出す。
真直に見える海馬の耳。遊戯は、耳元で何かしら囁くと海馬の蒼い瞳が見開かれ驚きの表情になるが
それも束の間
「いいだろう。貴様から強請られる事なんてそうそうに無いからな。」
嬉しそうに口角を上げ遊戯の尾閭骨を嬲っていた指を窄みにあてがい指の腹で撫でまわす。
ヌプッと挿し込まれる中指。第一間接を何度も抜き差しを繰り返しゆっくりと指の根元まで飲み込ませる。
「やぁはぁぁぁ・・・まだ・・・ボタン・・・」
まだ海馬のシャツのボタンを外し終わってない。
「貴様の所為だ」
「?」
「ボタンを最後まで外させる気だったが貴様が可愛く強請るから我慢が出来なくなった。」
しかし遊戯の窄みは、余りにも小さく狭い。解さないと遊戯も自分も痛い思いをするのだ。
+++++
時間を掛けて解された窄み。それなのに海馬は、遊戯の中に自分のモノを挿入していない。
遊戯が焦がれ強請ってくるまで入れないつもりなのだ。
首筋や胸元には、海馬が散らせた花弁。
全開に開かされた足の中央には、細い茎。その茎から滴り落ちる蜜は、遊戯が感じている証。
クチュ・・・チュッ
「ふぅぅ・・・んん・・・」
各度を変え何度もキスを繰り返す。
既に海馬自身も全てを脱ぎ捨て地肌で遊戯の体温を感じている。
遊戯の太股に当たる最大に怒張した海馬の熱。その熱に眩暈を感じその熱が自分に与える更なる
熱に焦がれてしまう。
自分から恥かしくて言いたく無いが言わなければその熱は、与えてくれない。
今の自分が海馬の熱に焦がれているのを知っていて意地悪をしてくる。一体何処まで自分を支配したい
のか・・・
「海馬・・・もうくれよ・・・オレの躰を海馬の熱で蹂躙してくれ・・・」
「何処に何が欲しいのか言うんだ」
本当に何処まで意地悪なんだ?!
「言わなければこのままだぞ?」
スケベな顔をして・・・お前だってビンビンに張りつめているじゃないか!!もしオレが言わなければその熱を
どうするつもりなんだ?
自慰をする海馬なんて想像したくない。それに海馬の熱は、全てオレのモノなんだ。
それを自分に与えて欲しい。
強くなる独占欲。
「海馬・・・くれないか?オレは、お前の熱が欲しいのに・・・」
正直気持ち悪いと自分でも思うがボイス・チェンジの飴のお影で声が今も少女のまま。
少しぐらい可愛い仕草をしても何とかなる。
だが海馬にしてみればそれが効果覿面だった。
「そんなに俺のモノが欲しいのならくれてやる」
そう言うと遊戯の両膝の裏に手をあてがい両肩に乗せ緩くなった窄みに己の熱を挿し込んだ。
「ひぃぁぁぁ・・・」
単純な男だ。すんなりと熱を与えてくれた。
この男の全ては、オレのモノ
夢さえも・・・
この男が堕ち様が更なる高みへ目指そうがそれを見届け共に歩むのは、オレだ。
誰にも邪魔をさせない。邪魔をするモノは、蹴散らすのみ・・・
躰は、快楽の熱に飲み込まれ翻弄されていると言うのに心は、冷静になってくる。
しかも欲望を伴って・・・
自分の上に居る男を抱き寄せその首の付け根に吸いつく。
紅く鬱血した痕・・・
「貴様 可愛い事をしてくれるな」
耳元で荒い息を吐きながらささやかれると背筋がゾクゾクする。
この男がこんな声を出す相手は、自分だけ・・・
この熱く潤んだ蒼い瞳を見れるのも体内に在る熱も・・・全てオレだけのモノ。
+++++
目が覚めれば隣に居る筈の男の姿が無い。
シーツも冷たくなっている。
クリスマスだから仕方が無い。この時期は、クリスマス商戦で何処の玩具メーカーも多忙を極める。
(海馬の場合 時期関係無く多忙だもんな・・・)
上半身を起こせば胸元には、至る所に着けられた花弁。
恥かしい様な嬉しい様な複雑な気持ちになる。
夕べの行為で疲れた躯を癒すべく遊戯は、もう一度シーツに包まれると
「貴様何時まで寝ているつもりだ?」
冷ややかな聞きなれた声。
まさかと思いつつ身を起こせば扉付近にこの時間居る筈も無い男の姿が
「海馬・・・どうして・・・仕事は?」
「自宅で出来るモノばかり用意した。」
「でも商戦中なんじゃ・・・」
「終わらなければ結果なんて解らない。それに中間報告は、モバイルで何時でも確認出来る」
マジマジと遊戯の躰を見つめながら
「良い光景だ。このまま貴様を堪能したくなる」
その言葉に恥かしくなった遊戯は、傍に在るシーツで胸元を隠しながら
「スケベ!」
と言うしか無かった。
屋敷内で仕事をしている海馬は、何時もの椅子に座らず遊戯の隣に陣取り遊戯にチョッカイを出しながら
仕事を進めた。
夜になり今夜も執り行われるパーティに2人して向う。
今の遊戯は、紅いウィッグを着けずに何時ものヘアスタイル。
服装もドレスでは、無く中性的な、デザインのスーツ。
声も何時もの声のまま海馬の隣に立っていた。
紳士・淑女の目を一気に惹き付ける遊戯。
どんなに高価なドレスを身に纏い、どんなに宝石でその身を飾ろうとも生まれつき高貴なオーラを放つ遊戯の
前では、その輝きは、虚しく霞んで見えた。
パーティの時は、海馬に変な噂がたたない様に気を使い女装をしていた遊戯。
しかし今の遊戯の姿は、自分を偽らない本来の姿。それが海馬には、嬉しかった。
自分の為に女装をしてまで参加をしてくれた事も嬉しかったが偽りの姿の彼を人に紹介するのは、
気持ち的に抵抗を感じていた。出来る事なら本来の彼を紹介したかった。
しかし女装をしているとは、言え遊戯は、遊戯なのだ。しかも自分の為に嫌いなパーティに参加してくれて
いるのだ。それは、それで嬉しい事に代わりは、無い。
しかし自分が愛したのは、偽りの遊戯では、無い。
男であれ女であれ自分が愛したのは、遊戯自身なのだ。
昨日以上に上機嫌な海馬。
帰りの車中、海馬が運転手に何やら指示を出し向った先は、童実野駅前。
「降りるぞ」
そう言って遊戯の手を引っ張りながら向ったのは、綺麗に輝くイルミネーション。
「海馬・・・これ・・・」
「夕べ貴様が見たいと言っただろう」
ああ・・・確かに言った。
海馬の耳元で『お前と一緒にクリスマスのイルミネーションが見たい』と。
でもそれは、情事中の戯言で済まされるだろうと思っていた。
「貴様から強請られる事なんてそうそうに無いからな」
2人して近くのベンチに腰を降ろしながら見上げるイルミネーション。
「綺麗だな」
「そうだな」
一人で見るより二人で見る方がこんなに綺麗だなんて思わなかった。
遊戯は、海馬の腕に自分の腕を絡め彼のポケットに手を入れる。
彼の細長い指を自分の指を絡め握ると。
「寒いのか?」
なんて聞かれた。
別に寒いワケじゃない・・・でもこうしていると気持ちがいい・・・
「ああ・・・寒いぜ。でもこうしていると暖かいだろ?」
寒いなんてウソ。でも最後の言葉は、本当。
暫く2人で見上げていたイルミネーション。
「遊戯 行くぞ」
そう言うと急に立ちあがる海馬。
もう少し見て居たかった。
でも彼だってまだやる事は、沢山あるのだ無理は、言えない。
それに海馬と一緒にイルミネーションを見る事が出来ただけでも良しとするしかない。
車に乗り込むと緩やかに走り出す。
てっきり屋敷に戻るのかと思ったが向った先は、電気の消えた海馬Co.。
完全に電気が消えたワケでは、無いが不夜城と誉れ高い会社にしては、電気が着いている階が少ない。
海馬と遊戯の指は、絡まったまま離れない。
まるで今の2人の心境を表しているかの様に・・・
警備室前を通り向った先は、社長室。
海馬は、明かりも点さずドンドン中に進んで行き社長席の後ろにある硬化ガラスの前まで行く。
「うわ〜凄い・・・」
思わず歓喜の声を上げる遊戯。
そのガラス越しに見えるのは、決して手に取る事の出来ない散らばった光り輝く宝石。
「夜空の星が霞んで見えるぜ」
「自然の光と人工的な光を一緒にするな。人工的な光は、決して自然の光に勝つ事は、出来ないんない
のだからな」
幾ら衣装や宝石でその身を飾ろうが身の内から溢れる高貴なオーラには、適わないのだから・・・
海馬自身も自分が遊戯の傍に居て言いのか戸惑う時がある。
その考えを消し去るために彼を抱く。抱いている間は、彼が自分のモノだと思えるから・・・
「遊戯・・・」
夜景を見ている遊戯に声をかけると
「?」
好奇心を瞳に宿した遊戯が海馬の方を見る。
腕を伸ばし掌で遊戯の顔を撫でる。柔らかく温かい。
自分の顔を近付けて唇を重ねる。
啄む様なキスを繰り返し空いている手で彼の躰のラインをなぞり裾から手を挿し込む。
ビックとする躰を抱き寄せ口付けを深いモノにかえ地肌を弄る。
胸の飾りに辿りつくとそれを摘まみ刺激を与える。
口付けから離された遊戯の小さな唇は息を吸うために少し開かれている。
潤んだ紅い瞳で海馬を睨みつけながら
「するんなら。帰ろうぜ・・・今は、ここでしたくない」
躰を弄る手を払い海馬から離れ様とする。
貴様ヲ帰シタラ何時逢エル?
コノママ閉ジ込メタイ・・・
何とか海馬の腕からすり抜けた遊戯は、海馬の手を掴み扉へと向う。
「・・・・」
帰りたいのなら俺を置いていけばイイ・・・
それとも俺に送って貰いたいのか?
「何してるんだ?海馬」
引っ張らないと動いてくれない海馬に対しムス〜とした表情で遊戯は、見上げた。
「貴様は、帰りたいのだろ?だったら俺に構わず勝手に帰ればイイ」
「ああ・・・帰るぜ。お前の屋敷に・・・するんだろ?だったらオレは、ココでしたくない」
「屋敷・・・?」
「冬休みの間オレは、お前の屋敷に泊まる事になってるんだぜ。
アレ?もしかしてモクバから聞いてないのか?」
聞いてない・・・初耳だ。
「だったら冬休みの間毎日貴様を堪能する事が可能なのだな」
急に笑みを浮かべる海馬は、自分を見上げる遊戯を肩に担ぎ上げ扉へと向う。
「オイ!!オレは、荷物じゃない!!」
騒ぎ立てる遊戯の太股に
「そんなに騒ぐな。貴様の歩幅では、遅すぎる」
軽くキスをする。
「そんな所にキスするなよ・・・全く恥かしいヤツだぜ」
「誰も見て居ないのだから問題ないだろう?」
「そういう問題じゃない」
「別に気にするな」
「貴にしてないぜ」
「だったら何だ?」
「キスは、口にしろよ」
「・・・」
自分で何と言う恥かしい事を言ったのだろう。これじゃまるで強請っているようなものじゃないか。
それでも海馬のキスは、口にして欲しいと思う気持ちは、在るのだから仕方が無い。
「ベッドの中で何度でもキスをしてやる」
高笑いをしながら会社を後にする2人。
ベッドの中で何度も濃厚なキスを繰り返したいう・・・・