理想


行為が終わり気だるい意識の中それでも遊戯は、眠りにつく事を拒み海馬の胸に耳を当てながら

規則正しい鼓動を聞いていた。

海馬としては、遊戯の寝顔も堪能したいのだが彼が甘えた様な仕草を見せるのは、この時ぐらい。

寝顔は、情事の時以外でも見れるので遊戯の好きなようにさせる事にした。

海馬の胸板に指を這わせながら

「オレも海馬みたいに胸板があったらいいのに・・・」

「何故?」

(貴様は、今のままでも充分に魅力的だと思う)

思わず胸板の厚い遊戯を想像すると寒気が走りそうになる。

「だって男らしいじゃないか・・・オレなんか何も無いから貧素に見えるぜ」

「貴様の御仲間が何か下らん事でも言ったのか?」

遊戯は、直に御仲間の意見を鵜呑みにしてしまう。

だから胸板の事も何か言われたのかと思ったが

「今日体育の授業があったんだ。」

まさかその場に居た男共に欲情したのか?

「みんな、胸板が大なり小なりあったんだぜ。でもオレには、無いから・・・」

何だか惨めな気持ちになった。

そんなオレを相棒は、「人それぞれだよ。僕なんか君より筋肉が無いのに」って笑って言ってた。

「それでもオレは、海馬みたいに均整のとれた胸板じゃなくてもいいから胸板が欲しいぜ。」

「俺は、今の貴様がいい。無駄な脂肪や筋肉が着いてないバランスの良い貴様の躰を堪能していたい。

貴様に胸板なんて必要が無い」

「・・・あっ・・・」

そう言われると海馬の躰の下に組み敷かれる。

海馬の瞳の奥に灯る嫉妬の炎。

遊戯は、自分を見下す海馬の顔を見ながら

(やっぱりイイ男だぜ・・・こんな男を一人占めしているオレは、幸運の持ち主か・・・)

そう思うと海馬の首に自分の腕を絡め抱き寄せる。

「遊戯 貴様が胸板を欲するのは、女を抱くためか?」

行為の後 2人で風呂に入った。

その所為で遊戯の躰から石鹸の良い匂いがしてくる。

海馬は、何度も軽く遊戯の首筋に唇をチュッチュッと唇を押し当てては、直に離れる行動を繰り返した。

それが擽ったいのか遊戯が感じる時に上げる声を出しながら首を竦める。

「・・・あっ・・・何で・・・はぁ・・・女なんて抱きたいと思わないぜ・・・あっ・・・」

重なり合っている胸が温かい。彼の体温がこんなに温かいなんて知ったのは、躰を重ねて何度目の事

だっただろうか?

彼の指先は、血が通ってないのかと思う程に冷たい。それは、まるで彼の瞳の色の様に・・・

でも抱きしめあう躰は、熱くまるで彼の瞳の奥に灯る焔の様だ。

「女を抱くために胸板を厚くしたいんだろう?それとも男を抱くためか?抱かれる為か?」

何故女を抱くためだけに胸板を厚くしなければならないのか・・・第一男なんて抱きたいなんて思った事は、

更々無いし抱かれたいなんて毛頭に無い。それ故遊戯には、海馬の言っている事が全く理解出来なかった。

しかし彼の性格を考えるとアル事に思い当たる。

それは、彼の独占欲だ。

彼は、自分が他の誰かと一緒に居るのを良く思ってない。ましてや他人の話しや他人としたデュエルの

話しなんてしたらとんでもない事になる。

「クスクス・・・もしかして妬いているのか?」

だがそんな彼を遊戯は、愛おしいと思ってしまう。

「なっ」

互いの首に顔を埋めている所為で互いがどんな表情をしているのか見えない。

それが何故か安心した。多分普段では、見る事の出来ない様な顔をしているからだろう。

「オレがこんな行為をしたいのは、お前とだけだ・・・」

自分の意中の相手にそんな事を言われて躰が反応しない訳は、無い。

海馬の熱が鎌首を持ち上げてきているのが解る。

(あ・・・海馬のが足に当たる・・・オレの言葉に反応したのか?)

(普段では、聞けない貴様の本音・・・まさかこんな時に聞けるとは・・・)

躰が遊戯を求めてしまう。

そんな海馬の心を知ってか知らないでか遊戯の足が左右に開かれ海馬の腰に回される。

「ゆう・・・」

こんな遊戯を自分は、知らない。明らかに遊戯は、自分を求めてくれているのだ。

「オレの中に入りたいのだろう?それともそのまま放置するのか?」

海馬が放つモノを自分の中に・・・自慰なんかで出させる事なんてさせない。

彼の全ては、自分のモノだ!!

遊戯は、海馬の首に絡めていた腕を片方外し自分と海馬の躰の間に腕を差し込み海馬の男根を掴み

自分のヒクツク後孔に誘導する。

「くっ・・・ゆう・・・」

海馬の亀頭が遊戯の後孔に飲み込まれ括れた場所が締め付けられる。

「お前・・・くれないからだぜ・・・」

だから自分で誘導し飲み込む事にしたと熱い吐息を吐きながら言う遊戯。

「だったら俺の問いに答えろ」

「・・・?」

「そうしたら貴様の奥にもっと飲み込ませてやる」

チュッ・・・チュッ・・・

海馬の首筋に吸い付き痕を付ける遊戯。

「貴様は、何を望んでいる?」

ただ胸板が厚くなる事だけを望んでいるように思えない。

「・・・ん・・・理想だぜ・・・」

「理想?」

「オレは、お前の様に身長が欲しいぜ・・・でも今のオレにそれを望む事なんて出来ない・・・」

既にこの年では、身長は、伸びないだろうから。

「だったら・・・あっん・・・・今のオレが望んで手に入れられる・・・ふぁ・・・ぁぁぁ・・・厚い胸板だけだろう?」

海馬の首筋に当たる遊戯の熱い吐息。遊戯が答えている間に海馬は、遊戯の華奢な躰を弄る。

「お前の・・・躰が・・・ふぅぅ・・・あぁあぁ・・・全部・・・オレにとって理想・・・なんだ・・・」

無駄な筋肉が無い締まった躯。しかも長身ときている。まるでモデルの様だ・・・

それなのに自分の躰は、小柄で華奢。今まで何度女の子に間違われた事か。

望んで手に入るとしたら厚い胸板ぐらい。これは、鍛えたら何とかなるだろうから。

「遊戯腕を離せ」

「?」

「俺の首に捲きついている手を離せと言っている。貴様の中に俺の精液を飲ませてやる」

そう言われ遊戯は、まだ首に捲きつけていた腕を外す。

海馬は、躰を起こすと遊戯の後孔から亀頭を抜き膝裏に手をあてがい遊戯の躰を二つ折りにすると今一度

モノ欲しそうにヒクヒクしている場所を見る。

「そんなに俺のモノが欲しいのか?」

「ああ・・・欲しいぜ・・・勿体付けずにサッサと入れろよ。」

「いいだろう。存分に味わうがいい」

ズズズズズ・・・・

「あぁぁぁぁぁ・・・・・」

一気に最奥めがけて突き進まれ一瞬だが目の前が真っ白になった。

ズチュ・・・グチュ・・・

淫靡な音と荒い息使いが部屋に響く。

遊戯は、海馬の背に爪を立てながら自分の理想とする躰にしがみつく。

 

 

 

 

「うん・・・・」

「全く貴様に胸板なんぞ必要が無いだろ」

躰のバランスを考えたら厚い胸板なんて必要なんてないだろう。

それに海馬と同じ身長の遊戯なんて可愛げが無い。

海馬は、自分の身長を変らない遊戯を想像したら萎えてしまいそうになった。

 

貴様は、今のままが一番イイのに決まっているだろう?


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