権力
権力に囚われた亡者なんかに興味は、全く無い・・・
「ほぅ〜サテライトに貴様に様な良いケツをしたヤツが居るんだな」
卑下た目つきで舐めまわされる様に見られながらも何時もと何等代わり栄えのしない表情で
「セキュリティのヤツがサテライトに何の様だ?」
(制服姿だから巡回中なのか・・・
公務中に暴言を吐く為にサテライトエリアに来るとは、暇なヤツだな)
このセキュリティとは、数回ライディング・デュエルをしている。
何時も人を見下した様な物言いでレベルの低いモンスター達をクズ呼ばわりをしている権力の犬。
コイツにしてみれば自分よりランクの下に居る人間は、全てクズも同然なんだろうが・・・
その権力の犬が今日に限って何度も絡んでくる。その都度追い払うなり巻いたりしているんだがしつこい。
しかもニヤニヤと嫌な笑みを浮かべて。
「テメのケツからにして既に男とやった経験が在るように見えるが・・・どうだ俺と1発やらねえか?」
先ほどから屈辱的な発言でコイツの目的は、解っていたが面と向って言われると不愉快すぎる。
「どうせいろんな男にケツを振って突っ込んで貰ってるんだろ?下級の連中より俺のモノの方がいいかもしれないぞ」
下級・・・階級なんて所詮人間が人間の為につけた自己満足の産物。
それに何の意味がある?生まれた場所によってそんな事を言われる筋合いなんてない。
遊星は、執拗に繋がろうとしている牛尾の前から立ち去ろうとした時、力強い男の腕で腰を掴まれ抱き寄せ
られる。
背筋を走る悪寒に身震いがした。
腰を掴んでいた手が双丘を撫でまわし始めた時には、牛尾の顔を殴っていた。
頬を押え睨みつける牛尾に何の恐怖も感じない。
寧ろ感じるのか不快感だけ。
「オレは、権力の犬に興味は無い」
それだけを言い残しその場を立ち去ろうとすれば
「俺のモノになればココより良い生活が出来るってのに・・・フン お姫様には、取っ替え引っ換え選べるほど
沢山の男が腹いっぱいにぶち込んでくれるモノがあるから満足と言う事か?」
卑下た言葉。屈辱的だと思った。権力が在るとああも下品な物言いしか出来ないのだろうか?
ジャックお前もあんなヤツと同じ様な人種になったのか?
遠ざかる牛尾が今尚遊星に向って何かしらの罵声を浴びせている。
権力の犬が何と吠え様が怒る気になれない。
寧ろここまで来れば憐れさしか感じる事が出来ない。
(生憎とオレを抱けるのも満足させられるのは、トップス・エリアに居るジャックだけ・・・
アンタが下級と蔑んでいるサテライト出身者だ。権力の犬であるアンタの事だから現時点で自分より位が
高ければ尻尾を振るだろうが・・・)
空を見上げれば夜でもないのに灰色の世界からうっすらと見える月の輪郭。
思い出されるのは、ジャックとのデュエルと情事。
(何時かお前に会う・・・そして・・・)