思考


オレは、コイツのモノになった覚えも無いしコイツの女になった覚えも無い。

なのに目の前の男は、自分を所有物の様に扱い当然の如く容赦なく襲ってくる。

今もオレの上に覆い被さりなりがら耳朶を甘噛みしタンクトップの裾から手を入れ躰を弄ってくる。

男同士でこんな事して何になるのか解らない。

ただの暇潰し?性欲の処理?

恋愛感情なんて存在するのか解らない。ただヤリタイからヤルって言うのもあるようだが・・・

 

「痕・・・つけんな・・・」

首筋に感じる熱い吐息。

「聞けんな」

強弱を付けて吸われる。

確実に紅い痕が付いているだろう。

この行為の度に痕を付けるな・・・と言うのにジャックは、耳を貸さない。

付けるのは、当然とでも言うように付けてくる。

 

サテライトでは、女の数が男の数より圧倒的に少ない。

それ故に男同士のカップルとかも多い。

男同士だとリバも在りだからどちらも互いの穴に突っ込んで気持ち良くなれる。

女役専門のヤツもいるけど・・・

それに女だと子供が出来たら色々と面倒な事になる・・・

その点男同士ならそんな問題も無く後腐れも無い。

 

 

オレは、どちらかと言うと女専門なのかもしれない。

だがそれは、ジャックが相手の時だけ。

それ以外の相手・・・ジャックとしかヤッタ事が無いから解らないしジャックの事だからオレが他のヤツとしたなんて

事が解れば相手を再気不能なまでに叩きのめしてしまうだろう。

独占欲と所有欲の強い男だ。

しかしそれは、カードとオレだけに対してのみ・・・

他者に対しては、全く興味が無いようだ。

彼程の男に女は、当然の様に群がって来るが一瞥をくれるだけで相手にしている所を見た事が無い。

 

彼の手がせわしなくオレのタンクトップを脱がしなが器用にズボンまで脱がしにかかってくる。

腰を少し浮かせてやれば簡単に脱がす事が可能なのだがそんな事は、してやらない。

だってオレが強請らない限りコイツは、キスをしてくれないから・・・

この行為に及んで躰にキスをしてくるが未だ口には、してくれない。

オレが強請るのを待っているのだ。全く何て性悪なんだ?

だから仕返しにオレも腰を浮かせない。

脱がせ難い状態のままズボンをずらせばいいんだ・・・

そこまで思ってオレも大概性悪だと思う。

だけど素直には、なりたくない。やったらやり返すぐらいの気持ちでないと・・・

「遊星腰を上げろ脱がし難い。」

それでも腰を上げない。

目で訴えるオレが何を望んでいるのか・・・

そして思う

オレは、どんな表情でジャックを見ているのか・・・

ジャックによく『そんな顔して俺を誘っているのか』と言われるがオレは、どんな顔してジャックを誘っているのだろう?

彼の紫の瞳に写るオレは、余りにも小さくて見え難い。

「遊星・・・」

自分の名前を呼ぶ声に意識を戻す。

「俺に組み敷かれているのに考え事とは、余裕だな」

「嫉妬か?」

まとまらない意識の中で何とか言えた言葉。

「そうだな 俺に抱かれているのに余所見をされていては、面白く無い」

彼にしてみれば珍しく素直な言葉だと思う。

「貴様は、大人しく俺に意識を集中していればいいんだ」

我儘な男だと思う。

オレは、お前の所有物でもなければ恋人でも無いお前専属の女でも無い。

お前にしてみれば只の親友か玩具の類の筈。

そう言えば何故お前がオレに拘るのか聞いた事無いな・・・

「はぁ・・・どうして女を抱かないのか不思議だった・・・」

躰に燻る熱にどうにかなってしまいそうだ。

躰は、なんて素直なんだ?「彼のモノが欲しい」と言っているだが素直に口に出したく無い。

彼の眉間に寄る皺をなぞろうとして払われる。

「貴様 俺の腕の中に居て女とのSEXを考えていたのか?」

怒り?何に対しての怒りなのか?

「オレが・・・じゃないお前が・・・だ。」

「俺?」

怒りの中に見える怪訝そうな表情。

「・・・お前・・・女にモテルのに何故・・・女としないのか・・・」

そう言えばジャックが女と寝た話しなんて聞いた事が無い。

だがそれは、オレとジャックがつるんでからの話しでそれ以前は、知らない。

ただSEX慣れをしている所からにして女とも男ともヤッタ事は、在るんだろうけど。

「それを聞いてどうする?貴様が嫉妬するとも思えんが」

嫉妬?確かにオレは、コイツが誰と付き合おうが嫉妬は、しないと思う。

オレにコイツを縛る権利は、無い。コイツの人生は、コイツのモノであってオレのモノじゃない・・・

だったらオレは、何故そんな事を考える?

「そんな事より貴様は、俺に集中していれば良いと何度言わせる」

両足を広げられジャックの左右の肩に乗せられずらされるズボンと下着。

「全くこの俺に手間を掛けさせるとは、とんだ姫君だ」

普段外気に晒される事の無い場所が空気を感じその後滑った何とも言いがたい感覚に襲われる。

このプライドの高い男が何故そんな排泄口に舌を這わせるのか・・・

そんな場所には、唾液を垂らし指で解すか潤滑クリームやオイルを垂らせばイイ。

なのに何故?

舐めたり舌を指しこんだりする?

それに性急に繋がりたいのならそんな手間をかけずに無理矢理突っ込めばイイ。

どうせ痛い思いをして血を流すのは、オレなんだから。

「何度言っても貴様は、俺から意識を逸らす。学習能力が無いヤツめ」

指が指し込まれ中を掻き回される。

その都度腰は、ピクピクと魚の様に跳ねる。

機嫌が悪いのか焦っているのか余裕が見えないジャックの顔から視線を逸らし自分の横を見れば脱がされた

ズボンと下着が無造作に投げ捨てられている。

自分は、彼以外の人物とこんな行為に及んでも感じる事が出来るのだろうか?

「遊星 俺を見ろ!俺をその瞳に写せ」

逸らした顔を無理矢理に戻される。

掴まれている頬が痛い。

「貴様は、俺だけを見ていればイイ。他のモノに意識を移すな」

まるでジャックが嫉妬しているように見える。

もしかして嫉妬しているのか?

挿入されるモノの熱さとそれがオレに与える痛みと快楽。

突き上げられる度にお前の躰から流れ落ちる汗が揺さぶられているオレの躰に落ちオレの汗と混じり合う。

お前に貫かれて「気持ちイイ」と声を上げてしまう。

他の誰かとヤッテも気持ちイイのだろうか?それともお前が相手だからこんなに気持ちがイイのだろうか?

ああ・・・結局お前から未だキスをされてない。

今強請ればキスをしてくれるかな?

今なら素直になれるかな?

もしオレが素直に強請ればお前は、それを与えてくれるのか?

 

次第に思考がまとまらなくなってくる。

なぁ・・・ジャックお前は、オレの事どう思ってる?

親友?

玩具?

恋人?

上手く口に出して言えないけどオレは、お前の事を親友以上恋人未満だと思ってる・・・

曖昧なのは、仕方が無い。お前も曖昧な態度なんだしおあいこだろぅ?

でもその気持ちも時が経てばハッキリとするかな?


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