甘えん坊-2-
「君に来て貰ったのは、他でもないキングの事なんですが・・・
キングがココに居るとなかなか話しが進まないのでキング不在中に・・・」
「無駄だと思う」
「?」
「既に居る・・・」
「・・・・・・」
(何時の間に・・・)
何時局長室内に入ったのかジャックは、既に遊星の隣に座り遊星の肩を抱き寄せ髪に顔を埋めていた。
「キング デュエルの方は、どうしたのです?」
この時間は、ライディング・デュエルを行っている時間帯。
この時間なら遊星とゆっくり話しが出来ると思っていたのにそれ故に何故ジャックがココに居るのか解らなかった。
「デュエルは、してきた。相手を舜殺してな・・・」
顔は、遊星の髪に埋めながらも紫の瞳はゴドウィンの方を見ていた。
「それに遊星がココに居そうな気がした」
だからデュエルを早く終わらせて来たと言うジャックだったが遊星の方は、身を捩りジャックからの拘束を解こうと
必死だった。
そんな2人を見ながら
(キングには、不動遊星探知機か不動遊星受信機でもついているのだろうか?もしかしてあの両サイドの
長い髪は、アンテナなのだろうか?)
疑問に思っていると
「離せ・・・大事な話しが・・・」
「貴様は、俺の御守役なんだろう?」
御守役だからって四六時中一緒に居るわけでもない。
それなのにこの男は、四六時中一緒に居たがる。
「ジャック・・・本当に大人しくしてくれないか?」
訴える様な蒼い瞳にグッと来てしまい。
「だったら用件を飲んで貰おう」
「何だ?」
++++
「・・・でどうしてこうなるんだ?」
背後から抱きしめられジャックの膝を跨ぐ様に座らされる遊星。
「一応 キングは、大人しくしていてくれる様なので話しをしましょう」
「ああ・・・」
話しに集中出来るのかどうか解らない何せお尻にジャックの固いモノが当たっているのだ。
こんな状況でよくソコを固く出来るモノだ。
脳裏には、ジャックから施される夜伽の光景が浮かぶ。
「・・・話しを聞いていますか?」
ゴドウィンの言葉に我に返る遊星。
「すみません・・・」
聞いていなかった事に謝罪をする。
「別に構いませんよ。」
優しい笑みを浮かべるゴドウィンだったが彼が一筋縄でいかない相手だと言う事は、今迄の出来事で解っている
決してこの笑みも心から出ているのでは、無い。
「貴方とキングの間を非公開にして頂きたい。彼は、デュエルを愛する者達の憧れ、そんな彼が一人の人間に
好意を抱く事は、許されるべき事では無い。否 デュエルを愛する者以外にも彼の完成された肉体美に憧れる
者も多いでしょう。彼の逞しい肉体に抱かれる夢を抱く者も居るでしょう。そんな人達の為にも彼が特定の人間
にだけに想いを抱く事は、許されるべきでは、無いのですよ」
ゴドウィンの言葉に思わず顔が引きつってしまう。
確かにジャックは、黙っていればイイ男だと思うし筋肉も程よく付いていて引き締まっている。
だからと言って抱かれたいと思う人なんているのだろうか?
「非公開だと?俺に好意を抱いている者達の為に遊星を日陰者扱いとは、笑止!!遊星は、神が俺だけ
に与えし者。そしてこの俺の肉体は、そんな遊星を喜ばせる為に用意されたモノだ。空想・妄想は、勝手だが
俺が抱くのは遊星のみ!!そして俺と遊星の仲を非公開にするなぞ断じて許される事では、無い!!」
「ジャック 静かにしていてくれないか?」
耳元で高らかに宣言されても煩くて仕方が無い。
「オレは、別に非公開でも非公式でも構わない」
「貴方は、物解りがイイ。キングは、老若男女全てのモノでなければならない。
貴方の言葉に感謝します。」
「遊星!!」
「人の後頭部から叫ぶな。煩い」
一喝されてシュンとしてしまうものの
「俺は、貴様と一緒に外を歩きたい・・・D・ホイールで走りたい・・・」
一緒に住むようになってからその願いは、未だに叶ってない。
「なぁ・・・別に友達や友人としてなら別に一緒に居てもいいんだろう?」
ことさら友達や友人の所を強調されながらも遊星が言おうとしている事が理解出来た。
「そういう関係なら問題ありません。貴方達が恋愛関係に在る事さえ公にならなければ」
「ちょっと待て。オレとコイツは、別に恋愛関係になんてない」
キッパリと否定する遊星にジャックは
「俺と貴様の関係が恋愛関係では、無くてなんと言うのだ?」
「友達関係だ。」
「躰を繋ぐ行為をして尚恋愛関係に無いと言うのか?」
「躰を繋いで来るのは、お前の方だろ?」
何時も何時も同意無しで襲われているのだ。これの何処が恋愛感情故の行為なのか?
(躰を繋いでも恋愛では、無いと言いきれるとは・・・キングが彼を振り向かせようと躍起になるのも肯ける)
普通一緒に住んでいて相手から激しく求められ躰を繋げば恋愛感情があると思われても仕方が無い。
第一嫌なら別々に住めばイイだけの事、それに御守役とは言え四六時中一緒に居ないとイケナイワケでも
ないのだ。
(それとも彼は、自分の気持ちに気が付いてないとか・・・)
色々と憶測するのは、邪推だと思えどこの2人の関係がどうしても気になる。
(これは、これで暫く楽しめるかもしれませんね)