いつもと違う一面だから、魅力的


朝目が覚めると襲われる罪悪感。

仲間には、決して言えない秘密。

 

洗面台の鏡に写る自分の胸元には、赤い痣が所狭しと付けられいる。

これを付けた当の本人は、既に居ない。

多分行為が終わった後自分の住処に戻ったのだろう・・・

(ジャック・・・お前は、オレの事どう想っているんだ?)

行為の後互いの躰には、汗と精液がこびり付く。

意識の無い自分をベッドの上に放置し己だけシャワーを浴び消えたのなら自分は、彼の性欲処理の相手

だと思えるのに・・・汚れを綺麗に落されていたらそんな相手じゃないと思ってしまう。

自分がジャックにとって特別な存在なのか・・・相手なのか・・・自分の良い様に解釈してしまうでは、無いか。

 

胸に付けられている赤い痣を指先でなぞり夕べの行為を思い返す。

彼の指先が自分にどう触れたのか。彼の舌がどう自分の躰を這ったのか。

数時間前の出来事なので鮮明に思い出す。

行為の最中の記憶なんて殆ど無いのに躰が覚えている。

何時もは、キツイ眼差しで自分を見つめる彼の紫の瞳が行為の最中にだけ見せる熱い眼差しにどう反応し

てしまうのか・・・

過ぎた行為を思い出すなんて愚かしげな事だと思うけど一度思い出してしまえば取り止めなく記憶の奥底か

ら溢れ出してきてしまうのだ。

 

 

赤い痣に触れていただけなのに何時の間にか自分で自分の胸を弄りその手が次第に下肢へと降りて行く。

もう立っていられない。膝がガクガクいって崩れて行く。

崩れる時に一瞬鏡に写る自分の顔を見た。

何て淫靡な顔をしているのだろう・・・そんな顔を行為の度に彼に見られているのか?

恥かしいくて仕方が無い。でも自分が見てもその顔にソソラレテしまう。

「はぁはぁ・・・」

熱い吐息を吐きながら自慰に陥ってしまう。

こんな所仲間に見られたく無い。

仲間以上に彼に・・・ジャックには、見られたく無い。

そう思いながらも行為を止める事が出来ない。

架空の世界でジャックが自分に触れて来る。

意地悪そうな笑みを浮かべて。

「・・・あっ・・・くぅ・・・」

前を嬲っていた片手が後に回され中指を後孔にゆっくりと飲み込ませて行く。

気持ちが良いのかどうかなんて解らない。

彼の手や指に触れられていないのだから。これが彼のモノなら気持ち良い。

でも大きさや長さが違う自分のモノでは、感じているのかどうかなんて解らない。

だが反応している限り気持ちがいいのだろう。だって架空の世界の彼が自分の躰を嬲っているのだから。

「あっ・・・くぅ・・・はぁ・・・ジャッ・・・んん・・・」

もうダメだ・・・と思った時

「イキそうか?」

頭上から聞こえる声。

その声に躰がビクッと反応してしまう。

そして恐る恐るその声の方を見ると居る筈の無い相手が自分を見下していた。

急に躰の熱が下がりそうになる。

「イキそうなのか?と聞いているんだ」

憮然とした態度で聞いてい来る相手に何と答えたらいいのか解らない。

ただ悪戯っ子が自分の悪戯を見つかり親に問い詰められている気持ちでしかない。

「答えられんのか・・・」

遊星の蕩けた表情を見れば彼がイキそうなの事ぐらい解る。

 

 

++++

 

別に自分の住処に戻ったワケでは、無い。

無茶をさせた遊星の為に食料を確保しに出ていただけ・・・

食料を確保したら遊星の住処に戻るつもりだった。

 

2人分の食料と衣服を抱え戻って来たジャックが目にしたのは、洗面台の鏡の前で自分の胸を弄る遊星の

姿。

何をしているのか問うつもりだったが彼の表情が何時もと違い寂しそうだった。

何かを思い出している様な表情・・・幾分辛そうに見える。だから声を掛けられなかった。

それに目の前で彼が今見せる行動が・・・表情がいつもと違う一面だから、魅力的に思えもっと見たいと思っ

たのだ。

覗く趣味なんて無いのにどうしても見てしまう。

次第に行為がエスカレートして行き床に座りながら自分の男根を弄りながら後孔を嬲る遊星の淫靡な姿

から目が離せなくなり魅入ってしまっていた。

遊星が誰を想い自慰に陥ったのか・・・見ていて次第に湧き起る疑問と嫉妬感。

最初に彼の躰を拓いたのは、自分なのだ。

だがそれは、同意の上では無かった。一方的だった。

(もしかしたら遊星の心の中には、既に誰かが居るのか?もしかしてソイツを想い自慰を・・・)

そう思うと許せなかった。

遊星の気持ちを聞いた事が無いし自分の気持ちを言った事も無い。

だから遊星がジャックを想像し自慰に耽っているなんて知る由も無かった。

 

++++

 

「遊星 獣の様に四つん這いになれ」

「!!」

「イキタイのだろう?だったら俺がイカセテやる」

蕩けた表情のまま遊星は、四つん這いになりジャックに秘所を晒す。

ジャックは、遊星のそんな従順な態度に複雑な気持ちになるが遊星の腰を掴みながら自分のジッパー

を降ろす。

ジーと言う音に反応して遊星の躰が揺らめく。

腰を掴むジャックの手を解き自らジャックの方に振り向くと手を伸ばしジャックの下着に隠れているモノを

取り出し舌を這わせ出した。

「・・・くっ・・・」

温かい湿った舌が自分のモノに絡みつく。

「ゆ・・・せ・・・い・・・」

夢中にしゃぶり付く遊星。予想外な遊星の行動に驚きつつも包み込まれる温かさに酔いしれてしまう。

「・・・はぅ・・・む・・・」

嬉々とそそり立つモノを愛おし気に見つめる蕩けた瞳。

それがいつもと違う一面だから、魅力的に写る。

先程まで感じた嫉妬感が何処かに消えてしまう。

 

 

++++

 

床の上に横たわる遊星。

ベッドに運ぶ前に我慢出来ずその場でしてしまったのだ。

「・・・ん・・・」

軽く気を失っていた遊星の意識が覚醒するのか微かな呻きとピクピクと動く瞼。

「遊星」

「・・・ン・・・ジャ・・・ク・・・」

額に軽く唇を押し当てる。

それがくすぐったいのか首を竦める。その行動が可愛く思い胸がキュンとしてしまう。

「遊星 お前に聞きたい事がある・・・」

意識がハッキリしない遊星に質問してもちゃんと答えてくれるのか解らないがどうしても知りたい。

遊星は、誰を想い自慰をしていたのか・・・

前を弄るだけなら自分もする。だが後孔を嬲る事なんてしない。

それは、誰かに突っ込まれるなんて事をされた事が無いからだ。寧ろ突っ込む方だ。

だが遊星は、後孔も嬲っていた。

だれかに突っ込まれている事を想像してやっているとしか思えない。

「誰を・・・誰を想って・・・自慰をしたんだ?」

「?」

何の事なのか理解出来てないないのか不思議そうな顔をしている。

だが思い当たる事があるのかその表情は、次第に朱に染まり出す。

「遊星答えろ」

落ちついた様な声の高さだが微かにだが怒気が含まれている様に感じられる。

ジャックからの問いに戸惑ってしまう。

 

 

まさか恥かしくて言えるワケが無い架空のジャックに襲われていただなんて・・・

 

だが自分を見つめる紫の瞳は、「言え」と脅している様にも見え怖かった。

掠れた声で渋々だが小さく

「お前を想像していた・・・」

本当に蚊の羽ばたきよりも小さな声だったのにジャックには、聞こえたのだろう。

大きく見開かれた紫の瞳開け放たれた口。

それを見て遊星は、居た堪れなくなり両手で顔を覆いソッポを向く。

「ゆう・・・遊星今の言葉は、本当なのか?俺を想像したと言うのは・・・」

コクンと縦に動く首。

恥かしくて仕方が無いのだろう躰を少しずつだが朱に染まり出す。

「・・・もう・・・もういいだろう・・・そんなに見るな」

今尚自分を見ているだろうジャックの視線が痛い。

 

そんな遊星が余りにも可愛く思えその身を自分の方に抱き寄せながら。

「想像上の俺に抱かれるな。抱かれたいのなら直接俺に言え。そうすればお前の腰が抜けるほど可愛がって

やるから・・・遊星これから先もお前を抱くのは、俺だけだ・・・それを忘れるな。

俺は、お前だけを愛してるのだから・・・」

耳元で囁かれる甘い声と台詞。

流石に最後の所を言うのは、ジャックにしたって恥かしい。だが遊星は、その告白に吃驚したのかジャックの方

に振り向き。

「・・・オレ・・・オレを愛してる・・・って本当なのか?」

仲間内で『好き』なんて言葉は、よく言われる言葉だから聞きなれているし挨拶代わりだった。

でも今の言葉は、心からのモノだと思う。

だから・・・

「他の奴にも同じ事言ってないよな」

確認せずには、おけない。

「言うわけが無い。遊星お前の返事を聞かせろ」

早急に返答を求められる。少し考えさせて欲しいと言いたい所だが空想のジャックに抱かれた時点で自分の

ジャックに対する想いは、決まっている。

「オレもジャックが好きだ・・・あっそのあ・・・愛して・・・」

最後まで言うのは、やっぱり恥かしい。でもこの気持ちは、多分本物だと想う。

「ククク・・・やっつお前を手に入れる事が出来た。そう思っていいのだな遊星」

コクン・・・

先程までの嫉妬した様な発言だったのに一転して自信満万に変る。

(遊星が他の奴を想っていたなら相手を抹殺してやるつもりだったがまさか想像上の俺が・・・)

不安だった気持ちが消える。

欲しかったモノを手にした喜びが心と躰を支配する。

だから再度遊星に覆い被さりながら

「今度は、俺のモノとなったお前を堪能させてもらう。異存は、無いな」

「異存なら・・・」

有る!!

そう言いたかったのにジャックは、最後まで遊星の言葉を聞かず深い口付けを落し遊星を快楽の世界へと

陥落させていった。

 

まさかいつもと違う遊星の一面を見ただけで嫉妬し遊星の言葉に歓喜するなんて・・・自分でも信じられ

ない一面に驚きつつも目の前で妖艶な姿を晒している遊星に誘われ自らも又快楽の世界へと身を投じて

いったのだった。


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