熱と汗
「あ・つ・い〜!!!!」
情けない顔をして床の上を転げまわる男が1人・・・
「暑いのは、吹雪だけじゃないよ」
カランカランと涼しげな音をさせながら盆の上に乗せた麦茶をテーブルの上に置く。
「だったら〜クーラーをつけてよ〜ふじわら〜」
緑の髪を後に束ねソファに腰を下し麦茶をストローで吸う。
「ダ〜メ。第1そんなに暑いんならその髪を切ったら?」
藤原と向い合わせのソファの背凭れから顔を覗かせながら
「やぁ〜。僕のファンが悲しむだろう?」
汗を流しながら情けない顔で言う吹雪。
彼のそんな言葉に思わずムッとしてしまい
「僕とファンどっちが大切なのかな」
答えなんて解っているのに意地悪な事を言ってしまう。
自分でも意地悪な事を言っていると解っている・・・だけど言ってしまいたくなるじゃないか・・・。
少し俯きながら手にした麦茶の方を見てしまう。
氷がカランと音を発てている・・・
「もしかしてヤキモチを妬いてくれてるの?」
吹雪の嬉しそうにしている声が聞こえて来る。
きっとニパッと輝かんばかりの笑顔をしているのだろう。
尻尾が有れば千切れんばかりに振っているかもしれない。
安易に想像出来る。
「別にヤキモチなんて妬いてないよ」
素直じゃない言葉・・・本当は、ヤキモチを妬いている。
彼を自分だけのモノに出来ない。彼は、このアカデミアに居る女の子達だけのモノ。
僕は、彼の親友なんだ。それ以下でもそれ以上でも無い。
「ふ〜じ〜わ〜ら〜」
耳元で聞こえる声に驚いて思わず手にしていたグラスを落しそうになる。
だけど落す前に吹雪がグラスを掴んでそれをテーブルの上に置く。
グラスを置いた手は、迷う事無く藤原の躰を抱き締める。
背後から抱きしめられているので吹雪の顔を見る事が出来無いけど彼の温もりを感じる事が出来る。
何だか嬉しい・・・この時ばかりは、吹雪を独占していると思えるから。
「僕の心は、藤原のモノなんだよ。もしかして心だけじゃダメ?」
コイツは、ズルイ・・・心なんて見えないじゃないか。
「心が僕だけのモノって口で言っても見えるモノじゃない。信じられない。」
「・・・それは、そうだけど・・・でも僕にとって藤原が1番なんだよ」
項に感じる吹雪の吐息。
ゾクゾクしてしまい思わず首を竦めてしまう。
その反応に気を良くしたのか首筋をチュッチュッと吸われたりペロッと舐められたり擽ったいのと性的快感を
感じてしまう。
「藤原って美味しいね」
「なっ・・・なに・・・」
振り返ると顔まで舐められてしまった。
「やっぱり藤原は、何処を舐めても美味しいよ。」
容赦無く顔を舐められる。
正直少し気持ちが悪い。
「僕がこんな事するの藤原だけなんだからね」
そんな事解ってる・・・解ってるんだ。
「ねぇ・・・もっと味わいたいんだけどいいかな?」
(味わう????)
眉間に皺を寄せ訝しい顔をしていると
「!!!」
「解った?」
下肢を掴まれヤワヤワと握られたら肯くしかない。
「味わっていい?」
「はふ・・・ダメって言ってもするんだろう?」
次第に朱に染まる藤原の顔を楽しげに見つめながら
「当然だよ」
「だったら・・・聞くな・・・」
「じゃ〜するよ」
(断ってもするクセに・・・なんで聞くんだ)
「あっ・・・」
ソファの上に押し倒されてしまう。
「ここで・・・???」
「する事は、同じなんだよ」
嬉しそうに伸しかかって来る吹雪。
「ここじゃ・・・狭い・・・」
恥かしさ故に思わず顔をそらしてしまう。
以前そんな態度を取った時吹雪から
『そんな態度を取ったら誘っている様にしか見えないよ』
って言われたのに・・・でも恥かしいと顔を反らすのって普通じゃないか・・・それを誘っていると言われても
どうしたらいいんだ?
「クスッ・・・本当藤原って可愛い反応するんだね。それに僕の気持ちを擽るのが上手だし・・・」
「あっ・・・やぁ・・・」
「やぁ・・・じゃないだろう?ココをこんなに固くしているのに。」
ギュッと中心部分を掴まれて息が詰る。
「本当藤原って感じやすいんだね。まだココしか触ってないのに」
そう未だ躰を愛撫されていない。互いに服を着たままだしキスだってしてない。
「ふぶき・・・」
潤んだ瞳で思わず『キス』を強請ってしまう。
それを察した吹雪は、素直にキスをしてあげる。
啄む様なキスを何度も繰り返し次第に深めて行く。
その間に藤原から衣服を剥ぎ取り全身を手で撫でまわす。
++++
「はぁぁ・・・あああぁぁ・・・ふぅぅ・・・」
取りとめなく紡がれる喘ぎ声。緑の髪を振り乱し生理的現象から涙を零している。
その様が可愛い。そして胸を締め付ける程愛おしい。
背を仰け反らせ快楽の波に漂う。
男根から白い粘液を滴らせ互いの下腹部を濡らしている。
(藤原・・・本当に君は、可愛いよ・・・)
(躰は、大人なのに心は、幼い。君のそんなギャップが僕を惹き付けているのかも知れない。)
それは、違う事ぐらい気がついている。だがもし何か理由が必要だとしたら何と言えばいいのだろうか?
心の繋がり?絆?そんな言葉で言いあらわせられるモノじゃない。
何度躰を繋いでも繋ぎ足りない。もっともっとと求めてしまう。
まるで底無し沼にでも落ちたかの様な気になる。
「はぅふぁぁ・・・もう・・・もう・・・だ・・・」
「ああ・・・イって良いよ。僕ももうそろそろ限界だからね」
そう言って一度藤原の躰から抜き出し更に勢いをつけて最奥まで一気に刺し貫く。
押し寄せて来る大きな波に飲み込まれ藤原は、そのまま達してしまった。
藤原がイッた事により吹雪の男根に対する締め付けが今迄以上に行われ全ての精液を絞り取られる
感覚に陥ってしまった。
気を失った藤原の頬を撫でながら
「藤原とHな事してたら暑い事なんて忘れてたよ。」
(だって君とのHの方が熱くていっぱい汗かいたから。寧ろ今の方が涼しいかも・・・)
「さぁ〜て汗でも流して君をベッドへ運ばないとね」
このままシャワールームで目覚めてくれたらそのまま2ラウンド目に突入するんだけど・・・
その夜も熱い中2人は、互いの熱を交換しあい互いの汗と白にまみれた事は、言うまでも無い。