退屈


たまには、こんな日も在る。

ジャンクを拾いに行こうと出かけたら急などしゃぶりの雨でズブ濡れになり。

自宅に戻り先日拾ったジャンクの修理をしようと弄れば更に壊れてしまう。

誰しも不調と言うか運が無いと言うかそんな日も在ると思い何もしない事にした。

それによって出来た退屈な時間。

時間を持て余し何をして良いのか解らない。

(時間を持て余し潰すのは、苦手だ。)

そんな事を思いソファの置いてある部屋に行くとソファの上では、ジャックが何処から持って来た雑誌を

読んでいた。

コイツには、不調とか運が無いとかそういう事を聞いた覚えが無い。

 

何だか面白く無い・・・

 

遊星は、ジャックに近付くと雑誌を取り上げてる。

「何をするんだ?」

みるみる内に眉間に皺を寄せて睨みつけて来る。

当然と言えば当然だが不愉快だと感じたのだろう。

遊星が手にしている雑誌を奪い返そうと手を伸ばすが奪い返す事が出来なかった。

雑誌は、弧を描き離れた場所へと落ちて行ったのだから。

「何のつもりだ?」

険しい声が訪ねられるが何処吹く風の如く遊星は、ジャックの膝の上に座って来る。

別に隣に座っても構わなかった。

でも今のコイツの瞳には、オレしか写ってない、それを正面から確認したかった。

不機嫌な色を乗せた紫の瞳に写る自分に何故か満足してしまう。

「なぁ・・・しようぜ・・・」

「!」

眉間に寄っていた皺が次第に本数を減らす。

「お前から誘ってくるとは、珍しい。ああ・・・だから外が雨なんだな」

外の天気と自分の鼓動は、全くもって関係ない。

「するのかしないのか?」

「お前からの誘いを無碍に断るつもりは、無い」

ニヤけた顔、お尻を撫でる掌。

「貴様から誘ってきたんだサービスをしてもらわないとな」

お尻に触れる手を払いながら

「何を勘違いしているんだ?」

「?・・・まさかとは、思うがデュエルをしたいと言っているのか?」

デュエルの御誘いなら自ら膝の上に乗ってきて誘う必要も無いと思う。

「今 デュエルしてもオレに勝ち目は、無い。」

「だったら何をし・・・」

「少し黙れ」

人差し指をジャックの唇に軽く押し宛てて黙らせる。

そして遊星は、ジャックに顔を近付けて・・・

「オレがしたいのは・・・」

軽く押し当てられる唇。

まるでチュッチュッ・・・って音が似合うようなキスを何度もしてくる。

ジャックは、遊星がしたい事って子供がする様なキスだと気が付いて軽い眩暈を起こしてしまう。

自分が遊星に教えたキスは、舌を絡め吐息と意識を奪う様なキス。

それなのに遊星が今しているキスは・・・

「遊星 それでもキスをしているつもりなのか?」

「これがオレからするキスだ」

ジャックがする様なキスを遊星だってしたい、でも自分でするのは恥かしいのだ。

「ククク・・・可愛いキスをする。それならこれから先もっとお前からしろ。どんなキスであれお前からしてくる事に

変りは、無いのだからな」

そう子供がする様なキスでも遊星からしてくる事に変りが無いのだ。

てっきり否定をされてしまうと思っていたので肯定された事に驚き大きな瞳が丸く見開かれる。

「どうした?」

驚いて固まっている遊星に声をかけると。

「否定されるのかと思ってた・・・」

「お前からのキスなんだ。否定する理由なんて無い」

(今日は、朝から運が無い事続きだったがまさか・・・ククク・・・)

この時、解った事なのがジャックは不調や運が無い時は何もしないって事。

 

「お前のおかげで退屈しないで済みそうだ」

結局の事だが調子に乗って何度も啄む様なキスをしていたら欲情したジャックに襲われてしまい2人して

一日中ベッドで過す事になった。

一人だったら退屈な時間を持て余すけど二人ならそれなりに時間は、潰せるのだと改めて解った。


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