酔い


何度も遊星と酒を組交しているが遊星の酒癖なんて知らない。

コイツが強いか弱いかなんて解らない。

ただコイツは、酒を飲むと箍が外れるのか何時もと違う姿を見せてくれる。

遊星にしてみれば酒なんて普段の自分を脱ぎ捨てる手段でしかない。

酒の時だけ遊星は、可愛く甘えて来る。

誰に対しても甘えるワケでは、無い。

ちゃんと甘える相手を選んでいる。

ナーヴ達の前では、物静かに酒を飲み俺と2人っきりの時は、甘えて来る。

それ故にナーヴ達は、遊星の甘えた様な姿を見た事が無いのだ。

俺だけしか知らない遊星の姿。

これほど心地好いモノは、無い。

 

普段とのギャップの差に何度眩暈を起こした事か・・・

全身の穴と言う穴、毛穴と言う毛穴から沸騰した血液が噴水の如く噴き出そうになった事か・・・

 

今も現に遊星は、俺の膝の上に座り甘えている。

「遊星何をしている?」

「三つ編み・・・」

両サイドの長い髪で細い三つ編みを編んでいる。

「何故・・・三つ編みなんだ?」

「・・・イやか?・・・」

酒で潤んだ瞳で見上げられても・・・

「いや・・・そう言うワケでは、無いんだが・・・」

『イや』だなんて言えない。

コイツは、今の自分を自覚した上でやっているのか?それとも無意識の内でやっているのか・・・。

 

 

 

両サイドの長い髪は、綺麗に三つ編みにされてしまう。

そして三つ編みを完成させた遊星は、ジャックの胸に抱きつきながら

「温かい・・・気持ちイイ・・・ジャックの心臓の音が聞える・・・」

目を閉じ気持ち良さそうにしている。

瞼を閉じたまま顔を俺の方に向けると

「キスして」

強請って来るの。

待っている表情が可愛い。思わず笑みを浮かべてしまう。

(瞼を閉じていてくれて助かった・・・)

多分だらしない顔をしているかもしれないから。

 

 

 

「・・・ん・・・ふぅ・・・」

触れる様なキスを何度も繰り返しその都度深さを増して行く。

その内互いの舌を絡めあい。唾液や吐息まで交換しあう。

ジャックに抱き抱えられ遊星は、床の上に寝かされる。

圧し掛かって来る相手に

「床の上じゃ嫌だ。背中が痛くなる。」

抗議の言葉を投げかけて場所移動を強請る。

「いいだろう・・・」

場所を否定しつつも行為を受け入れる遊星を肩に担ぎベッドへ・・・

そこからは、縺れあうかの様に行為に没頭していった。

 

翌日・・・

「お前は、酒を飲むと人が代わったかの様に甘えて来るな。」

「///」

「お前は、俺限定で甘え上戸なのか?」

「それ以上・・・言わないでくれ・・・」

恥かしいのだろうジャックの方に背を向けて横になっている遊星。

ジャックは、そんな遊星の背を見ながら

「何故だ?俺にしてみれば嬉しい事だが?」

「オレにしてみれば恥かしい事だ。」

何故昨日は・・・と言うより酒を飲むとジャックに甘えてしまうのか何故ナーヴ達には、甘えないのか正直な所

遊星自身気が付いていないのだ。

だが甘えて来る自分をジャックは、受け止めてくれている。

何故か安心出来るのだ。

「これからもお前の酒癖は、俺だけが知っていればいい。」

(他の連中が知る必要も無い)

背を向けている遊星を背後から抱きしめ。

「今からもう一杯飲むか?」

耳元で誘う。

「イや・・・いい!!」

抱きしめて来るジャックの腕は、払い起き上がろうとしたが腰に走る痛みでベッドへ沈む。

「お前 夕べどれだけヤッタか忘れたのか?」

回数を考えたら起き上がるなんて到底無理な話し。

今日一日大人しく寝ているしかないのだ。

「この化け物〜」

余ほど痛かったのか涙目になりながら苦言を言う遊星に対し

「お前が甘えた様な声を出して何度も求めたんだろう?」

『ココに』と言う言葉は、言外にしながらも己が指先を遊星の蕾に触れさせる。

「ああ・・・そうだ今度は、ココにも酒を飲ませてみようか?」

どんだけ酔うのか見て見たい。

「お前 変態なのか?」

「そうだな。お前限定で変態なのだろう。」

「・・・」

きっとこの男に何を言っても無駄なのだろう・・・

 

今度からジャックの前で酔うのは、止めようと心に決める遊星だった。


戻る