細やか(ささやか)な時間
シャワーを終えバスタオルを頭に乗せリビングに来た遊星。
ちゃんと拭かずに出て来たのだろう雫がポタポタと滴り落ちている。
それをリビングに置かれているソファの上で雑誌を読んでいた。
ジャックがたまたま視線を上げた先に居たのは、シャワーを浴びたばかりの遊星。
「遊星 こっちに来い。」
雑誌を横に置き手招きをすると素直に来る。
足を広げてやるとその間に立ち。
「何だ?」
と問いかけてくる。
その間にもポタポタと雫が落ちてくる。
「ココに座れ」
足の間に指を指し指示すると
「!!」
急に顔を赤らめてジャックを睨んで来る。
何を想像したのか容易に解ってしまう程素直な反応。
大方 シャワーを浴びたばかりの遊星に欲情でもしたと思ったんだろうが生憎と欲情なんてしていない。
「向こうを向いて座れ。」
再度指示をする。抵抗するのかと思ったがやはり素直に従ってジャックに背を向け床に座る。
ジャックは、遊星の頭に乗っているタオルでワシャワシャと彼の頭を拭き出す。
「ジャ・・・ジャックそれぐらいオレだって出来る。」
ココに来てやっと見せた抵抗。だがその抵抗も言葉だけで嫌がる素振りを見せない。
「大人しくしていろ」
言葉で戒めると黙ってしまう。
こうしているとまるで子供の様な遊星。
頭脳明晰で無愛想。他人を寄せ付けない雰囲気を醸し出しているのにそれなのに人一倍寂しがり屋。
ジャックに大人しく頭を拭かせているのも構ってもらえて嬉しい事の現れ。
「気持ちイイ・・・」
ボソッと零れた言葉。ジャックは、それを聞き逃す事無く
「これぐらい何時でもやってやる」
応えてやればタオルで見えなくても遊星が穏やか顔をした事ぐらい感じ取れる。
(全くサテライトのキングと呼ばれているこの俺がコイツだけには、叶わないなんて・・・)
だが悪い気は、しない。寧ろこの時間こそが自分の追い求めるモノの1つであると何処かで感じた。
2人だけで過す細やかな時間・・・こんな時間が続けばイイ・・・続かないまでも何時か何処かで続きを開始
すればイイ・・・