痣を継ぐ者


ああ・・・何と言う事だろう。

聡明だった我が弟が我と同じ過ちを犯そうとは・・・

ルドガーは、暗闇の中でレクスの行いをただただ見ている事しか出来なかった。

ただ今自分が出来る事を考えて。

そして導き出したのだ。

「『赤き竜』よ!!何時まで愚行を行う者の手に居る。お前の神眼は、曇っているのか!!

今こそお前の力を正しく使おうとしている者達の元へと行くべきでは、無いのか?」

『赤き竜』の力を使うに相応しい相手の元に返る事を。

だが自分の声が『赤き竜』に届くのか解らなかった。

それでも『赤き竜』に問うしかなかった。

その声を聞き届けたのかそれとも不動遊星の言葉や仲間達の想いに共鳴したのか『赤き竜』は、想いを受け

止めたかの様にレクスから離れシグナー達の元へと戻った。

『赤き竜』のシグナーは、5人必要だと言うのにドラゴン・ヘッドの痣を所有していたルドガーは既にこの世には

存在しない。

『赤き竜』は、どう采配するのか見ていると不動遊星にドラゴン・ヘッドを与え。

そしてどんなに危険な状況に追い込まれ様と小さな子供達を思いやり遊星やジャックに惜しみなく力を貸してくれ

たクロウを新たなシグナーに任命した。

その判断にルドガーは、満足していた。

「『赤き竜』よ感謝する。」

不動遊星よ。我が痣を継ぐ者よ。本来なら我等が兄弟がお前達を導かないといけないのだが不甲斐無い我等

に代わってお前が他のシグナー達を導いてくれ。

この先、如何なる苦難が待ち受けていか解らない。

だがお前なら・・・いやこれは、お前しか出来ないのだ。

頼んだぞ不動博士の忘れ形見にして我の痣を継ぎし我が忘れ形見よ。

 

ルドガーは、レクスの傍に現れ無言ながらに「負けなんだよレクス」と伝えた。

不動遊星、我等を悪夢から目覚めさせてくれて礼を言う・・・


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