水遊び
鼻歌まじりで仕事をしている博士。
「博士楽しそうですね」
「ああ 明日息子とプールに行くんだ。」
明日は、久しぶりの休み。
親子水煎らず触れあえる日。
しかも博士曰く遊星は、家庭用のナイロンプールで遊んだ事があっても公共のプールで遊んだ事が無いと
言うのだ。
息子のプールデビューに自分が関れて嬉しいのだと言う。
「では、防水加工されたビデオやデジカメが必要ですね。」
「勿論用意したよ。」
不動博士とレクスが楽しく話しているのを何処か楽しくなさそうに聞いているルドガー。
彼にしてみれば休みなんて不用なモノでしかない。
尊敬する人に会える事が喜びなのだ。
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「遊星楽しいかい?」
「キャッキャッ〜」
子供用の浅いプールで遊星と遊んでいる不動博士。
「楽しそうですね。」
背後から不動博士を覆うような大きな影。
父親の背後に居る人物を見て大喜びしている遊星。
回りに居る女性達の視線まで集めている様だ。
「フゥ〜こんな所で何をしているんだい?ルドガー」
溜息交じりで呆れた声で訪ねると
「心外ですな。我々だって泳ぎに来ますよ。」
「我々って・・・無理矢理レクスを巻き込んで威張るんじゃない。」
おおかたルドガーが提案した事だろうがそれを拒む事なく受け入れるレクス。
兄に対して何と言う甘さなんだろう・・・
「博士 お休みの所スミマセン」
ルドガーの後ろから申し訳なさそうにしているのだろうレクスの声が聞こえる。
不動博士が遊星を抱き上げて立ち上がると
「大の大人が3人もこんな小さな浅いプールに居ると違和感を感じるからあっちの大人用に行こう。」
ガタイの大きな大人が居たら子供達が怖がるだろうし親達も不安だろう。
しかし何とプールが似合わない兄弟なんだ。
この兄弟なら海でサーフィンとかが似合うだろう。
小さな浮き輪を付けられながらレクスに遊んで貰っている遊星。
流石兄の面倒を良く見るだけあって遊星の面倒見も良い。
「さっきから女性の視線が痛いのだが・・・」
「そうですか?私は、何も感じませんが」
「それは、君が鈍いからだよ。」
プールサイドに置かれた椅子に座りながら冷たいジュースを口に含む。
あちらこちらから盗み見する女性の視線を感じるしさっきから何度か女性からの声もかけられる。
しかも声をかけられているのは、幼い遊星では無くルドガーの方。
俗に言う逆ナンパと言うヤツだ。
如何に女性が声をかけて来ようがルドガーは、何故か断っている。
断られる女性には、申し訳無いが気分が良い。
どんな女性が近付こうがこの男は、自分以外の者に興味を持っていない。
この男は、自分だけのモノなのだ。
しかし太陽の元、見慣れている筈の逞しい肉体が更に健康的で逞しく見える。
この逞しい肉体に無条件で触れられるのは、自分だけなのだ。
何時も研究室で白衣に身を包まれた博士を目にしているし2人だけの秘め事で何度も博士の裸体を見て
いたが眩しい太陽の光の元で見る白い肌の何と綺麗な事か・・・
心がトキメイテしまい癒されていくのを感じる。
『目の保養』と言うのは、こう言う事を言うのだろうか?
不動博士は、気が付いていないのか女性の視線を一身に集めているのは、貴方だと言う事に・・・
「ほ〜ら遊星 少しパパに抱っこして貰うといいよ。」
「あっもう上がって来たのか」
「あまり水の中に入っていると体温が低下してしまい躰によくありませんからね。少し躰を温めておかないと」
確かに少し遊星の躰が冷たい。不動博士は、遊星を抱き抱え冷たくなった躰を温める。
大の大人の男が3人が幼い男の子が1人を取り囲む光景・・・
異様な光景と言えば異様な光景なのだが多分別の意味で更に女性の視線を集めてしまっているようだ。
しかも微かに聞こえて来るのは
「ちょっと〜あそこに居る人達ってマジ恰好良くない?」
「あの片目の人ってイケメンじゃん」
「小さな子って超可愛い!!」
色立つ声。
「君達が居ると色々と目立つね」
「スミマセン・・・」
申し訳なさそうに謝るレクスに
「気にしなくて良いよ。とても新鮮で楽しいのだから。」
研究室では、味わえない空気が楽しいのだ。
毎日仕事の話しばかりなのに仕事の話し抜きでこの堅物2人と一緒に居られるのだ。
しかも今日は、愛息子と一緒なのだ。楽しくない筈が無い。
「博士・・・」
「どうしたんだい?」
恐る恐る話しかけるルドガー
「シ〜。遊星がウトウトしているんですよ。」
小声で話しかけるその先には、初めてのプールではしゃぎ過ぎて疲れたのだろう遊星の可愛い瞼が半分下がっ
てウトウトしている。
「今日は、ココまでだね。」
可愛い寝顔を今にも見せてくれそうなので不動博士は、帰る事を決断する。
「兄さん我々も御暇させていただきましょうか」
元々不動博士が遊星と一緒にプールに来ていると言う事だけで来たのだ博士が「帰る」と言うのなら自分達も
プールに居る理由なんてない。
「博士今夜海馬Co.主催で花火大会が行われるんです。よろしかったら遊星と一緒に見に行かれたらどうです?
兄さんもお誘いしたらどうなんです?」
「レ・・・レクス!!」
「花火大会か・・・いいね。見に行こう何時から行われるんだい?」
「はぁ・・・18時頃から露店が開店する予定で20時頃から花火が打ち上げられる予定です。」
ルドガーが一応打ち上げられる予定を言うと
「では、遊星を連れて見に行こう!!」
「しかしもし遊星が起きなければどうされるんです?」
困惑しているルドガーに
「寝ていても連れて行くさ。だって花火の音と喧騒で目が覚めるかもしれないだろ?遊星に綺麗な花火を見せて
やりたい」
何処か嬉しそうに話している不動博士の横顔に思わず魅入ってしまう。
「でしたら我々も御一緒させていただいてよろしいですか?」
「レクス!!それは、図々しいぞ」
「構わないよ。君達なら遊星も安心して大人しくしてくれるだろうし長身の君達なら遊星を高い位置から花火
を見せてくれるだろうから」
誰よりもどの子よりも高い肩車から見える打ち上げ花火。
それを呆然と魅入っている遊星を見るのは、親として嬉しい事は無い。
(これで兄さんが喜んでくれたらいいのだけど・・・)
(でかしたぞ!!我が弟よ〜!!)
水着姿に浴衣姿を1日で見られる喜びにルドガーの胸が高鳴った。
帰宅準備をしながら既に心は、今夜の花火大会に向いている3人だった。
<遊星は、寝ていたので今夜の事を全く知るよしが無かった>
4人が穿いているのはトランクスタイプの海パンです。