密会話
「すまないルディー・・・私が邪神に心を捧げていれば・・・」
薄暗い空間。
天井や床が存在するのか解らない。
「君の腕に浮かんでいた痣は、善き心を持っていた証なのに・・・君が彼等を導かなければならないのに・・・」
沈んだ声で俯きながら話す不動博士に対しルドガーは、優しい笑みを浮かべて
「私は、後悔していません。寧ろ喜んでいるのです。」
「ルディー?」
「不動博士。貴方には、息子が居る。貴方には、その息子に誇れる父親で居て欲しいのです。」
「しかし、それが原因で君が邪神にその心も身も捧げて・・・」
ルドガーは、不動博士の口に人差し指を当て言葉を遮る。
「博士 確かに私は、身も心も邪神に捧げました。そしてその代わりに貴方の子息が成長するのを見守る事も
デュエルをする事も出来ました。」
何処か満足そうに話すルドガー。
そして・・・
「私に勝たなければこの先彼等は、先に進む事が出来ないのですよ。」
「ルドガー・・・」
「彼等が進む先には、幾多の強敵が待ち構えています。私の様な者に負けていては、先が無いのです。」
「君は、自分が悪者になってまで彼等を・・・」
「貴方では、荷が重すぎるのです。そして貴方では、彼等と闘う事が出来ない。」
ルドガーは、ダークシグナーになる事で彼等を鍛え導く事を選び彼等に真の敵を知らしめる事にしたのだ。
そしてそれは、見事に彼等に『結束』『絆』を持ってして強くなる事を教え更に邪神を復活させようとしてい者達の
存在を知らしめる事に成功した。
「貴方が貴方の役目を果たした様に私は、私の役目を果たしました。」
不動博士は、彼等に特殊能力が備わったシンクロモンスターとも言うべきドラゴンを残し与えた。
(正確には、博士の遺言のもとレクスが赤き竜のシグナーの手元に行くように仕向けたのだが)
「そ・・・」
尚且つ言葉を続け様とする不動博士に対して
「さっきも言いましたが私は、私の役目を果たしたのです。それで良いと思いませんか?」
何処か清々しい表情を浮かべてているルドガーに不動博士は、彼が自分の進んだ道に後悔をしていない事を
気付き
「どんな形であれ我々は、あの子達の役にたてたのだね。」
「そうですよ。彼等には、強い絆で結ばれた仲間が居る。それは、シグナーとしての垣根を越えて多くの人と出会い
増えていく。絆が原因で束縛されるかもしれないがそれによってもたらされる力は、絶大。」
その闘いに自分は、参加出来ない事がただただ寂しいのだが。
「これから先は、見守っていきましょう。そして彼等がピンチに陥った時陰から手を差し伸べましょう。」
その言葉に不動博士は、肯いた。
「ありがとう・・・」
俯きルドガーの胸に頭を少し押しつけながら小さな声でルドガーに礼を述べながら。
だがその声は、余りにも小さかったのでルドガーに届く事が無かった。
遊星・・・君に父親らしい事出来なくてゴメン・・・
何も出来ないかもしれないが・・・それでも君の傍に居るから・・・
風となり光となり水や草木となって君の傍に居るからね。