内緒・内緒-5-
郵便受けから郵便物を取り出す。
遊星が宛名と差し出し人を確認していると1通のエアメールがあった。
宛名は、ジャック。
差し出し人は、アメリカに居た頃にジャックが付き合っていた女性。
そして自分達の関係もアメリカに居る頃から続いている。
アトラス夫妻もジャックの恋人も自分達の関係を全く知らない。
複雑な心境を共に胸に針で刺される様な痛みを感じた。
コンコン・・・
ジャックの部屋の扉をノックする。
幾ら兄妹とは、言え互いのプライベートを尊重しないといけない。
「開いてるぞ。」
その言葉に遊星は、ジャックの部屋に入ろうと扉を開ける。
「!!!」
目の前では、上半身裸のジャック。
手には、タンクトップを持っている。
多分着替えの途中なんだろう。
「きっ・・・着替えているなら着替えているって言いなさいよ〜!」
恥ずかしくいのか顔を赤面して怒る遊星。
ジャックの方に背を向け立つ。
「互いの裸なら何度も見ているだろう?」
意味深に言うジャック。
確かに互いの裸は、見ている・・・見ていると言っても営みの時だけ。
それにその時は、遊星自身熱に浮かされ余り覚えていないのだ。
「それより何の用だ?」
ベッドの上にタンクトップを置くと遊星に近付く。
ジャックに背を向けている遊星だが何時もなら背後から近付くジャックの気配に気が付くのに考え事をしていた
所為かいとも簡単に掴まってしまう。
「遊星 何を考えている?」
耳元で囁かれる声にゾクゾクしてくる。
「ジャックに手紙よ。」
顔を見られない様にしながら自分を抱きしめて来る男に手紙を渡そうとする。
「ふ〜ん・・・」
ジャックは、興味無さそうにその手紙を受け取ると床の上に落す。
「ジャック!!恋人からの手紙でしょ?」
ジャックの腕を振り解き手紙を拾うとするがジャックの腕がそれを許さない。
「誰が誰の恋人だと?俺は、お前以外興味無い。」
遊星の耳朶を甘噛みし舌先を差し込む。
遊星を抱きしめる手も怪しく動き出す。
「あっ・・・誰って・・・アメリカに居た時の恋人じゃない・・・」
「ああ・・・確かに居たな。だが恋人だなんて思った事なんて1度も無い・・・グッ・・・」
遊星の躰を弄っていると不意に足に痛みが走る。
油断をしていたジャックの足の甲に遊星の踵が落されたのだ。
何とかジャックの腕から逃れた遊星。
「恋人じゃない・・・って言うのなら何故・・・彼女と付き合ったの?」
蒼い瞳に怒りにも似た問いが見えた。
「女の方から言い寄って来ただけ。俺には、最初からお前しか居ない。」
蒼い瞳に自分の姿だけが写し出される。
どんな感情でもかまわない遊星の蒼い瞳に写し出されるのなら。
「義理とは、言え妹に手を出すなんて最低な義兄ね。」
ジャックの腕から逃れたと言っても散々弄られた躰には、熱が篭り遊星の動きを鈍くさせている。
ジリジリと近付くジャックに対し遊星は、後ろにさがり距離を保つ。
だがそれは、壁によって終りを告げられ後ろに逃げる事が出来なくなる。
退路を絶たれた遊星は、横に少しずつズレながらジャックに掴まらない様にする。
「俺は、1度もお前を義妹だと思った事なんてない。」
その言葉に遊星の胸が痛む。
(兄だと思いたいのに・・・。)
一瞬 遊星の気持ちがジャックから離れた。
その隙を突かれ遊星は、ジャックに掴まってしまう。
「俺を前にして考え事とは、余裕だな。ん?」
顎を掴まれ上に向けさせられ貪る様なキスをされる。
「・・・こんな事・・・彼女にも・・・したのでしょ?・・・」
「こんな事とはキスの事か?それともこれの事か?」
服越しに遊星の下肢の双丘に触れる。
「・・・ン・・・両・・・方・・・」
「ククク・・・キスだけならしたがSEXは、お前以外した事が無い。遊星何度も言わせるな。俺には、最初から
お前だけだと。」
服の上だったジャックの手が服の中に入り遊星の躰を弄る。
立っているのが辛くなり目の前のジャックに持たれかかる。
耳に聞こえる鼓動。
温かい温もり。
何故か安心してしまう。
このまま素直に身を委ねてしまいたい。
だがそんな遊星を、例え義理とは言え『兄妹』と言う言葉の壁が立ち塞がる。
素直になれない遊星。
そんな遊星を床に横たえるとジャックは、容赦無く伸しかかり彼女の性感帯を刺激しだす。
+++
床の上。
躰を貪られる最中視界の中で目に止まる1通の手紙。
読まれ事の無い彼女の手紙。
胸が痛い・・・心が痛い・・・。
もしジャックと兄妹じゃなければ・・・1人の女だったら彼の恋人として喜んで抱かれたかもしれない。
だが兄妹だったらから彼の傍に居る当たり前の様に居る事が出来る。
自分が普通の女の子だったらジャックは、自分に興味を持っただろうか?
自分の気持ちもあの手紙と同じ扱いを受けたかも知れない。
そんな遊星の気持ちを知らずしてジャックは、遊星の躰を貪る。
彼女に自分を刻み付ける為に。
ジャックにしてみれば遊星さえ手に入れば今迄付き合った女性なんて関係ないのだ。
「遊星 俺から気を反らすな。今は、俺を感じていろ。」
遊星の両足を左右に開きその間に自分の躰を進める。
狭い場所を突き進む。
逃げる様に躰をずらしながら汗が一気に噴出し背を反らす遊星。
ジャックは、遊星の腰を掴み逃げない様にしながら抽挿を繰り返す。
最初は、ゆっくりだったが次第に激しさを増して行く。
ジャックは、自分を義妹だと思っていないと言う。
それなら自分達の関係は?
ジャックは、自分の事をどう思っているのだろう?
恋人?それとも・・・。
自分は?自分は、ジャックの事を本当に義兄と思っているのだろうか?
イヤ 自分は、ジャックの事を1人の男とし見ている。
ただ互いに『好き』だとも『愛している』だとも言った事が無い。
遊星から無意識の内に伸ばされた手。
その手は、ジャックの頬に優しく触れる。
一瞬驚いたがジャックは、その手を払う事無く自分の手を重ねる。
何処か寂しそうで悲しそうな遊星の顔。
その表情を見てジャックの胸が痛んだ。
頬に触れている遊星の手を自分の唇に触れさせる。
(何故・・・そんな顔をしてる・・・俺の何がイケナイ?)
愛を囁いているし行動にも移している。
それが間違っているのか?それとも足りないのか・・・?
答えが出ないまま行為を続けた。