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ガラガラ・・・・
病院内をストレッチャーが大急ぎでICUに
向かって走っていた。
「兄サマ!!兄サマ!!〜」
俺に縋り泣きじゃくるモクバ・・・
それを何処か他人事のように見つめる自分が
居る・・・
一応言っておくがストレッチャーに寝ているのは
紛れも無く俺自身なのだが・・・
どう言う訳かそれを見つめている俺も居るんだが
只傍で見ているワケでは、無い
白いモヤの中にハッキリとしたビジョンが見えて
いるだけなのだ
見ているそれが現実なのか夢なのか実感が無い
ビジョンから流れてくる情報によれば
どうやら俺は『過労』で倒れたらしい
ここ暫く寝る間も殆ど無く休日なんて全く無かった
自分自身を労わるなんて考えた事も無い
暫くビジョンを見ていた
その後、今自分が何処にいるのか気になり周りを
見渡してみると
そこは、上下左右何て全然解らない暗闇の中・・・
当然の事ながら床なんて無い
俺自身浮いているのか地に足が着いているのか
なんて解らない・・・
そう言えば昔聞いた事があるのだが・・・
死ぬ時、最初に訪れる場所が暗闇のトンネルらしい
そのトンネルを自分が感じるまま進めば光が見える
らしくその光の先には、花畑が・・・さらにその先には
三途の川があり
その三途の川(忘却の川もしくわレテの川)を渡れば
そこから先が死者が住むと言われている霊界・・・
俺が居るのは、多分その最初のトンネルだろう・・・
そうなると何処かに光の出口があるハズだ。
俺は、それを目指してその場を離れる事にした。
・・・のだがその時、背後から
「お前ゲームが強いのか?
もし強いのなら俺の相手をしてくれないか?」
などと声をかけてくるヤツがいる
そんな言葉を無視してもよかったのだが別に急ぐワケ
でも無いのでその声の方に振り向いたら
そこに居たのは、黒いマントと黒い服・・・
その背には、やや暗めだが対の翼・・・
これが俺とこの黒衣の天使との出会いだった
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