17.約束
「・・・ぎ・・・ゆうぎ・・・」

誰だ俺を呼ぶのは・・・
呼ばないでくれ・・・俺は、このまま寝て居たいんだ・・・

「ぎ・・・ゆうぎ・・・い・・・加減眼・・・開け・・・」

懐しい声だよな〜
この声何処で聞いたんだろう???

俺は、その声の主に会った事があるような気がした。

顔を見れば思い出すかな???

そんな思考の中 俺は思い目蓋を開けた。
自分を見つめる蒼い瞳・・・
真っ暗な空間を背後にし見えるは懐かしい顔

海馬???否違うこの顔は・・・

「セト?」
「やっと眼が覚めたか遊戯」
自分に向けられている笑顔・・・
会いたくて会えなかった愛しい人・・・
「セトどうしてココに・・・それに俺・・・消滅したんじゃ」
思い出したくない現実・・・
遊戯は、海馬の目の前で消滅をした。
消滅した以上自分の自我なんてある訳が無い
でも今の自分は・・・肉体を持ち自分の意思がある
「俺がかけた最後の魔法が発動したんだ・・・」
「最後の魔法???」
遊戯は、小首を傾げながら身体を起こしセトの顔を見
つめた。
「そう・・・俺がお前にあげたマントには、俺の魔法が
かけられていたんだ・・・お前がココに来るように」
セトは、遊戯の頬を両手で挟むと
「遊戯 お前は、人間界に行き海馬瀬人の傍に居る
んだ。」
優しく穏やかな表情・・・
それに引き換え遊戯の表情は、大きな紅い眼を見開
き驚いていた。
「セト・・・俺・・・お前の傍を離れたくないぜ!!
やっとお前に逢えたのに・・・逢って直ぐにお別れなん
て嫌だぜ!!俺・・・お前の傍に居たい・・・」
大きな眼から止めど無く涙が溢れ出す。
「俺もお前の傍に居たい・・・その気持ちは、今も昔も
変わらない」
「だったら何故!!」
詰め寄る遊戯にセトは
「遊戯 あれを見ろ」
そう言って何も無かった暗い空間に何やら映像が映
し出されそこに写っていたモノは
「海馬!!それに相棒!!」
遊戯の見知った顔・・・
しかしながら2人の表情は落ち込み何かヤツレタ様な
気がした。
「遊戯 あの2人の為に戻るんだ」
「でもセト・・・セトは、どうするんだ?」
「俺は、お前の心の中に居るし海馬瀬人は、俺の転
生した姿・・・海馬瀬人の魂の中に生き続ける」
明かされた真実に遊戯が驚いていると
「遊戯 海馬は俺自身だが魔法は使えない・・・
そして精神面でも俺より幼い・・・
遊戯 俺と約束してくれないか?
これから先何が起きても海馬瀬人の傍を離れない
って」
「セト!!言葉の中に隠された。愛の告白・・・」
遊戯は、セトに抱きつきながら
「約束するぜ・・・そのかわりセトも海馬も俺を傍に置く
って約束してくれ」
「ああ・・・約束しよう」
軽く触れる唇・・・約束の証・・・
「遊戯 向こう世界に送ってやる」
「どうやって?」
セトは、遊戯の片手を持ち上げるとそこには、携帯
電話が握られておりセトは、これを使って遊戯を送
ってくれると言う

その頃 海馬邸では
「海馬瀬人・・・そのマントを握り遊戯の名を呼べ」
「ユーギ?」
何時もと表情の違うユーギ・・・
「俺がかけた最後の魔法の効力が切れる前に・・・」

魔法!!まさか遊戯が言っていたセト!!

非現実だと思いたいが遊戯が戻ってくるかもしれない
そんな思いが海馬の胸を過ぎった。
「海馬瀬人・・・遊戯を幸せにしろよ」
「フン!貴様に言われる筋合いは無い」
そう言いながらマントを握り締めながら遊戯を呼んだ
心の底から遊戯を呼ぶ海馬を見つめながら
「遊戯 幸せになるんだ」
そう呟きユーギの中から意識を消した。


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