- 「う・・・ん・・・」
- 躯が重くて思う様に動かせない
- 頭もスッキリしない
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- ゆっくり目を開けると見た事があるような無いような天井・・・
- 今 自分が何処に居るのか解らない
- ハッキリとしない意識の中天井を見詰めながら
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- オレは一体???
- この躯の重さ気だるさは?
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- 頭の中を疑問が駆け巡る
- 「ユキ目が覚めたのか?」
- 聞き慣れた声
- ユキは、ゆっくり声の方に顔を向ける
- 「瀬人?オレは?」
- 「貴様が橋桁の傍で倒れているのを見つけたんだ」
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- 橋桁?オレは何を・・・!!
- そうだオレは!
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- ユキは、その時 想い出したくも無い事を思い出したのだ
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- オレは羅刹に・・・
- 「ユキどうしたんだ?」
- 蒼白になっていくユキの傍に寄るとユキは、瀬人の方に背を向け
- 「来ないでくれ!!」
- 掛け布団を頭から被り瀬人が傍に寄る事を拒絶する
- そんなユキの姿を見詰めながら瀬人の心は、締め付けられる想いがした。
- 自分がユキに・・・否 遊戯に何をしたのか
- 女にとってどんなに辛く悲しい事をしたのか
- その行為がどれだけ相手を傷つけるのか解っている・・・
- しかし自分は、ユキが欲しかった
- どんな事をしても相手を傷つけ泣かせる事だと解っていても欲しかった。
- 自分は、奪う事でしか相手に思いを伝えられない・・・
- ユキに出会うまでは・・・
- ユキに出会い言葉で想いを伝える事を知った。
- 瀬人なら言葉でユキに想いを伝えられる
- しかし羅刹は?敵同士なのだ言葉で言っても伝わらないであろう
- そうなると実力行使で・・・相手に一方通な伝わらない想い
- 「ユキ泣くな・・・貴様が泣けば俺は、どうしていいのか判らない」
- 掛け布団越しでユキの震える躯を抱き締めた。
- ビックと反応をするユキ
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- 瀬人にだけは知られたくない・・・
- 好きだから・・・
-
- 布団の中 自分の胸元を見て愕然した。
- 胸の谷間の上部に見える紅い痕・・・
- それも着物の合わせ部分でも隠せない位置
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- もしかして瀬人に見られた!
- 知られたのかもしれない!!
- 瀬人に嫌われるかもしれない・・・
-
- そんな想いがユキの心の中を駆け巡る
- 「瀬人・・・オレの事 嫌いにならないで・・・」
- 掠れた声・・・
- 「何があってもオレの事・・・」
- 願い・・・
- 「俺が生涯の伴侶と決めたのは貴様だけ
- 何があっても貴様の事が好きだ」
- 「・・・ありがとう・・・」