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フ〜
疲れる・・・

自分にとって興味の無いパーティー・・・
隣国と言うだけでこの国 シャイン・キングダムの
皇女ユウキの聖誕祭に出席を余儀なくされたが・・・
近年まれにみる美姫とあって諸外国の王族がこぞって
参加している
中には、着飾った女も居る・・・
このパーティーでどこぞの王族を射止める気でいるのか
はたまたこの国の国王遊戯を目当てとしているのか
まぁ大方両方なんだろうが

「御初に御目にかかります。私は・・・・」
「貴殿が噂に高きカイバ帝国の・・・」
「噂どおり素敵な方ですわ・・・」

鬱陶しい連中だ
カイバ帝国に取り入ろうとする輩
ここがカイバ帝国だったら即刻追い出してやる所なのだが
他国と言う事もあってどうする事も出来ない
むしろ妹皇女ユウキの聖誕祭に国王であり兄である遊戯が「諸事情で」
と言う理由だけで遅刻するとは、何と言う事だ!!

怒り心頭だったがそれを表に出す事無く近寄ってくる輩にそれ相応
の対処をしていた。

今回のこのパーティーは、皇女の嫁ぎ先を決めるかもしれない・・・
と言う意味合いも含めて行なわれている
しかしカイバ帝国皇帝セトには、そんな事に興味が無かった。
ただこの国の国王遊戯がゲームに滅法強いと聴いたので御手合わせ
していただこうと思って来たのだ。
もしその時 皇女との婚姻を条件に出されたら
不本意だがその条件を飲む気で居る
遊戯がそんな事するのかどうかは不明だが
理不尽な条件を出してくる輩が多いのは、事実だ。
更にセトの様な独身者には・・・
そんな時 フト目の端に止まった少女・・・
そちらに眼をやると
紅い逆立った髪
ルビーを思わせる紅い瞳
それに合わせられた紅いドレス・・・
装飾品は、これと言って派手な物は着けていないのに
身に纏いし高貴なオーラによって存在感がある
少女は、王侯貴族と思われる男と何やら楽しげに雑談をしていた。
少女を自分の方に向けたい・・・そう思い近づくと
「それじゃマハードまた後で・・・」
少女は、先程話していた男と離れ自分の方に歩み寄って来た。
「私の顔に何かついていますか?」
「いや・・・」

美しい・・・

「あまりジロジロ見られると穴が開いてしまいますわ」
屈託の無い笑顔に見惚れてしまう
「恐れ多い事だが貴女の御名前を御聞かせ願いたい」
「御自身の名を名乗ってから相手に名を尋ねるのが礼儀ですよ
カイバ帝国の皇帝セト様」
「ほう既に貴女の様な美しい人が私の名を御存知とは、光栄です。」
「貴方様も皇女ユウキ様の婚約候補なのですか?」
「いいえ・・・私はこの国王遊戯様の方に用があって参ったのです」
少女は、笑顔を崩す事無く
「珍しい方ですのね シャイン・キングダムは近隣諸国では古からある
名門中の名門・・・その血筋を取り入れたいと思う方々多いのに」
シャイン・キングダム・・・確かにその歴史は、古く
古の時代には、神々と婚姻関係を結び国を護ってきたと言われている
現に歴代の王達の魔力は、強く
多くのモンスター達を従えているとさえ言われて来た。
その中で稀に見る力を持っているのが現国王遊戯なのだ
「確かに名門の名は魅力があるが子孫を残すだけなら
その相手を今決める必要もない」
その言葉は、少女にとって予想外だったのか驚いたような表情を一瞬見せた
「貴方にとって婚姻の相手とは、どの様な人なのですか?」
「互いを高め合う存在でなければ意味がなかろう」
少女は、穏やかな表情で何かを納得したのか踵を返すとそのまま去ってしまおう
とした。
そんな少女の腕を掴んで
「貴女の名を教えていただこうか?」
少女は、掴まれていた腕を軽く退けるとセトの頬に軽く手を当て
「今度逢ったら教えてあげる」
とだけ告げてセトの前から立ち去った。
暫く呆然としていたセトだったが我に返ると給仕をしていた者に紅い髪の少女の
事を尋ねた。
しかし給仕には、全く覚えが無いらしい
そんな折 どこからとも無く湧き上がる黄色い声
「やっと御目見えになられましたわ」
「本当御兄妹揃って美しいですわね」
「遊戯様は、どの様な女性を正妃に娶られるのかしら?」

遊戯・・・!

その名前にセトは、反応し黄色い声が上がる方に歩み寄った。
そこで眼にした人物にセトは、驚きを隠せなかった。
国王遊戯は、自分達兄妹に話しかけてくる連中に挨拶を交わしている最中だったが
その身に纏いしオーラは、先程の少女のモノと全く同じ
それなのにその身は男そのもの
遊戯は、セトに気が付いたらしくセトの傍に来ると
「ようこそお越し下さいました。私がこの国の王遊戯です。」
「御招きに預かり光栄です。私は、カイバ帝国皇帝セト
以後お見知りおきを・・・」
互いに挨拶をすると
「少しばかり御話しが・・・」
「いいですよ ユウキ私は少しセト殿と一緒に居るから来賓客への挨拶は・・・」
後ろに控えていた妹にそう言うとユウキは、笑顔で頷きながら
「挨拶でしたら私とシモンでやりますのでお兄様は、ゆっくりなさって下さい」




「良く出来た妹姫ですね」
バルコニーに出て夜景を見ていると
「ええ・・・何処に嫁がせても彼女が恥ずかしく無い様に躾けられましたから」
もし他国に嫁ぐ事になれば彼女の立ち振る舞いで彼女の生家の品位を判断されてしまう
「私と話しとは?」
「当代きってのゲーマーである貴方にゲームの相手を申し込みたい」
紅い瞳を大きく見開きながら
「私をゲームの相手に・・・」
その声のトーンは、嬉しそうに
「私で良ければ喜んで御相手を勤めさせて頂きたい。
しかし私なんかが貴殿の相手が勤まりましょうか?
貴殿の腕前は、相当なモノを聞きしに及んでいますから」
「そう謙遜するな貴様とて相当な腕前 それ故に自分の相手になる者が居らず
退屈な日々を送っていたのでないのか?」
飾った言葉は、この男には不要と思ったのかセトは、何時もの口調で話しだした。
「お前の言うとおりだぜ・・・しかし退屈な日々とは、言ってくれるな
こう見えてもオレはこの国の王だからそれりの政もあるんだぜ
今回のもそうだ妹を安心して託せる相手を探さなければならない」
セトは、溜息を吐きながら
「俺は別に・・・退屈な日々とは、言ったが暇な日々とは言っておらんぞ」
「確かに・・・オレの早とちりだったな」
微かに見せる笑顔

この男相手だと何でも話してしまいそうだな・・・

遊戯は、何故かそう思った。


背景イラストは、セトさんが最後に名前を聞こうとして軽くかわされた所です。

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