This thought-Vol.2-

This thought
-Vol.2-


当初シャイン・キングダムには2〜3日の滞在予定だった。
だがパーティ後 遊戯をやったゲームがあまりにも楽しく
もう一回とやっている内に気が付けば10日も滞在していた。
日中 遊戯は国王としての政務に追われ
その間は妹姫のユウキがセトの相手をしていた。
相手と言ってもゲームをするのでは無く
ユウキは城内の案内や唄など彼女なりの御持て成しをセトにしていた。
そして夜になると政務を終えた遊戯が諸外国の王侯貴族用の宿泊設えた
部屋へセトを訪ねて夜な夜なゲームに興じていたのだった。

セトにとって楽しいと感じる日がそう長く続く筈も無く10日後帰国に至ったワケだが
帰国後は、溜まってしまった政務に精を出しながらもシャイン・キングダムでの出来事
を思い出していた。
10日間滞在したのにも関わらずアノ赤い髪の少女の事が一切判らなかったのだ
しかもそん間に彼女がセトの前に姿を現す事も無く・・・
ユウキにも少女の事を訪ねたが「その様な方は存じませんわ・・・?」と言われたのだ
当然 遊戯にも同じ事を訪ねたが答えはユウキと同じだった。

あの少女は、一体何者なんだ?
立ち振るまいは、まるで貴族の様だったが・・・
もしかしてアノ少女は、神殿に仕える者なのか?
それならあの夜以降出逢わないのも頷けるし神殿に篭っているのなら王族と言えど
知らないのは当然なのかもしれない
しかもあの夜は皇女ユウキの聖誕祭とあってたまたま出席したのだろう

今になって神殿の事を思い出したって後の祭り
今から神殿に行きたいなんて到底無理なのだ
シャイン・キングダムは、カイバ帝国から陸路で3日はかかるのだから
上空からだと2時間程度なのだが・・・
ベランダからシャイン・キングダムの方角の空を眺めていると
「?」
紅い見慣れない長い物体がクネクネとクネリながら城の上を通過して行くではないか

まさか!!

そう思うと躯が勝手に動き出し自分に忠実な僕ブルー・アイズ・ホワイト・ドラゴン
を召喚しその背に乗って紅い長い物体を追いかけた
だがブルー・アイズの飛行能力をもってしてもその物体に追いつけずあまつさえ
見失ってしまったのだ
だが諦めきれないセトは、暫く上空を旋回し岐路に着こうかとした時
何やら地上の方が騒がしい事に気が付いた。
見下ろせば兵士が2名程何やら少年と思しき者に詰問している様子
だがその少年を見た時セトの心臓が早鐘の様に動き出す

「貴様一体何処から来た」
「名を名乗れ」
少年は剣を突き付けられ
どうしたものか・・・
と困っていると
「何を騒いでいる」
聞き覚えのある声
今は出来る事なら逢いたく無い相手でありこの場から自分を救い出す唯一の存在
兵士もこの声を聞いた途端背筋を伸ばし声の主の方に振り返る
「はっ!この者が上空から見慣れぬモンスターに跨りこの地に降りました故に・・・」
兵士の1人が報告するとセトは、そのまま少年の方に歩みよる
「皇帝陛下その様な 身元の知れ無い者に無用意に近づかれましたら危のう御座います!」
兵士が止めるのも聞かずセトは近づくそして微かに笑みを浮かべて
「久しぶりですな 
シャイン・キングダム国王遊戯殿
貴殿に御逢いするのは一ヶ月ぶりか?」
気まずい気持ちのまま遊戯は
「セト殿御健在の様で喜ばしいかぎりです。
確かに貴殿と御逢いするのは一ヶ月ぶりかと思います」
セトは、遊戯を頭の先から足のつま先まで見やる

居た堪れない気分だ・・・
早くこの場から逃げ出したいぜ

セトの視線に困惑する遊戯だがセトはシャイン・キングダムに滞在中でも決して見る事の
無かった遊戯のラフな格好に嬉しさが増す
「この様な場所で立ち話もなんだ我が城に来られよ
貴殿とはいろんな話しがしたいので」
断る事の出来ない申し出・・・
仕方が無く頷く
「皇帝陛下・・・」
恐る恐るセトに声を掛ける兵士に
「この方は俺の客人だ」
その言葉に声を失う兵士
帝国にどんな形で来られたとしても皇帝陛下の客人に剣を向けたのだ
きっと自分達は、討ち捨てられるかモンスターの餌食・・・
運が良ければ解雇だろう
そんな兵士に遊戯は
「そなた達がとった行動は正しいのだ案ずる事は無い
寧ろこんな形で帝国に訪れた私に非があるのだ
皇帝陛下には、私からあなた方にお咎めが降りぬ様頼んでおきます」
遊戯の言葉は兵士にとってありがたいモノだがセトが遊戯の言葉を聞き入れてくれるのか
難しい
セトは気難しい性格なのだ
「皇帝陛下 あの者達へのお咎めは無き様お願いしたいのだが・・・
彼等の行動は、この帝国を想っての行動なのだから・・・」
「そんな事判っているし咎めるつもりもない」
遊戯に出逢った事で気分がいいのだ
これがあの少女なら更に気分がいいだろ
あの少女と同じ顔の遊戯・・・


今回はイラスト無しです。
次回は描けたら描きたいなぁ〜

戻る | -Vol.1- | -Vol.3-