想いの中-Vol.2-
- 「は・・・せ・・」
- 頭痛が酷くなる
- 吐きそうだ
-
- 「オイオイそんな事 言っていいの〜? あの社長さん助けたいんでしょ〜?」
- 「離せ!この身は貴様等の様な下賎な輩が触れていいものでは無い!」
- 遊戯の身に何が?
- 遊戯の身に纏いしオーラに気圧され遊戯の両肩を押さえていた男達は,その手を離した。
- ゆっくりと立ち上がる遊戯・・・
- 相手を見据えるその顔は自分が愛する者の顔
- しかしその身から放たれるオーラは遊戯のとは似て非なるモノ
- 周りを圧倒し全てを支配する王者が纏いし高貴なモノ
- 海馬に暴力を振るっていた連中もその高貴なオーラに飲み込まれ畏怖する
- 「これ以上その者に手出しするな」
- 「その代わりテメが俺達の相手するんだろ〜?だったら俺のモノ舐めてよ」
- 冷や汗をかきながら虚勢を張る男に
- 「いいだろうお前達の相手をしてやる」
- 遊戯やめろ!! その言葉は声となって口から出る事は無かったが遊戯には届いたのだろう
- 海馬の方を見て微かに微笑んで居たのだから
- 「さっさと俺のを舐めろよ」
- 男の言葉を合図にしてか一瞬にして周りの空気が変わった。
- 海馬には身に覚えが在る
- ≪闇の空間≫
- 「誰がそんな貧相なモノを相手するか!」
- 「あの社長さんがどうなってもいいのか?」
- 「やれるモノならやってみるがいい」
- 遊戯の発言を聞き先程まで海馬に暴力を振るっていた男は嫌な汗をかきながらヒキ吊った表情で
- 「・・・だとよ。アンタも可哀相な男だね〜
- あんな美人に捨てられるんだから
- まぁ悪く思わんでくれ」
- そう言うと男は海馬の方を見る事無く海馬の頭を踏み付け様とした。
- 海馬は遊戯の発言には何か考えが在ると感じ取っていた。
- それ故に踏み付けられる衝動に耐えようとした。
- 相手に与える仕返しの事を考えて・・・
-
- ドカッ!
-
- 何かを踏み付ける音
- しかし自分に対し何の衝動も起きていない
- 少し目を開けて見るとそこには・・・
- 男は海馬を踏み付けたのにも関わらず海馬からの呻き声が聞こえて来ない事に対し違和感を覚える
- 恐る恐る足元を見ると白くて大きな爪の様な物体
- 爪を辿ってその物体の頭を見ると碧い宝石の様な瞳に出会う
- 冷ややかな無機質な瞳・・・
- 「ひぃぃぃぃぃ・・・・」
- 男の恐れ戦く声に違和感を覚える
-
- 海馬は、ゆっくりと目を開ける
- 白い物体が目に入る
- 上を向くと
- 「ブ・・・ルーアイ・・・ズ???」
- 掠れる声で白い物体を呼ぶ
- 白い物体は、ゆっくりと海馬の方に顔を向ける
- 優しい蒼い瞳・・・
- 自分に忠実な下僕・・・
-
- 「これで海馬に手が出せなくなったな!」
- 自信満々な笑みを浮かべた遊戯
- 「貴様!!!!」
- 遊戯に殴りかかろうとする男
- 遊戯は、余裕な表情で殴りかかろうとする男を見る
- 何時もと違う遊戯・・・
- 何かが遊戯の躯を支配しているのか?
- もし支配している者がいるのなら一体誰が?
- もう1人のユウギは、気弱な性格なのでこんな状況下ならオドオドし顔面蒼白になっているだろう
- しかし今 海馬の代わりに戦っている遊戯は、海馬の知っている遊戯では、無い
- まるで闘神・・・
-
- ガァーン!!!!!
-
- 男の拳が固い物に当たる
- 「くっ!!!」
- 拳を握り締め膝を着く・・・
- 「てめぇ!!!何しやがる!!」
- 「オレは、何もしていないが・・・?」
- 遊戯の冷ややかな瞳
- 紅い瞳なのに熱が宿っていない・・・
- 冷気が含まれている・・・
-
- 男が殴ったのは、固い盾
- その盾の所有者は、固い鎧に身を包まれた女・・・
- クイーンズ・ナイトの姿がそこに在った。
- そして少し離れた所にキングス・ナイトとジャックス・ナイトとエルフの剣士の姿が・・・
- 「この化け物が!!!」
- 遊戯に向って発せられる言葉・・・
- 「言いたい事は、それだけか?」
- 遊戯の額に浮かび上がる第三の目・・・
- ヴィジャト・・・
- 海馬は、この時 自分達を襲ってきた男達を哀れに思った。
- 何故なら彼等のこれからの人生は、病院のベッドでの廃人生活なのだから
- いやむしろこれから先 刑務所で迎えるであろう苦難を考えたら廃人の方が幸せなのかもしれない
-
- ゆっくりと持ち上がる遊戯の左人差し指・・・
- ブルー・アイズは、海馬の躯を覆い隠すようにその身を丸める
- これから男達に下される刑・・・
- 「マインド・クラッシュ!!」
- 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
- 聞えてくる男達の断末魔・・・
- 男達の未来が閉ざされる・・・
- カツカツ・・・
- 「・・・命・・・ないな・・・」
- 途切れる意識の中で聞こえて来た声
-
- 「セト・・・」
-
-
-
-
-
-
-
- 何も無い世界・・・
- この世界に在るのは、蒼い空と熱砂のみ・・・
- 来た事の無い場所なのみ何故か懐かしい・・・
- そんな中 頭からフードを被りその身をフードから続く長衣で隠し1人遠くを見詰める人を見つけた。
- その人物は、海馬に気が付いている筈なのに見向きもしない
- 「貴様が俺達を助けてくれた張本人か?」
- 海馬には、目の前に居る人物が自分達を助けてくれた相手だと確信があった。
- そしてその人物は、
- 「ああ・・・」
- とだけ答えた。
- 聞き覚えの在る声・・・
- その人物の顔を見たい・・・
- そんな衝動にかられる
- 「オレの顔が見たいのか?」
- 海馬の考えを見透かしたかの様に答える
- バツが悪い気になる・・・
- その人物は、主むろにフードを脱ぎ海馬の方に振り向く・・・
- 「遊戯!!!?」
- 遊戯にそっくりの少年
- その肌は、褐色で額にはヴィジャトにそっくりな黄金の額飾り
- 耳には黄金で出来たアンク・・・
- 「オレの名は、遊戯では無い・・・」
- 「では・・・」
- そこまで言って海馬は、黙った。
- 彼の名を聞いてはイケない気になったからだ
- 「お前は、ここに迷い込んだ様だな・・・
- お前を本来の世界に送ってやる」
- 「ここは?」
- 「ここは、生界と死界の狭間 幻界・・・
- お前の様な者が長居する様な場所では無いんだぜ」
- 少年は、歩き出す。
- それに着いて行く・・・
- 砂丘の上から少年は、一角を指す
- そこには、オアシスが・・・
- 「あそこの水にその身を浸せば生界に帰れる」
- 「貴様は、一緒に来ないのか?」
- 少年は、首を左右に振ると
- 「オレには、生界で生きる為に必要なモノが無い
- 早く行け!ここに長く居ると生界に戻れなくなるぞ」
- 少年は、海馬を促す
- そして海馬は、促されるままオアシスに向った。
- 「・・・セト・・・現世で・・・」
- 少年の頬を伝う一筋の涙
-
- 海馬は、遠くから少年に見守られながら水に浸かったが足元を掬われる
- 「ぐっ!!!」
- ゴボゴボゴボ・・・・・
-
- 苦しい!!!
- 水中で黒い渦が見えたと思うとその渦に飲み込まれる
-
- ・・・ば・・・か・・・
-
- 誰だ?俺の名を呼ぶのは?
-
- 頭の中に思い浮かぶ懐かしい光景・・・
- 遊戯???
- 「かい・・・ば・・・」
- 「う・・・ん・・・」
- 薄っすらと差し込む光・・・
- 薄っすらと見える人影・・・
- 「海馬!!!大丈夫か???」
- 心配そうに見詰める人物
- 「ゆ・・・ぎ・・・」
- 「海馬!!!!」
- 躯中に巻かれた包帯・・・
- 重傷に見えるが全身擦り傷と打撲だけだったらしい
- きっとあの少年が酷い怪我だけを治したのだろう・・・
- 只 完治させなかったのは、怪しまれない様にする為・・・
- 俺は、確信している
- きっとあの少年に逢える事を
- そしてその時 少年の名前が判る事を・・・
-
- 後日、遊戯にあの時の事を聞いたら酷い頭痛と吐き気により
- 意識を失っていたらしい・・・
- そして気が付いたら海馬邸の客室のベッドだったらしい
少年の名前が判ったら遊戯さんが冥界に帰ってしまうよ・・・
2話で終わったよ〜
何か海馬さん格好悪くてスミマセン
それより遊戯に一物を突きつけていた男・・・
一物出したまま「マインド・クラッシュ」を受けたんだろうな(///)
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