Thought
-Vol.1-
ドラゴンの発情期・・・
年に1度だけ発情する
発情期に入ると雌から甘酸っぱいイイ匂いがする
雄も香りを放つが雌程では無い
しかし発情したからと言って必ずしも
カップルになるなんて事は無い
個体数から言って雌の数が少ないのだ
全体の4分の1しか雌は居ない
運良くカップルになれたら子孫は残せる
1回の出産で生まれる子供は1人・・・
その子供がある程度大きくなるまで
その番いには、発情期が来ない
個体数の少ない雌達にとっても大切な発情期・・・
恋焦がれる雄と必ず番いになると固く心に誓う
「はぁ〜俺にも早く彼女出来ないかなぁ〜」
「ははは・・・女の数が少ないもんなぁ」
そんな寂しい声があちら此方から聴こえてくる
まぁこの時期珍しくも無いけど
妬みや嫉妬なんてざらだ
かくゆうオレも発情期なんだけど・・・
「ティマイオス!何処に行くんだ?」
中庭を抜け城外へ出ようとした所で仲間の騎士に声をかけられる
「剣の稽古だけど・・・」
腰に吊るした剣に指を指す
「こんな時期にまで稽古とは、恐れ入る
しかしお前には、発情期ってもんが無いのか?」
失礼な言い方をされムッとするが
「オレだって発情期に入っているが発情する度合いなど個々それぞれ
だとオレは、思うが」
ハッキリと言わないが
『発情期に入ったからといってサカルかどうかは個人次第』
と言いたいのだ
「それにしてもお前の親友は、女によくモテルな」
中庭の噴水近くから漂う甘酸っぱい匂い
その匂い輪の中で女達と楽しそうに雑談しているクリティウス・・・
確かに彼は、モテル
本人が興味有ろうと無かろうと御構い無しに女が寄って来るのだ
長身で
眉目秀麗
文武両道
冷静沈着
おまけに貴族と来ている
女が寄ってくる要素が全て揃っているのだから仕方が無い
「それじゃオレは、稽古に行って来るぜ」
そう言い残し城外に出た。
先程まで心地良く感じていたティマイオスの気配・・・
急に感じなくなったティマイオスの気配にクリティウスの心中は、穏やかでは無かった。
自分の知らない間にティマイオスに女が出来たら・・・そう思ってしまう
発情期に入った雄に襲われでもしたら・・・
ティマイオスは、気付いていないだろうが彼自身に想いを寄せている雄は、多いのだ
かくゆう自分もその雄の1人なのだが・・・
彼の後を追いかけたいのだが女達が自分から離れ無い
女に興味が無い・・・
内心溜息を吐きながら
「ちょっと失礼 急用を思い出した。」
笑顔でそう言うと
「もう少し御話し出来ませんの?」
とせがまれる
鬱陶しい
それでも嫌な顔をせずに彼女達に断りを入れてその場を後にする
先程ティマイオスが話していた騎士にティマイオスの居所を聞くと
「ああ・・・何か剣の稽古をするとか言ってたけど・・・」
詳しい場所までは、言ってなかったらしい
しかしクリティウスには、思い当たる場所があったので急いでその場所に向かった。
ティマイオスは、剣の稽古によく城から少し離れた森に行っている
その場所は、「誰にも邪魔されずに稽古が出来る場所」と言って誰にも教えていない
俺にでさえ教えてくれない
それなのに何故俺がその場所を知っているのか・・・
ティマイオスの事が気になり後を着けたのに他ならない
だがティマイオスは、その場所には居なかった。
来た形跡が無い・・・
クリティウスは、森の中を散策すると更に奥に入った所にティマイオスが剣の稽古をしていた。
知らない間に場所替えをしていた様だ
「ティマこんな所で何をしている?」
偶然を装いながら近づく
額に滲み出す汗・・・
その汗にティマイオスの美しい金糸の様な髪が貼り付く
触れたい衝動に駆られる
手を伸ばしかけたその時
「見ての通り剣の稽古だけど?
クリティウスは、どうしてココに?」
剣を鞘に収め近づいてくるティマイオス
「ああ・・・散歩に来たんだ・・・」
ワザとらしい言い訳
冷や汗が出て来る思いだ
そんなクリティウスにティマイオスが小首を傾げて
「女の子達をほったらかしにしてか?
女の子達にそんな事すると嫌われるぞ」
と言いながらクリティウスの肩を軽く叩きながら横を通り抜けた。
ティマイオスが軽く叩いた所が熱い・・・
城内に居たらこんな感情抑えられるのに
二人きりしか居ない今
彼を自分のだけのモノにしたい
彼の全てを自分のモノにしたい
そんな欲望に駆られる
自分の横を通り過ぎた彼を追いかける
「どうしたんだ?」
後を追いかけ横を歩くクリティウス
「別に俺もこっちに用があるんだ」
本当は、用なんて無い
ただの口実
「ふ〜ん 奇遇だなオレもこっちに用があるんだ」
「ティマは、何処に行くんだ?」
「オレの大切な場所」
微かな笑顔・・・
まさか女でも出来たのか?
危惧していた事が現実のモノに!!
冷静沈着と言われし男でも好きな相手の事となると冷静では居られない
ティマイオスに「大切」と言わせている女に一目会ってみたい
「一体何処まで一緒に来る気なんだ?」
「えっ・・・いやその・・・」
シドロモドロの相手にティマイオスは、溜息を吐くと同時に
「おおかたオレが何処に行くのか気になって着いて来てるだけじゃないのか?
オレの後を着いて来たってお前には、面白く無いと思うけど」
ティマイオスに見透かされ流石に愚の根も出やしない
確かにティマイオスが女の所に行くのは、自分にとって面白くもなんとも無い
だが恋敵の姿を見て見たいと思う
その後その女にどの様な制裁を加えるのかを考えようと思う
難しい顔をしているクリティウスに
「もう直ぐ着くから そんな気難しい顔をするなよ」
その言葉の通りティマイオスの目的地は、直ぐに着いた
綺麗なコバルトブルーの泉・・・
それ程広くは無いが水が透き通っていて綺麗だ
「ここがオレの大切な場所 誰にも言うなよ」
この森にこんな場所が有ったなんて・・・
てっきり女の所にでも行くのかと思っていたがティマイオスは、一度も「女の所」とは
言っていない事を思い出す
完全に思い違いをしていたのだ
ガチャガチャ・・・ガシャン・・・
物音に横を振り向くと全裸のティマイオス・・・
見慣れている筈なのに・・・
美しい・・・
思わず血圧が上がりそうになる
まさか・・・ティマは・・・俺と・・・
高鳴る心臓
こんなチャンスは、2度と無いかもしれない
そう想い手を伸ばすが・・・
触れない????
バシャ・・・
バシャ・・・????
よく見るとティマイオスは、既に水の中
透き通る水は、ティマイオスの裸体を艶かしく見せてくれる
「何ボ〜としてるんだ?お前も中に入って泳いだらどうだ?気持ちいいぞ」
ティマイオスからの誘い
断る理由なんて無い
誘われがまま服を脱ぎ捨て水中に身を浸す
確かに気持ちがいい
発情し火照っている躯を冷ましてくれる
・・・もしかしてティマは、発情し火照った躯をココで冷やしていたのか?
気持ち良さそうに泳ぐ姿・・・!!!!
思わず鼻血が・・・
ティマ・・・俺が発情期に入っているの知っていて平泳ぎをするのか????!!!
足を左右に開く度に見えそうで見えないその部分
水の透明度が高い分 何とも言い様が無い
ティマは、何時からココに通っていたのだろうか?
誰かに教えてもらったのか?
それは、男か女か・・・
クリティウスの脳裏にティマイオスが自分以外の者と一緒に入水し泳ぐ姿が掠める
その思いが次第に怒りに変わり出すのを自分でも解った。
「クリティウス?」
彼の異変に気が付いたティマイオスが彼の傍に寄って来る
何の警戒心も無く
そんなティマイオスにでさえ怒りを覚える
お前には、警戒心と言うものが無いのか?
この時期 男も女も発情しているのだぞ
お前の様に華奢な男は、他の男から見れば性欲の対象になるんだ
それなのにお前は・・・
ティマイオスが悪いんじゃない
それは、解っている・・・解ってるが・・・
「クリティウス?」
不機嫌なクリティウス
その綺麗なアメジスト色の瞳に宿るのは怒り
何に怒っているのか解らない
ティマイオスは、不思議そうに小首を傾げる
「クリィ・・・んん・・・・んん・・・・」
急に後頭部を掴まれ引き寄せられる
唇に当たる柔らかい感触・・・
何をされているのか全く判らなかった
しかしティマイオスの唇を割り入ろうとする生暖かい感触に
「やぁ・・・ん・・・ん・・・」
抵抗する言葉を言う為に少し開いてしまう唇・・・
それを「待ってました」と言わんばかりにクリティウスの舌が歯列を割り侵入してきた。
そのまま口腔内を蹂躙しティマイオスの舌に自分の舌を絡めて来た。
逃げ惑うティマイオスの舌・・・
吐息まで奪われてしまう
くっ苦しい!!息が出来ない〜!!
次第に抵抗する力が抜け出す。
全ての力が抜けた時 開放されたがティマイオスは、酸欠で気を失っていた。
「ティマ!!ティマ!!」
水中に身を浸しながら全身を揺すられ飛んでいた意識が戻り出す。
「う・・・ん・・・クリティ・・・」
朦朧とする意識
逞しい腕に抱きすくめられクリティウスの甘酸っぱい匂いと胸の鼓動を聞く
ドクドク・・・
早い・・・まるで緊張しているかのように
イイ匂いだこの匂いに包まれていたい
「クリティウス・・・苦しかったぞ・・・」
「ティマ・・・キスの時は、鼻で息するのもだぞ」
「詳しいな・・・オレ以外のヤツともキスした事あるんだな」
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