両想いになり今迄の寂しさを埋め尽くすかの様に何度となく躯を繋いできた。
ゴソゴソ・・・
「ん・・・」
瞼を擦りながらうっすらと目を開けると自分より遥かに逞しい胸
「起こしてしまったか?」
甘いトーンで話し掛けられ
「う・・・ん そんな事無いぜ
それより何を読んでいるんだ?」
照れ臭いものを感じつつ隣に居る男の方を見る
「実家からの手紙だ 兄貴の誕生日に一度帰って来い・・・
と書いてあるだけだ」
「帰るのか?」
寂しそうなティマイオスの声色
両想いになってから互いの気配を感じる距離に居た。
しかし実家となると離れ離れの時間や距離がある
「ああ・・・だが直ぐ戻って来る
俺にとってお前の傍が俺の帰って来る場所だからな」
そう言うとティマイオスの細い躯を抱き締めた
(全く〜恥ずかしいヤツだぜ)
でも嬉しいぜ
クリティウスが故郷に旅立った翌日
城内は嵐でも来たのかと思わせる程煩かった。
「ティマ〜!助けてくれ〜!」
「ヘルモスどうしたんだ?」
全速力て走って来たらしい親友は息を切らせながら
「女官と貴族の令嬢に追い掛けられていたんだ」
息が整わない状態のまま説明をする親友に
「まさか孕ませるだけ孕ませたのに責任とらなかったとか?」
ティマイオスの言葉に脱力するヘルモス
俺はクリティウスと違いモテルタイプじゃない!!
何か自分で虚しい事を思い更なる脱力感が・・・
「違う!クリティウスの事でだ!」
一瞬自分達の関係がヘルモス以外の他者にバレたと思いドキッとした。
しかしどうも違う様だ
「クリティウスの花嫁が決まるらしいんだ
まぁデマだと思うけど それに俺はお前達を応援してるから」
クリティウスとティマイオスの関係を知る唯一の人物
不安げな表情のティマイオスにヘルモスは
「心配するなよ
そう言えばクリティウスの初恋って何時で相手は誰だと思う?」
クリティウスの初恋?
そう言えば聞いた事無い
訪ねた事は何度かあるがはぐらかされてばかりだった
「何時頃で誰なんだ?」
そんな事聞いてどうする?
自分だって言って欲しいのか?
「小さい頃 東西南北の国境を守る貴族の集まりがあっただろう」
そう言われて古い記憶の糸を手繰り寄せる
「確か貴族の中でも力の強い四家が集まったヤツか?」
東西南北を守る貴族は多数あるがその中でも古の血と力を持つ家が
それぞれの地の代表をしていた。
「あの時は西を守護するオレの家で集まったんだよな」
「そうそう その時 東家の当主が連れて来た目付きの悪いガキがいただろう?」
そう言われて思い出すと確かに居た。
仏頂面の背の高い子供が!
「あれはクリティウスの兄上だろう?」
「そう思っただろう! 俺も最初は、そう思ったんだ」
「えっ!違ったのか!」
驚くティマイオス自分の思惑通りの反応に満足顔のヘルモス
「あのガキがクリティウスなんだぜ
しかも初恋の相手は、あの場に居合わせた姫君なんだ」
そこまで言えば解るだろう?と言わんばかりの表情に
「ヘルモス 協力してくれないか?」
先程までの不安げな表情が何やら自信一杯の表情に変わった。