桜-4-
海馬の胸元に耳を当て早く動く鼓動を心地良く聴いていたが
掴まれている後頭部が次第に痛み出す
頭蓋骨を砕かれるのでわ?
と思わせる程に
「かいっ・・・痛いぜ・・・」
何とかして上げた抗議の声 それでも緩めてもらえず痛みに堪え
諦めかけた時
「遊戯 何処にも行くな
貴様は俺のモノだ
遊戯貴様は俺だけのモノだ!!
誰にも渡しは、しない
一生涯 俺の傍に居ろ」
海馬の切実な遊戯に対する悲痛な訴え
遊戯は驚きに紅い瞳を見開き自分の両腕を海馬の背に回すと
自分より大きい男を抱き締めながら
「嬉しいぜ お前程の男にそんなに想われて
オレの方こそお前の傍に居たいぜ」
この言葉に海馬が驚きの表情を表したが遊戯からは見る事が出来ない
「お前の仕事が忙しいのは解ってるでもお前にとってオレが本当に必要な存在なら
あまりほったらかしにするなよ
そのうち愛想つかしてしまうからな」
抱き締められ温かい体温と安らぎを感じながら遊戯は寂しいかった事言葉に隠しながら
海馬に訴える
そんな遊戯に対して募る愛しさに胸が締め付けられる思いがする
「貴様をほったらかしにしたくてしているのでは無い
俺とて貴様と一緒に居たいのだ」
ちなみにこの二人互いを抱き締めあって居る間 枝垂れ桜はほったらかし状態
「だったらお前が18になったらお前の傍に居てやる」
予想外な遊戯の言葉 こんな言葉を遊戯はどんな顔をしながら言っているのか見ようとしたが
きつく抱き締められ見る事が叶わなかった。
「だったら今此処で俺の前で俺に誓え貴様は一生涯俺のモノだと」
海馬の胸元から顔を上げ
「ああイイぜ この桜を証人としてオレはお前のモノだと誓うぜ ただ海馬がオレを本当に
大切にしてくれるのならな
それじゃないとオレは冥界に帰るからな」
とんでも無い脅し文句を満面の笑みでサラっと言いのける遊戯
そんな遊戯に対し更なる愛おしい気持ちになる
「遊戯貴様は冥界に帰りたいと思った事あるのか?」
気になっていた事を何とか口に出すと
「考えそうになった事があるぜ
でも・・・ここで簡単に帰ってしまったらオレをこの世界に送り出してくれた人達に申し訳ない
からな」
遊戯の脳裏には海馬に似た男の姿が一瞬過ぎった。
そしてそれを振り切る様に遊戯は・・・
「!!」
「誓いのキスだぜ」
遊戯から仕掛けられたキスに驚く海馬だったが海馬から仕掛け様とした時
それは遊戯の手に遮られキスする事が叶わなかった。
「ゆう・・・?」
「お前からの誓いの言葉をまだ聞いてないからな」
貴様これ以上 可愛い事を言うと俺の理性が吹っ飛んでしまうでは無いか!!
今此処で犯されたいのか!!
遊戯のささやかな言動や行動に動揺している一流企業の社長様
「いいだろ 俺の全てを貴様に捧げる事を誓おう」 「クスッ 桜の事忘れてるぜ」
遊戯この後 覚悟しておけ!!
たっぷり可愛がってやるからな!!
「この桜を証人とし貴様に俺の全てを捧げる事を誓おう これでいいのだろう?」
「ああ」
軽く合わさる筈のキスが海馬から仕掛けると遊戯の意識を蕩けさせる程濃密なモノに
来年の春にまたこの桜を見る時はオレは海馬の性を名乗っているのかなぁ?
また来年 海馬と一緒に桜が見られますように・・・
抱き締めあう二人を桜は優しく包みまた認めるかの様に長い枝に咲く花を散らしていた。