死者蘇生 -3- |
暗闇の中から聞こえて来る声 『我が魂と我が意志を受け継ぎし者よ』 優しさと意志の強さを併せ持つ女性 話し方からにしてきっと声の主は身分が高いのだろう 暫くして現れた女性は頭から白い布を被り長いローブに身を包み所々露出した肌の色は自分と同じ褐色 華奢なイメージの中に毅然とした態度 「我が魂と我が意志を受け継ぎし者よ 神官セトの魂と意志を受け継ぐ者に助力してあげて下さい」 名も知らぬその女性が何故だか自分の前世だと感じる 否 彼女の首にかかっている千年タウクがそう知らせているのだろうか? 「助力と言われましても私は何をすれば宜しいのでしょうか?」 「神官セトの魂と意志を受け継ぎし者が動き易い様にしてあげて下さい ファラオ・アテムの為に」 ファラオ・アテム・・・ ファラオ・アテムは最後の使命で〈闘いの儀〉に挑み 器だった武藤遊戯に敗し冥界に戻られた筈 「ファラオは冥界に居られる筈 何故 神官セトの魂と意志を受け継ぎし者である海馬瀬人に助力を?」 不思議に思い訪ねると 「ファラオ・アテムは現世に戻られるべく冥界と現世の狭間に居られるのです」 女性は少し悲しそうな表情をしたものの話し続ける 「ファラオ・アテム復活には貴女の助力無くしては困難となりうるでしょう」幾ら海馬瀬人が財力や権力を使おうとも古代ファラオの墓を暴くのだエジプト政府の許可無く出来る筈が無い それでは唯の墓荒らしでしかない それ故にエジプト政府考古学局長であるイシズの力が必要なのだ しかも生身の人間が王墓から出て来たとあっては王墓を管理するエジプト政府の威信にも関わる エジプト政府はイシズにの力で何とかなるものの マスコミ等に嗅ぎ着かれる前に手を打たなければならない だが三流のマスコミならいざ知らず大手で海馬Co,を敵に回したいマスコミが在るだろうか? 例え持ち込みのネタで在っても取り合わないだろう まぁ備えあれば憂いなしだ それ以前にこの二人を敵に回すだけの度胸が在る者が居るのだろうか? ファラオ・アテム・・・私の運命は貴方と共に・・・ イシズは心を決め 「私の出来る範囲で出来得る限りの事を手伝わせていただきます」 その言葉に女性は嬉しそうな表情を見せると 「この方もファラオ・アテムの復活に協力したいと申し出てくれたのです」 先程まで女性の傍には誰も居なかった筈なのに何時の間にか見知らぬ男性の姿が 「こちらの方は?」 見慣れない男性・・・ 「ファラオ・アテムに救われた方です。 ファラオ・アテムに恩を返したいと申されて来ましたので」 オッド・アイの不思議な瞳 淡いブルーの長い髪 男性からはイヤな気配は感じられない 寧ろ好意的な気配 イシズはこの男性の事を女性から詳しく聞こうとしたら急に辺りが明るくなりだした。 イシズの意識が覚醒しだした証・・・ 目の前の女性に聞きたい事が有るのに・・・ イシズは<闘いの儀>でブラック・マジシャンを見かけた時に感じた懐かしさと愛しさ・・・ 何故自分がそんな感情を抱いたのか? もしかしたらこの女性に何かしら関係があるのか確認したかった。 だが無情にも覚醒を止める事が出来ずイシズは、現実の世界に戻ってしまったのだ そして女性の傍に居た男性も何時しか姿を消して居た。 セト・・・貴方が背負いし悲しき運命は本来なら我々神官団が皆で背負わなければならないもの なのに貴方はファラオ・アテムが死したのは己の所為と信じ ファラオ・アテムの名と共にファラオの肉体の時を止め封印した。 ファラオ・アテムよ どうかセトを御導き下さい |
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相変わらず暗いネタでスミマセン