死者蘇生 -2- |
自分を見る海馬の蒼い瞳にブラック・マジシャン・ガールの背中から冷たいモノが伝い落ちる感じがした。
海馬の蒼い瞳には怒りは無くだからと言って慈愛に満ちたモノでも無く 蔑むのでも無い 何も感じ無い澄み切ったアイス・ブルーの瞳 ブラック・マジシャン・ガールは知らないのだ 海馬の瞳の奥に秘められた遊戯に対する怒りと同等の慈愛に満ちた想いの焔が燃えている事を 「遊戯は俺に何を捜せと言っているのだ? 貴様は知っているのだろ? 今ヤツは冥界には居ないのか?」 マスターの闇の力は日増しに弱まっている この人が生きている間にマスターが現世に転生出来る保証なんて何処にも無い マスターを現世に戻してあげたい それにマスターだって戻りたがっていた。 だがその為には遊戯がアテムだった頃の肉体が必要だった。 しかしアテムが没したのは3000年も前の事 肉体は既に朽ち原形を留めていないだろう だが禁忌だと解っていて神官セトはアテムの肉体に訪れる筈だった時を止め 全てのモノから守る為『王家の谷』に隠したのだ 幾重にも張られた結界の内に誰にも見つからない様に ただ時が流れアテムを眠りから覚ます者が現れるまで 「貴様は遊戯が探して欲しいモノを捜す為に遊戯によって俺に託されたのだろう」 ブラック・マジシャン・ガールは首を左右に振ると 「私が私の意志で残ったの 貴方にマスターの肉体を探し出して貰う為に・・・ 私は、その手伝いがしたくて マスターは冥界と現世の狭間に居られます。」 何故冥界の狭間なんかに? それに遊戯の肉体だと? 遊戯がアテムだった時に没したのは3000年前の筈 常識から考えれば肉体は滅んでいる筈だ 海馬が訝しい表情で居ると 「神官セト様が禁忌を犯してまでもアテム様の時を止めしまわれたのです ただその引換にセト様は御自身の記憶からアテム様の御名を封じられたのです」 大切な人に関する記憶を一部封じてまでセトは遊戯の復活を信じたのか・・・ セトの想いの深さに驚きと敬意の念を抱かずにはおれない きっとセトは自分が目覚めさせたかっただろう それがもし叶わないまでも自分と何らかの繋がりがある者に託した想いまさか自分が叶える事になろうとは 彼と同じ人を愛した由縁か それとも彼の魂の一部を持っているからか そんな事より今は遊戯の肉体の在りかを知るのが先決だ 「遊戯の肉体が何処に眠っているのか貴様知っているのか?」 「『王家の谷』に隠されている事しか・・・」 『王家の谷』だけでは漠然としすぎてないだろうか? まぁエジプトの何処かや何処かのピラミッドに比べて範囲が限定されてはいるが・・・ 頭痛と目まいが起きそうな気がした。 会いたく無いがあの女に会い協力を請わねばならんのか・・・ エジプトの地の事ゆえ仕方無いとは言え海馬は更なる頭痛を感じていたのだった。 |
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アテムの埋葬先を何処にするか迷っていたんです。
「王家の谷」って定番過ぎるかなぁ〜なんて思っていたのに・・・
場所が思いつかず結局「王家の谷」に_| ̄|○