鏡の世界(サマーバレンタイン)
もう一人の僕がこの世界に戻って来て早一ヶ月・・・
一ヶ月間の間にいろんな事があったような気がする
だけどいろんな事が在り過ぎて何が何だかよく解らない状態だよ〜
そして当の本人であるもう一人の僕は、今はエジプトでイシズさんの所で観光名所巡り中・・・
と言うより生活拠点をエジプトにしている
まぁもう一人の僕は古代の遺品を見て回ってるみたいだし
彼自身生きた遺品だし解読されていないヒエログリフの解読に彼程重宝する人物は居ないだろう
(ヒエログリフを読めるもう一人の方は協力する気無いみたいだし彼自身今はアメリカに拠点置いてるし・・・
実質超遠距離恋愛)
エジプトに居るもう一人の僕に≪海馬君が6日に日本に帰国するよ≫ってメール出したらまさかエジプトからオシリスの
天空竜に乗って帰国してくるとは思わなかった・・・
てっきり飛行機で他国経由で海馬君と一緒に帰国してくるとばかり思ってた
「一応夜に出発したから他の人には迷惑かけてないぜ」って・・・
それに海馬にイシズの所で生活してるなんてバレたら厄介だからなぁ
って確かに迷惑はかけてないと思うけど・・・
でもモクバ君が言うのにはイシズさんの所で生活してるのしっかり海馬君にバレてたらしいよ
しかし神の飛行能力にも驚かせられたなぁ
でも7日と8日は海馬君もう一人の僕の為に休暇取ってくれたんだよね
もう一人の僕は、7日に遊園地に行くっておおはしゃぎしてた。
まぁ彼が復活して初めてのデートだから海馬君と楽しんでおいでよ
でもデート場所の遊園地が海馬ランドって言うのが気になるんだけど
そうそう何故彼等が日本の童実野町でデートをするのかもう一人の僕に
聞いたら「あいつと初めて出逢った地だからだぜ」って言ってた。
海馬君あまりもう一人の僕に無茶させないでね!!
(くれぐれも酷い腰痛にさせないでね!!)
―6日夜―
海馬邸 午後23時過ぎ
カチャ・・・
「よう!帰って来たか海馬」
扉が開けきる前に掛かってきた声・・・
誰が扉を開けたのか確認をする前に声を掛けた張本人は、一人がけ用のソファの上で足を組デッキと睨めっこ中
「フン・・・貴様こんな所で何している」
自分の方を見ない褐色の肌の少年に冷ややかな声を掛けると
「見ての通りデッキの構築中」
「そんなモン 貴様の家でも出来るだろう?」
「ああ出来るぜ
ただお前が帰って来るまでの待ち時間にやろうと思ってな」
海馬が何を言いたいのか解っている
自分が空港に迎えに行かなかった事を言外にしているのだ
解っているからこそ行かなかったのだ
海馬は遊戯が座るソファの直近くの長めのソファにゆっくり腰を降ろしながら
「遊戯こっちに来てお帰りの挨拶をしてもらおうか」
お帰りの挨拶だと?今迄そんな事した事が無いぞ!!
でも青い瞳に優しく穏やかに見つめられては、どうしようもない・・・
遊戯は、海馬の傍に行くと海馬の膝に両手を乗せ軽く唇を合わせる
何時もならこの後 海馬が強引なキスをしてくるのだが今日は何もして来ない
ただ遊戯の身体を抱きしめながらゆっくりと自分の膝の上に座らせ華奢なその身を撫で回すだけだ
だがそれだけでも遊戯の身体には熱が点り出す。
どうしたんだ・・・身体が熱い・・・
この身体になって一度も海馬と身体を繋いだ事が無いのに・・・
海馬に触れて欲しいなんて
自分の身体に起きた異変にたじろぐ遊戯を海馬は、楽しそうに見つめるだけでそれ以上は何もしてこない
「かっ・・・海馬・・・」
潤む紅い瞳を海馬に向けて懇願するが
「今日は、何もせんぞ
明日は、貴様と一緒に海馬ランドで過ごすからな」
貴様を今ここで頂くのも良いがそれでは、明日の楽しみが無くなってしまいそうだ
その夜 海馬に抱きしめられたまま遊戯は身体に点った熱を持て余しながら眠りについたのだった。
―7日当日―
海馬ランド内・・・
前夜の熱を体内に留めたまま遊戯は、海馬ランドへ
モクバ提案で設置された特設コーナー
そこにはいろいろ飾り付けられた数多くの笹竹・・・
親子連れやカップルが願い事を書いた短冊を笹竹につるしている
そして海馬ランドでは見なれたM&Wのモンスター達の着ぐるみ達
人型のモンスターは実際の人間がコスプレをしている
客の要望に応えて記念撮影をいろんな所でやっている
遊戯も「短冊に願い事を書きたい」と海馬に言ったら鼻で笑われ「貴様は子供か」って言われた
その言葉にムス〜とする遊戯
海馬の目の前には、体内に点った熱をはしゃぐ事で発散させようとしている遊戯の姿が・・・
「なぁ瀬人!!今度あれ乗ろうぜ!!」
嬉しそうにまるで子供の様にはしゃいで居る
「アテムそんなにはしゃいでいるとまるで子供の様だぞ」
遊戯が復活してからの初デート・・・
まだ≪武藤遊戯≫と二心同体だった頃の方がよくデートをしたと思う
ただこの二人の今までのデートと言えば貸しきりでデュエルシステムが在る場所だったり
これもまた貸しきりでゲームセンターだったり
夜景が見えるベッドの中だったり・・・
有名人で在るが故何処に行ってもファンに追いかけられ二人でゆっくりデートが出来なかったのだが・・・
今は遊戯が褐色の肌の異国の少年
誰もが彼が本当のデュエルキングだと気づかない
気づく者が居たとしても≪武藤遊戯≫のソックリさんとして居ればいい
その事は、遊戯には言ってあるから問題無い
そしてその為に不本意だが遊戯の事を外では[アテム]と呼んでいるのだ
しかしあまりの忙しさに逢う事ままならず不本意だが≪武藤遊戯≫に任
せきりになっている
(実際遊戯はイシズの所で世話になっているが本人はその事を隠しているつもりなのでそれに合わせて・・・)
出来る事なら一緒に住み俺の傍に一生涯居て欲しいのだが小舅曰く『互いに18歳になるまで駄目!!』って事だが・・・
(イシズからも『結婚したいのなら自分の国の法に法り行いなさい』と言われた)
ヤツは、3000歳をゆうに超えているので問題は、俺の方か
(経済面では、問題ないからな)
(・・・海馬君 日本では男同士で結婚は出来ないんだけど・・・)
(瀬人自分の国の法を勉強しなさい・・・)
そんな海馬の思いなんて知らない遊戯は海馬の腕を掴みグイグイと引っ張って行く
その先に在るのは観覧車・・・
アベック御用足しの乗り物
海馬は、まさか自分が遊戯とこれに乗る羽目になるとは思いもよらず微かに顔が引きつっている
(この俺にバッカプルばかりの乗り物に乗れと言うのか!!遊戯!!)
「杏子が好きな人と乗るならこれだって言ってたから・・・」
一応[好きな人]の部分だけは恥ずかしいのか顔を朱に染めながら小声
で言ったもののしっかり海馬には聞こえておりそんな遊戯を無意識にだが愛しむ様な表情で見ていた。
く〜そんな顔をされたのでは、俺の理性がもたん!!
否!!理性を持たせるのだ俺は、こんな所で遊戯を頂きたくは無いのだ!!
貴様を頂く特設場所は既に用意してある
その場所で遊戯 貴様をゆっくり頂くとしよう
既に海馬の脳裏には、遊戯のあられも無い姿が・・・
海馬の邪なオーラが発せられている事に何時もなら敏感に感じ取る遊戯だ
が個人の肉体を手に入れてからの初デート・・・
しかも昼間からと来ているので余りの嬉しさに邪なオーラを感じ取る事が出来ないでいた。
観覧車から見える海や街の風景に遊戯は、笑顔満面で見つめ
そんな遊戯に海馬も楽しんでいた。
(くそ!!この場で遊戯を押し倒せんのは残念!!他人に遊戯の善い顔を
見せるワケにはいかんからな・・・それに・・・)
募る欲望を抑え続ける性少年
それでも遊戯に触れたいと思う気持ちがある故に海馬は、遊戯の頬に軽く己の唇を押し当てた。
その後は、照れ隠しの為か遊戯と海馬は木製の絶叫マシーンに乗り
遊戯の希望でお化け屋敷に入り
(実際人がお化け役をしているので恐怖度は高いのだが遊戯は怖がる事無く
楽しんでいたぞ!!これは、お化け役を再教育のしなおしだな)
遊戯の要望通りに乗り物に乗ったりしたものの流石にメリーゴーランドやコーヒーカップは、あまりにも恥ずかしいので断らせてもらった。
「何かオレばっかり要望聞いて貰って悪いな
瀬人は、どんなアトラクションがいいんだ?」
十二分に楽しんだ遊戯だったが海馬からどのアトラクションに行きたいとも言ってない事に気づき訊ねると
「そうだな・・・」
考えるそぶりを見せながら
貴様の痴態を十分に堪能出来る場所を用意させてもらった
そこで貴様を・・・
「だったら付いて来てもらおうか」
何だか嫌な予感がするぜ・・・
遊戯が海馬に不信の眼差しでいると
ポッ・・・ポッ・・・
顔に当たる冷たい感触
何時の間にか空には雨雲が立ち込め降り出したのだ
雨が本降りになる前に遊戯は海馬に手を掴まれ引っ張られた先はミラーハウス
そこで雨宿り・・・
ああ・・・今日は折角の七夕だって言うのに・・・
これじゃ天の川が見れないぜ
それより織姫とひこぼしはちゃんと逢えるのかな?
自分のデートより他人の心配をしだす遊戯だったが暫くは止みそうに無い雨
自分達が雨宿りに使っているアトラクションで時間潰しは、出来ないだろうか?
と考え隣にいる海馬に
「?・・・これって中はどうなってるんだ?」
「入ってみれば解る」
そう言われ中に入ってみると壁と天上一面が鏡張りの異空間
「うわ〜凄いぜ!!」
どの面を見ても自分の姿ばっかり何処に壁が在り何処が角なのか解らない
「流石に床は鏡じゃないんだな」
足元を見ながら呟くと
「スカートを穿いた女性客も居るのでな」
足元まで鏡だと中が見えてしまうのだ
エロ無し・・・
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