約束−10− |
姿を変えて行く球体 それは、次第に海馬の見馴れた姿に 「おかえり遊戯」 光が象った姿は、今ベッドの上で横たわっている筈の 自分の恋しい相手 夢を見ている心境だ 否 夢かもしれない ここは目の前にいる自分が住む空間であり己の消し去った過去 その過去に眠る遊戯の姿を真似て作った架空の遊戯 海馬の心は、そう判断した。 「瀬人・・・どうしてここに?それにココは何処なんだ? 俺は、未来に帰ってきたんじゃ?」 急に込み上げる不安 自分は、未来に戻れると思ったのに出て来た場所は、見知らぬ空間 しかもさっき別れたばかりの瀬人が居るんじゃ仕方が無いのかもしれない 瀬人は優しい笑みを浮かべながら 「遊戯安心して君は、未来に戻って来たんだよ ただやらなければならない事があって俺が創ったテリトリーに遊戯を招待 したんだ」 「未来に戻ったって・・・だったらどうして瀬人が未来に居るんだ? それに瀬人が創ったテリトリーって??」 瀬人の背後には無数の色とりどりの球体が浮遊している 「ここは、未来の俺が捨て去った・・・もとい忘れ捨て去った過去が眠る場所」 そう言うと瀬人は、一点を指し示す その先に居たのは 「かっ・・・海馬!!」 まさか海馬が? 逢いたいと想った相手・・・ でも遊戯の心に一抹の不安が胸を過る 遊戯が一瞬見せた嬉しそうな表情に海馬の胸が高鳴りもしたがその後の不安 そうな表情が海馬を苛立たせる 「遊戯 不安がらないで・・・俺が何とかしてあげるから・・・」 「ありがとう瀬人」 例え記憶が創り出した虚像の遊戯であっても自分の目の前で他の男と話してい なんて許せない ましてや自分に見せた不安そうな顔・・・ 自分の前では畏怖堂々としていて欲しい 否 遊戯の全ての感情は、自分の前だけ見せてくれればいい 自分以外の者が遊戯の感情を見る必要は無い 遊戯は、感情を含めた全てが自分の者なのだ 「遊戯 貴様にも見えるハズだ! 見果てぬ先まで続く俺達の闘いのロード!!」 その言葉に遊戯は驚きの表情を見せるが瀬人は 「さっきから遊戯の事を心の中で『虚像』なんて言ってる癖に よくそんな事が言えるな!」 自分の心の中を見透かされ不機嫌の海馬 「虚像を虚像と思って何が悪い!!」 「この遊戯は、虚像なんかじゃい! 正真証明本物の遊戯の心で有り魂なんだ!!」 「海馬!!酷いぜ!オレは虚像なんかじゃないぜ」 「ええい!!!黙れ黙れ誰が何と言おうと貴様は、俺の傍に居ればいい 貴様の全ては俺のモノなんだ」 例えそれが本物の遊戯であれ虚像の遊戯であれ関係無い まるで子供が駄々をこねる様にまくしたてる海馬に気圧される遊戯と瀬人 「貴様は、俺の傍に居て俺だけを見て俺だけを感じ俺の事だけを考えていれば いいんだ」 そう言って遊戯の腕を掴み自分の方に抱き寄せる 久しぶりに感じる海馬の温もりに遊戯は安らぎと嬉しさを感じる そして自分の傍に居る瀬人を見やると瀬人は、穏やかな表情を見せながら (幸せになってね・・・) そう言いながら姿を消した。 「今迄だってそうだったぜ・・・だからお前から連絡が有った時オレは相棒達との 約束を反故してまでお前に逢いに行ってた・・・ でもそんなオレをお前にないがしろにして来たんだろ? あまつさえお前の目の前に居るオレを虚像だなんて失礼過ぎるぜ」 遊戯の言葉に息を詰まらせる海馬だったが 「貴様は、空気の様な存在なのだ 正直 貴様が倒れ意識不明だと聞いた時 俺は信じられなかった。 貴様を失うかもしれない恐怖に恐れを抱いた もう二度と貴様を失いたく無い 遊戯7年前の約束通り俺の傍に一生居てくれ 貴様の存在が俺の存在理由で有り貴様が俺の生きて行く為の原動力なのだ」 抱き締められている腕に力が込められる 痛さと息苦しさを感じつつもそれを勝る嬉しさと幸せを感じる 「もう・・・オレに寂しい想いなんてさせないと約束出来るのなら オレのこれからの人生お前に預けるぜ」 「ああ・・・約束する」 -数日後- 遊戯が退院したと<武藤遊戯>の下に連絡が入り <遊戯>達は海馬邸で静養している遊戯の下に見舞いに訪れるとベッドに腰を かけながら楽しそうにモクバと雑談をしている遊戯 その左指にはプラチナの指がはめられているのを<遊戯>は見逃さなかった。 海馬君・・・もしかしてこのままもう一人の僕を永久就職させる気じゃないよね? 男同士じゃ結婚出来ないよ?って海馬君に常識を求めるのも酷な話しか? まぁ・・・どっちにしてももう一人の僕 御幸せにねvvvv
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