ウソと言って!
-1-
朝違和感を感じつつ目を覚ますと・・・
「もう一人の僕〜ご飯だよ」
<遊戯>何時まで経っても起きて来ない遊戯を起こしに2階に上がってくる
何時もならこの時間既に起きて来てる遊戯
でも前日 海馬Co.のモニターとして本社で新作ゲームをしていたらしくその所為で疲れて
今朝は起きて来れなかったのかと<遊戯>は、思っていた
まぁ〜今日は、日曜日なんだしゆっくり起きて来ても問題無いんだけど
部屋の扉を開けると2段ベッドの上で掛け布団を抱きしめボ〜としている遊戯に
「どうしたの?朝ご飯食べに行こう〜」
と声をかけると
「あ・・・相棒・・・オレ・・・オレ・・・女になってる・・・」
はぁ????
「どう言うこと?も〜朝から冗談はヤメてよ〜」
自分の言葉を冗談だと思われた遊戯は、パジャマの上着を全開し<遊戯>に見せた
「!!!!!!!」
<遊戯>の目の前には、形のイイ張りと弾力の有る膨らみが・・・
思わず鼻血が出そうになる
「も・・・もう一人の僕・・・いっ・・・一応前閉じてくれる?」
そう言われ遊戯は、パジャマの前を閉じたが
遊戯の表情は、不安気に曇っていると言うか青ざめている
まぁ・・・前日まで男だったんだし起きて急に女になったんじゃ・・・
「昨日 何が原因でそうなったかなんだけど
何か思い当たる事無い?え〜と例えば昨日海馬君に何か飲まされたとか?」
「昨日 海馬は朝早くから出張で会社には居なかったぜ」
毎度何かしら変なモノを遊戯に飲ませてる海馬に当てられた白羽の矢
それが見事に外れた
「じゃ 何か寝る前に変わったモノを飲んだとか?」
「寝る前に飲んだのって 相棒のママさんが入れてくれたホットミルクだけだけど」
ママが変なモノ用意するワケ無いし・・・寧ろ変な薬を用意する事自体無理だと思う
一体全体何が原因でもう一人の僕は、女の子になったんだ??
「ねえ・・・今日 海馬君と逢う約束なんてしてないよね?」
「海馬の出張は、確か明日までだったと思うぜ」
向こうで無理してない限り・・・
「もしかしたら女の子の姿で居られるのも今日1日だけかもしれないよ
ほらマンガや小説で主人公の男の子が女の子になっちゃうんだけど1日経てば
元に戻るって話し多いからさ」
きっと君の場合も同じなんじゃないのかなぁ?
自分が言ってる事は気休めでしか無いと言うのは解っている
それにそれは、自分自身に対して言い聞かせてると言う事も・・・
まさか目の前に居る遊戯が女の子になるなんて・・・
男で有りながら異性・同性問わず魅了し続ける遊戯
彼に恋心を抱く男の子は、数知れず
そんな彼が女の子になってしまったら彼に恋心を抱く男共の心中はきっと穏やかでは無い筈・・・
しかも憂いを帯びた彼の表情は、危険度が高い
海馬じゃなくても襲いたくなるだろう
だがそんな事を全く知らない遊戯は、人を魅了し続ける
そして数多くの人が魅了され続けるのだ
そんな連中から遊戯を守っている海馬に<遊戯>は頭が下がる思いがした。
しかも恋人の座をしっかり獲得しているのだ
「遊戯君 海馬君が来たわよ」
1階に居る母親の声
えっ!?ウソ!!海馬君って今出張中なんじゃないの?
と言うかもしかしてもう一人の僕逢いたさに仕事を早めて帰って来たとか?
遊戯の方を見るとフリーズしてる・・・
「今そっちに行ったからぁ〜」
ウソ〜!!一先ず もう一人の僕を着替えさせないと!!
<遊戯>は急ぎ遊戯を着替えさせるが目の前の遊戯は、海馬が来た事に驚きを隠せない
「あいぼ〜!!」
「早く着替えて!!」
<遊戯>が扉が開かないように抑えてる
ドンドン!!
ドアをノックすると言うかド付いてる音
「遊戯!出て来い!」
間違い無く海馬の声
「海馬君 ちょっと静かにしてよ〜 もう一人の僕は、着替え中なんだから」
その言葉に止んだノック(?)音
<遊戯>の気が緩んだ隙にガチャと開けられてしまう
「うつ気者デュエリストたる者 一瞬の隙が明暗を分ける」
そう言って入って来る海馬
それは、デュエル中の話しでしょ?海馬君
今はデュエル中じゃ無いんだよ
でも確かに海馬君相手に油断した僕にも落ち度があるかも・・・
ってそれよりもう一人の僕の事だよ!!ちゃんと着替えたのかなぁ
目の前の海馬の反応を見る限り問題なさそうなので<遊戯>は後ろを振り返ってみると
遊戯は、着替えを済ませギュ〜と掛け布団にしっかりしがみついていた。
自分にとって最善の策だと思ったのだろう
だが傍から見ると何とまぁ間抜けな姿なんだろう
否 可愛いかもしれない・・・
一瞬ドキッとさせられてしまう<遊戯>
「遊戯 貴様何時までそんな汚らしい布団にしがみついているつもりだ?!」
(きっ・・・汚らしいって!!ちゃんと干してるしクリーニングにだって出してるから汚くないよ!)
優しい表情の海馬・・・微かに笑みを浮かべている
(海馬君目に見えないハートがいっぱい飛んでる様に見えるのは気の所為?)
しかも優しい笑みを・・・
このまま2人きりにすれば即効イチャ付きそうな程・・・
(遊戯そんな仕草は、余りにも可愛すぎるぞ!!
くそ〜この場で貴様を押し倒したい心境になるでは無いか〜!!)
そんな海馬を見て<遊戯>は
(えっ!?海馬君もう一人の僕のあんな姿見て突っ込まないの???
ムチャクチャ違和感あるでしょ〜!!不自然でしょ〜!!
そりゃ〜可愛いけど・・・)
そんな<遊戯>の心の叫び虚しく
「仕方が無いぜ!!オレは眠いんだからな」
海馬は、遊戯の傍まで行くと
「!!」
「ちょっ・・・海馬君!」
「こいつは連れて行く
遊戯そんなに眠いのなら俺の寝室で寝ればいい」
掛け布団にしがみついたままの遊戯を肩の上に担ぎ上げる
「やぁ!!降ろせ!!オレは行かないぜ!!
お前の寝室に連れ込まれたら最後 寝る事なんて出来ないぜ!!」
(もう一人の僕・・・別の意味で寝る事になると思うよ)
<遊戯>の心の言葉を裏付けるかの様な海馬の不適な笑み
海馬は肩の上ジタバタする遊戯に
「大人しくしないと階段から落とすぞ」
別に遊戯に暴れられたからと言って痛くも痒くも無い
ただ煩わしいだけなのだ
(かっ・・・海馬君!!君は何て事をサラッと言うの!!
って言うか掛け布団まで持って行かないで!!)
海馬の言葉に大人しくなる遊戯
落とされては堪らないとでも言うかの様な表情
海馬は勝ち誇った様な表情で
「最初っから大人しくしていればいいものを」
高笑いをしながら階段を降りて行く
海馬君!!もう少し静かに階段を降りてよ!!
御近所迷惑でしょ〜
「もう一人の僕!!」
「あいぼぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜」
遊戯の叫びは、車に乗り込むまで続いていた。
海馬君もう一人の僕は暫く貸してあげるけど掛け布団は早目に返してね