世界で一つだけのモノ -5-

世界で一つだけのモノ -5-


-10月25日-夜

 

夕方から始まったパーティは、既に夜が更けたのにも続けられていた。

流石にこんなに時間がかかると思わなかった<遊戯>は遊戯の事が心配になってくる

23時を過ぎパーティはお開きになりパーティに参加していた者達は、各々退席していく

車で来ている者は車で帰宅したり宿泊しているホテルに向かい

海馬邸の別館に宿泊する者はメイドの案内で会場を後にする

「兄さま お疲れ様 もうお休みになるの?」

「ああ・・・すまないが・・・」

「後片付けの事でしょ? オレに任せておいてよ

兄さまは、ゆっくり休んでね!!

そうそうオレと<遊戯>から兄さまに誕生日プレゼントがあるんだ

部屋に戻ったら開封してね」

「ああ・・・解った」

疲れた様な表情の兄

(兄さまごめんね・・・オレの所為で・・・)

そんな兄に心の中で謝るモクバ

 

遊戯・・・結局 貴様は来なかったんだな・・・

 

あんな別れ方したとは言え<遊戯>が来ている以上

もしかしたら遊戯は来てくれるのでは?

と淡い期待をしていたのだが遊戯の姿を最後まで見つける事が出来なかった

 

海馬が部屋に戻ると大きな箱が部屋の中央に置かれていた

箱は3頭身のブルーアイズが描かれた包装紙で包まっている

今は開ける気になれないが明日朝モクバにプレゼントの礼を

言うのに内容を知らなかったら礼の言いようも無い

モクバの事だから<遊戯>と一緒にブルーアイズのヌイグルミでも用意しのだろう

仕方が無いと溜息を吐きながら包装紙を破り箱を開けると

その中には、自分が逢いたくて・・・逢いたくて仕方が無かった相手が

 

 

 

-数分前-

遊戯は真っ暗な場所に居た

手には千年パズルを握り締めている

本当は、自分も皆と一緒に海馬の誕生日を祝いたかった

でもモクバが計画した内容に自分も賛成しているのでパーティに参加する事が出来ないでいる

一人暗い場所・・・千年パズルに居た時の事を思い出す

3,000年も暗闇の中で過ごした

何時出られるか解らない暗闇・・・

 

オレって馬鹿だよな・・・

モクバが計画したからって安請け合いしてさ

もし海馬が気付いてくれなかったらどうするんだよ?

 

・・寂しい・・・

 

そんな折り包装紙を破る音が聞こえてくる

まさか!!と思う期待

でも・・・もし海馬に受け取って貰えなかったらと思う不安

 

微かに挿し込む光

「・・・ゆうぎ・・・」

己が目を疑ってしまう

これは、夢なのか?

「かいば・・・あの・・・誕生日おめでとう・・・」

恐る恐る不安そうな表情で自分に対して祝いの言葉を述べる遊戯

しかも首にはピンクの大きなリボンを巻き

後ろの方で蝶々結びになっている

服装は、シルク袖なしシャツに膝上までのスパッツ姿

しかも腰にはシースルーが幾重にも着けられており

まるでスカートの様に見える

足元は暗くて見えないが・・・

「き・・・貴様何故こんな所に・・・」

「あっ・・・あのオレがモクバや相棒から海馬の為に用意されたプレゼントだからだぜ

あの・・・御免あんな事言ってお前の心を傷つけて

それとこれはオレから海馬への誕生日プレゼント・・・」

遊戯の言葉に驚く海馬

まさか・・・遊戯自身が俺へのプレゼント・・・?

そして遊戯から差し出された千年パズル

オカルト嫌いの海馬にしてみれば千年パズルの存在は忌々しいモノでしかない

「この千年パズルの中にオレがモクバに頼んで用意してもらった

モノが入っているんだぜ」

俯く遊戯・・・もしかしたら拒否されるんじゃ・・・

「貴様は、俺を信じているのか?」

遊戯から千年パズルを受け取る

本当は触りたくも無い忌々しいモノ

(えっ?)

「俺でいいのか?」

何が・・・?

「貴様から自由を奪うかもしれない・・・それでも・・・」

遊戯が顔を上げると海馬も俯いている

「オレは、海馬の方がいい・・・

海馬がどれだけオレの事思ってくれているのか解っているから・・・

それにオレの心を動かせるのはお前だけなんだぜ

なぁ・・・海馬いい加減オレをココから出してくれないか?」

海馬に両手を広げ出して欲しいと懇願する遊戯

そんな遊戯を抱き抱え様と遊戯の身体に腕を巻きつけると

「!!」

唇に柔らかく暖かい感触が・・・

「海馬 その千年パズルの中にはオレの本心が入っている

お前が喜んでくれるのかどうか解らないけどな

箱から出された遊戯

そのまま床に足を着ける事無くソファへと連れて行かれる

「その目の部分を外してみろよ」

「パズルが崩れたりしないのか?」

「大丈夫だぜ・・・」

遊戯に促されるまま千年パズルの目を外すと中には小さく折られた

紙が入っている

それを広げると

「遊戯!!これは・・・」

「お前が受け取ってくれるのかどうか不安なんだけど・・・」

相棒には祝福の言葉を言われたぜ

千年パズルの中に入っていたのは養子縁組の用紙

しかも遊戯のサインが既に入っている

「オレが海馬の為に用意出来るモノってオレ自身しかないから・・・」

お前欲しいモノは自分で買いそうだから

「それ受け取ってくれるか?」

「遊戯この用紙の意味は解っているんだろうな?

俺がこの用紙を役所に出したら・・・」

もう貴様は相棒の元に戻れなくなるんだぞ

「解っているぜ オレが海馬のモノになって一生傍に居るって言うんだろ?

日本じゃ同性では結婚なんて出来ないから養子縁組にしたんだぜ・・・」

パーティ会場に遊戯が来ていない事に不安を感じた

そして自分のプレゼントとして目の前に現れた遊戯

こんなに嬉しい事は無い

海馬は、自分の傍で紅く頬を染めている遊戯を抱き寄せてしまう

「意味が解っているのなら今夜から俺の傍に居ろ」

「じゃ・・・受け取ってくれるのか?オレからの誕生日プレゼント」

「もちろんだ こんな最高な誕生日は、そうそう無いだろう」

 

その日の晩から遊戯は「海馬 遊戯」を名乗り

喧嘩は、するものの幸せな日々を過ごしたのでした・・・

(何か・・・拘束された日々になりそう・・・)



変な終わり方だよなぁ〜
って言うか最後のネタを綺麗さっぱり忘れたんですよ〜
即興で書きました。




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