世界で一つだけのモノ -4-

世界で一つだけのモノ -4-


-10月24日-

「いよいよ明日だぜ 遊戯頼んだぜ」

「もう一人の僕 そんな不安そうな顔しないで」

「上手く行くのか不安だぜ」

暗い面持ちの遊戯

彼が気落ちしているのは今尚海馬と仲直りをしていないからだ

海馬と喧嘩みたいな形で別れた遊戯は、その後も

海馬が不在中にコッソリと<遊戯>と一緒にモクバの

元に訪れていたのだ

 

あれ以来 海馬の顔を見てないぜ

まだ怒っているんだろうな・・・

何だか海馬の顔を見るのが怖いぜ

 

本当は、今すぐにでも逢いたいのだ

逢って抱きしめて欲しいのだ

彼の温もりを感じたい

何時もの様に自分を求める言葉を言って欲しい

そう想うものの海馬に逢って拒絶されたら・・・と想うと怖いのだ

もしかしたら自分だけが海馬を求めているだけかもしれない

自分が海馬に求められてなかったら・・・

「遊戯 そんな顔するなよ

今回の計画はオレが立てた事だ遊戯の所為じゃないぜ」

「今回の件に関して僕だって共犯なんだし君のそんな顔を見ると

何だか僕まで切なくなるよ」

「スマナイ2人共・・・今回の計画は海馬の一生とオレの一生が

かかってる大事な計画だもんな

絶対成功させてやるぜ」

強気の遊戯の言葉・・・

その言葉は自分自身にも言っている様にも聞こえて来る

 

遊戯・・・あれから兄さまも元気が無いんだぜ

きっと遊戯の事を考えてると思うんだ

だから勇気出して

自信持ってくれよ

 

 

もう一人の僕

海馬君の事だから本当の事知れば許してくれるよ

海馬君はセトさんの記憶を持っている筈だから・・・

君がどんな人物なのか誰より知ってると思うよ

まぁ・・・オカルト嫌いの現実主義の海馬君が素直にセトさんの記憶を

受け入れるかどうかは別としてだけど・・・

 

 

-10月25日-

 

夕方から行われる海馬の誕生日パーティ

参加者は、会社関係の人物が流石に多いが政界の大物議員や

有名芸能人も参加している

娘の居る者は、娘を着飾らせ海馬の恋人に婚約者にと連れて来る

興味の無い相手・・・

だが今は無碍に出来ない

海馬は、話しかけて来る相手に愛想笑いを浮かべている

そして無意識の内に自分が求める相手を探してしまう

だがその姿が何処にも見当たらない・・・

<遊戯>やその御仲間は居るのに・・・

やはり怒っているのだろう

本気で自分達の関係が終わったと思っているのだろう

素直に『貴様を疑って済まなかった』と言えたら・・・

あれからも遊戯とモクバが逢っているのは知っている

モクバの遊戯の様子を聞きたいが怖いのだ

怖い・・・?この海馬瀬人が?

「社長 あちらの方が社長とお話ししたいと申して居られますが」

「ああ・・・解った」

こんなつまらない事 後数時間やらないとイケないのか・・・

遊戯 貴様が居たらこんなつまらない時間も楽しい時間になっただろうに

 

海馬君やっぱり気にしている・・・

もう一人の僕の事 それ程までに好きなの?

海馬君 あれは彼の本心じゃないよ・・・

ううん・・・彼自身が抱く恐怖が混ざっているみたいだから本心かもしれない

でも彼だって海馬君の事 今も好きなんだからね

もう一人の僕 安心して

海馬君は、きっと君を受け入れてくれるから

 

モクバの姿が見え計画の準備が整った事が解った。

後は時間のみ・・・

 

今回の計画の立案者として

兄さま絶対に遊戯と仲直りしてもらうからな!!






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