Anniversary -2-
週が変り明日香の誕生日当日・・・
結局 明日香が何を悩んでいたのか聞く事が出来ないでいた
と言うより聞いてはイケナイ様な気がしたのだ
「兄貴 早く明日香さんにプレゼント渡そうよ〜」
グイグイと腕を引っ張る翔
そんなに慌てて渡す必要は無いと思う
今日中に渡せばそれでいいのだから
それに今の時間明日香ファンに囲まれプレゼント攻めにあってるか
しれないのだ
そんな中行けばきっと迷惑になるかもしれない・・・とは思うものの
言うに言えず結局引っ張られてしまう
そして案の定 明日香はファンのヤツに囲まれてプレゼント攻めを
受けてる最中
少し困った様な顔をしているがそれでも笑みをたえさないで対応
している
彼女がファンのヤツから解放されたのは夕方・・・
授業が終わってからの事
それまでは休憩時間が来ればファンのヤツが来てプレゼントや握手を
求めてくる
有名人ってのも大変なんだなぁ・・・とつくづく思った
翔も剣山も万丈目もそれぞれ何とかして明日香にプレゼントを渡せた
らしく機嫌がいい
(剣山は御世話になってる先輩だから・・・と言う理由で)
オレと言えば未だ渡せずにポケットの中にしまい込んでる
こう言う時翔達の行動力が羨ましい限りだ
そう思うと思わず溜息が出てしまう
夕方頃になって明日香が一人でボンヤリ海を眺めていると
「お前がボンヤリしてるなんて珍しいな」
「そうかな?渡しだってボンヤリする時だってあるのよ」
少し振りかえり又海を見だす
「あっあのさ・・・少し付き合って貰いたい所あるんだけどいいか?」
何時もと様子の違う十代
「いいけど」
少し顔が紅い様な気がする
風邪?
そんな事を思っていると
「こっちなんだ」
十代に手を繋がれ森の中・・・
暫くすると坂道を登りだす
いったい何処に連れて行く気なんだろう?
こんな人気の無い所に連れて来て・・・まさか?!十代が・・・
そんな事しないと思うけど・・・やっぱり十代も男の子なんだから・・・
有らぬ方向に考えが傾く
「到着〜!!明日香ここに来てみろよ 良い眺めなんだぜ」
「えっ・・・」
十代の横に立って見たものは
灯台を眼下に綺麗に沈む夕日
太陽光が水面に反射しキラキラしていてまるで宝石箱に収められた
宝石の輝きの様
「綺麗・・・」
「時々ここに精霊と一緒に来て夕日を見たり雑談したりしてるんだぜ
そうそうココから見る朝日もなかなか綺麗なんだぜ
そう言えば星空もここから見ると綺麗だったな」
「まさか十代がこんな所を知っているなんて予想外」
「オレだってデュエルの事ばかり考えてるんじゃないんだぜ
あっ・・・そうだ忘れる所だった」
ゴソゴソとポケットの中を探りだし
「明日香誕生日おめでとう」
それほど大きく無い包装紙に包まれたプレゼントを指しだす
「ありがとう 開けても良い?」
「ああ・・・でも翔とかみたいなアクセサリーとかじゃないからな」
ガサガサと開けると中からは、カードが数枚
マジック・カードにトラップ・カード・・・
しかも明日香が自分のモンスターに使えば有効利用出来るカードばかり
相手のデッキを知っているから贈れるカード
「そのカード 明日香のモンスターが使えば更に強化されるから本当は
プレゼントしたくなかったんだぜ・・・」
「返せと言っても返さないから」
「言わないよ オレのモンスターには使えないカードだから」
あっても宝の持ちグサレだしな
やっぱり有効利用してもらえてこそカードは活かされる
「十代って亮と同じね」
「?」
「亮はデュエル・グローブを贈ってきたの」
ははは・・・そう言う意味で同じ・・・
「明日香何か悩みあるんならオレで良かったら話せよ
少しは楽になるかもしれないぞ」
十代の言葉に驚きながら
「そんなに顔にでてたかなぁ〜」
顔には、それほど出てなかったけど態度の方に出てたぞ
まぁ翔達は実技試験の事で悩んでる様に見えてた見たいだけど
「あっもしかしてカイザーの事?」
「そうよ・・・」
「カイザーが急変したから その事で気に病んでいるのか?」
「見た目は変ってしまったけど亮は何時も通りの亮よ
電話もメールも何時も通り」
それじゃ何を悩んでいるんだ????
「亮に卒業したら一緒に暮らそうって言われたの」
えっ?!
「でもね 私にはプロのデュエリストになるって夢があるから・・・
世界に居るデュエリストとデュエルしたい
そう思うと返事が出来なくて・・・」
内心「聞くんじゃなかった」っとショックを受ける十代
「でもカイザーの事好きなんだろ?
一緒に居るからってデュエル出来ないワケじゃないと思うけど」
「そうなんだけど でも傍から見れば亮が後ろ盾になってデュエルをしてる
様に見えるでしょ?」
まぁ・・・カイザーは有名人なんだし明日香が自分でデッキの構築を
勝利を収めたとしてもカイザーの助言でデッキを構築したと言われても
おかしくない
「返事ってそんなに急いでしないとイケナイのか?」
「そんな事ないけど でも卒業までに返事しないとね」
「プロで居る年数を決めてその後カイザーと一緒になるとか?」
「それじゃ『腰かけ』って言われるわ」
少し不機嫌になってしまう明日香だが十代はおかまいなしに
「『腰かけ』って言うけど それって何もしないでただ結婚相手と時期を
待っている間の事なんだろ?」
何か違う様な気もするけど・・・
「別に結婚したからってプロを辞める必要なんて無いと思う」
確かに辞める理由なんて無い
「もし辞めるとしても女性デュエリストとして最高位にまで登りつめろよ
誰か等も後ろ指指される事の無い様にさ・・・
でもヒガミやヤッカミにあうかもな」
オレって何言ってるんだ・・・
クスクス・・・
「十代って本当に面白いわね
でも確かにプロを辞める理由なんて無いし
亮は『一緒に居よう』って言ってるだけでプロの事に関しては
私の自由だと言ってくれたもの
一緒になるイコール夢を諦める必要なんてないのよね」
すがすがしい評定になる明日香
「十代に聞いて貰って良かった
このままだったらきっと変な方向に考えていたかもしれないもの
有難う十代」
笑顔で礼を言われて思わずドッキとしてしまった。
自分だけに向けられた笑顔
本当は、この場所で告白したかったのに聞きたくなかった話しを聞く羽目に
なろうとは・・・
でも悩んでいた明日香の表情が明るくなったのは嬉しい
再確認・・・オレってやっぱり明日香の事が好きなんだよな
たとえこの想いが届かないとしても明日香の為になる事なら何でもしたいと
思うわけだけだから
「十代どうしたの?」
「あっ何でも無い・・・あっ星が出てきたぜ」
「ほんとう!!」
この想いが届かないとしても明日香の笑顔を守ってあげたい
出来る事なら明日香と両想いになりたい・・・