もう一つの出逢い-2-

もう一つの出逢い-2-


朝になり猫達は、猫用に作られたゲートから外に

朝の散歩に出かけた。

明日香が住んでいるのはペットと住む事が出来る

マンション

通常のマンションに比べて家賃は、高めだが隣近所

に気がねする事なくペットと一緒に住めるのがいい

それにマンションから数メートル離れた場所には

動物病院がある

まだ行った事無いけど眼鏡をかけた小柄な優しい

獣医さんが居る病院らしい

噂では兄弟でやっているらしけど兄は多忙なのか

病院には姿を滅多に見せないらしい

 

猫達は、何処をどう散歩しているのか知らない

明日香が起床する頃には、戻って来ているから

 

その頃 明日香は夢の中

何時も2匹揃って出かけているので親子か兄弟に間違われているけど

2匹に血の繋がりなんて無い

 

その日課を終え帰宅すると今尚眠る飼い主を起すべく吹雪がベッドに

飛び乗りその後に続いて十代も飛び乗ってきた。

ウニャ・・・ニャニャ・・・

吹雪が明日香の上に乗り丸っこい手で躰をモミモミしながら

起こしに来る

人間で言うと揺さぶっている様なモノなんだろうけど・・・

その点 十代は、爪を出さないまでも猫パンチを顔にしてくる

可愛いんだけどもう少し違った起こし方をして欲しい様な気持ちに

なる

まるで叩かれている気持ちになり落ち込んでしまいそうになるから・・・

そんな飼い主の気持ちを知ってか知らないでか繰り出される猫パンチに

目が覚める

時計を見れば昼過ぎ・・・

完全に襲い朝食猫達も御飯を貰う

その後は爪砥ぎ用で売られていた木に爪を砥ぐ2匹

決して壁で爪を砥がない

別にそんな事を教えたワケでもない

公園で何度か見た光景・・・

朝食を済ませると洗濯と掃除を開始

一段落着いたら買い物に出かける

キャットフードとミルク・・・後日用品を買って帰宅

そうこうしていると時間は、既に夜

出勤前にシャワーを浴び身だしなみを整える

スーツに身を包みブランド物のバッグに財布等を入れ

猫達の頭を撫でると

「行って来るね」

とだけ告げ出勤する

猫達も玄関先で一鳴きして御見送り

主を見送った猫達は猫用ベッドで一眠り

 

御店では今夜も男と女の駆け引きが行われている

男達は、自分のお気に入りの女を指名して運良く

来てくれたら御満悦

そして大枚を御店に落としてくれる

女は、指名して欲しさにそれなりにサービスをする

相手の機嫌を損なわせるワケにはいかない

社交辞令と美辞麗句のオンパレード

色のある世界なのに色が無い様に感じられる

何処か真実味の無い世界

いっときだけでも現実世界から離れられる場所なのだから

真実味が無くても当然かもしれない

そんな時間を無難に過ごし閉店時間を迎える

閉店後は、各々好きなようにする

明日香は帰宅する方を選ぶ

今夜も『りょう』は姿を見せなかった・・・

一度でいいから『りょう』と話してみたい

こんなに気になる人なんて初めてかもしれない・・・


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