幻想-6-

幻想-6-


清々しい気持ちのまま目が覚めた

周りを見渡せば見慣れない調度品

時計を見れば5時55分

海馬は昨晩の事を思い出そうとしていた時

「起きたのか」

何時ものスーツ姿の遊戯

「よっぽど疲れていたんだな ベッドに横なってそのまま眠ってしまうんだから」

遊戯の手には自分のスーツ・・・

「シャツとズボンはクリーニングに出すから早く着替えろよ」

そうだ!自分は遊戯が出迎えに来ない事に腹を立てこの部屋に来たのだ

やっと状況が把握出来た。

着替える前に遊戯の部屋のシャワーを使い

渡されたシャツとズボンに穿き変えながら先程まで来ていたズボンとシャツを遊戯に渡す

朝食を取りに食堂へ行く

勿論遊戯を連れて

自分の給仕をさせる為に

最初の頃はギコチナイ手付きで給仕をしていた遊戯だったが最近では手際良く準備をこなす

食後に出されるコーヒーを飲んでいる最中に遊戯は数紙の新聞を用意する

6時50分玄関先で執事に新聞を手渡すと遊戯は海馬を見送る事無くそのままモクバを起しに行った

見送りに来ない遊戯に不機嫌な海馬運転手も秘書も気が気でない

 

朝の一仕事を終え

やっと使用人達の朝食の時間

朝食が終われば各々の仕事が待っている

それは遊戯とて同じ事屋敷内で電球が切れている処が有れば交換だってする

 

時折 花を散らした枝垂れ桜を見に行く

 

来年も桜が見れたらいいのに・・・

 

綺麗に咲く桜をイメージしながら見上げる

 

夜遅くに帰宅した海馬

今夜も遊戯の出迎えが無い事に苛立っている御様子

しかも海馬の機嫌の悪さは一日中だったそうで従業員はそれはそれは怖い思いをしたとの事

遊戯の御見送りは必要だと感じた執事は、これ以上周りに被害が出ないように遊戯に海馬の

見送りをさせる事に決めたのだった

 

全く困った瀬人様じゃ・・・

本当に望んでいる相手が男で望んでいない相手が女とは・・・

しかし瀬人様静香様は亡き御両親が決められた御相手です

その事は肝に命じて置いて下さい

 

足早に遊戯の部屋へ向う海馬

コンコン・・・

「遊戯」

コンコン・・・

昨夜同様返事が返って来ない

また入浴中なのか?と思いながら室内へ勝手に入れば真っ暗

傍に有ったスイッチを入れ室内を灯せど人の居る気配無し

水音も聞こえない

まさか?屋敷を抜け出した?と思いは、したものの一応寝室の方を覗いてみる

淡い色の室内灯が灯っている

ベッドの上には遊戯の姿が・・・

海馬が居る事に気付かずスヤスヤと横向きに眠る遊戯

その寝顔に思わず笑みが零れる

柔らかい頬に触れてみれば温かみが伝わる

遊戯がココに居る事を証明してくれている

遊戯が屋敷を抜け出すなんて・・・有りえんな・・・

微かに開かれた唇に目が止まる

このままその唇に触れたいと思ってしまう

 


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