廻り逢い-1-
1度目と言うのなら俺は、何時ヤツに出逢ったのだろう?
これが2度目と言うのならヤツは、童実野参道を俗に言う御友達とやらと一緒に居る時
3度目(?)は、ヤツの事に何故か興味を抱きヤツの事が知りたくなりヤツが通う高校に
転校した日・・・
普段俺は、海馬Co.の社長をしているのでそうそうと学校には通えない
【武藤遊戯】・・・何故俺は、貴様に懐かしさを感じる?
過去に貴様と出逢っているのだろう?
ヤツが童実野参道を御友達と居る所を偶然見かけたその日の晩に見た夢・・・
顔がハッキリと見えなかったが少女とおぼしき人物が幼い俺に手を差し出し何処かで遊んだ
何処なのか?この人物は誰なのか?
ただ解っている事は、この人物が俺の初恋の相手だと言う事ぐらい
それに気になったのは何故武藤は車椅子に座っているのか?
気になり調べた・・・
幼い頃双子の兄と空き地で遊んでいる所へ
その空き地に車を駐車しようとして入って来た車に轢かれた
前方不注意・・・
相手は、20代の男性
助手席に座っていた女性にチョッカイを出していて前を見ずに空き地に入り込み事故を起した
武藤の兄は頭を強く打ち病院に急いで運ばれたが既に時遅し
武藤は両足を2度轢かれた
切断とまでは、行かなかったが足としての機能が無くなった
ただ神経が生きたまま
きっと苦痛の日々を過ごしただろう
目の前での兄の死
目の前に有るのに動かない足・・・
「オイ お前何時まで学校に来る気なんだよ?」
「障害もってんのに普通の学校来んなよ」
「女にチヤホヤされたくて来てるとか?」
学校の校庭の隅
車椅子に座った遊戯にイチャモンを着ける同級生達
「この足以外ならオレは、普通の生徒と何等変りはしない」
紅い瞳で相手を睨みつける
「ケッ 生意気言うんじゃね〜よ」
「保護者の真崎が居ないと何も出来ねぇ〜くせに」
ガシャン・・・
車椅子を揺さぶられ蹴られる
バランスを崩し地面に倒される事なんて何時もの事
「ちょっと!!あんた達何しているの!!!」
「ゲッ!!保護者様の登場だ」
「武藤 も〜学校に来るなよ」
遊戯に罵声を浴びせ立ち去る生徒
「真崎もあんまりコイツの事かばっているとその内お前にも痛い目見てもらうからな」
すれ違い様に言われる一言
それにも杏子は臆する事無く
「弱い者イジメしか出来ない貴方達なんか怖くないもん」
「遊戯大丈夫?」
自分に話しかけてくる幼馴染み
「大丈夫だぜ 杏子あんまりオレにかかわらない方がいいぜ
そうじゃないとお前まで」
イジメの対象にされてしまう
「何言ってるのよ 幼馴染みを見捨てる事出来ないよ
それに遊戯が頑張ってこの高校に入ったのは、目的が有るからなんでしょ?」
生きていたら自分達と同じ年
和気あいあいと一緒に登校しただろう
互いに自分の足で大地を踏みしめながら
それが叶わない今自分に出来る事は兄と一緒に過ごす筈だった学校生活を送りたかったから
でも現実は、そう甘くない
障害が有ると言う理由で普通に小・中校に入学させてもらえそうに無かった
祖父と父母が頼み込んでやっと叶った普通校での義務教育
でも高校は、更に難しかった
どんなにテストの点が良かろうと障害をもっている以上成績とは関係無い
でも杏子と御伽が自分の世話を申し出てくれたお陰で何とか入学許可が降りた