廻り逢い-2-

 


そんなある日杏子と御伽がそれぞれどうしても用事があって遊戯を家まで送って行く事が

出来ない時に限り運悪く外はザザ降りの雨

遊戯は、下駄箱の出入り口付近で雨宿りをしながら家族の迎えを待つ事にした

 

ああ・・・こんな日に限って雨だなんて最悪だぜ

爺ちゃんもママも用事があるから迎えに来てくれるのは、その後・・・

自分の力で帰る事が・・・そうか何も待つ必要なんて無いんだ

傘だって有るんだし自分で力で帰ろう

 

そう思い近くのスロープまで行き降ろうとした時

誰かに後ろから車椅子を掴まれる

まさか!!何時のも連中・・・

遊戯の脳裏には、自分に対して嫌がらせをしてくる同級生の姿が・・・

実際父兄からの嫌がらせの電話も後を絶たない

しかも不謹慎にも夜中

常識があれば夜中に人様の家に電話なんてしてこないだろうし電話代の無駄だと思う

 

 

 

「貴様この雨の中濡れて帰るつもりか?」

 

 

下駄箱で遊戯の姿を見かけた

何時も遊戯の傍に居る女や男の姿が無い

暫く様子を見ていたが迎えに来る家族も中々姿を現さない

待ちくたびれたのか遊戯がスロープの方に向って行くのを見て

思わず手を伸ばした

 

話しなんてした事の無いクラスメート

 

「貴様この雨の中濡れて帰るつもりか?」

 

コイツが濡れ様が俺には関係ない筈なのにコイツの行動が気になって仕方が無い

「えっ・・・あっ・・・濡れるつもりなんてないぜ 一応傘だって持ってるし」

差し出されたのは折りたたみ式の傘

広げたって到底雨露をしのげるとは思わない

海馬は、無線で何処かに連絡を取っている

「あの・・・」

車椅子の取っ手を掴まれていて身動きが取れない

その事を訴え様としたが海馬からの応えは

「少し待っていろ」

「はぁ?」

「貴様を送ってやると言っているのだ」

驚いて紅い瞳を見開く遊戯だったが驚いていたのは海馬とて同じ事

まさか今日初めて話した相手を送って行くと自分から言い出すなんて・・・

暫くして校門前に横付けされた黒塗りの車に遊戯が驚く

横付けされたのはベンツ・・・

そこから運転手と黒服の男が出て来る

「瀬人様御迎えにあがりました」

黒服の男が海馬に頭を下げる

その光景を海馬は、当たり前の様に受け流している

自分達の周りには遠捲きにして生徒の目が・・・

その視線が遊戯には痛い

 

男が遊戯を横抱きに抱き抱え様とした時

「俺が抱き抱える貴様は車椅子の方を運べ」

と指示を出すと海馬は軽々と遊戯を抱き抱え傘をさして待つ運転手の元へ

「貴様 傘ぐらい持てるだろう?」

「え・・・ああ・・・」

海馬は運転手が持つ傘を遊戯に渡す様に指示を出す

運転手は持っていたもう一本の傘を挿し黒服の男と入る

「送ってもらっていいのか?」

車椅子をトランクの中に仕舞い運転手は高部座席側の扉を開ける

「かまわん」

黒服の男が助手席に座るとゆっくりと滑る様に走り出す車

 

「助かったぜ・・・ありがとう海馬」

「フン・・・」

抱え上げた遊戯の軽さと細さ

まるで弟モクバを抱き上げた時の様だった

 

そして遊戯の温もりを感じた時の胸の高鳴り

 

俺は、コイツの温もりを感じた時

何故 嬉しいと感じたのだ???

 

自分の感情が解らない

無言の海馬に遊戯の気持ちが浮かない

幾ら海馬が送ってくれると言ってもその言葉に甘えた自分・・・

そんな自分に対しもしかしたら「図々しいヤツ」と思われているのかもしれない・・・

 

海馬・・・オレの事忘れたのかな?

 

 

幼い頃一緒に遊んだのに・・・

まぁ覚えて居ろって言うのも無理かもしれない

彼は多忙を極める高校性にして大企業の社長様

ただの高校性の自分とは違うのだ

浮かない顔の遊戯に

「貴様はゲームが得意なのか?」

以前遊戯の事を調べた時彼がネットゲームで伝説とされている『YU』だと知った

YU』は各企業が行なうオフでのイベントには参加して来ないがネットでのイベントには

必ず参加しており優勝を奪って行く

ネットの世界で『YU』を支持する者も多いが『YU』を目標に掲げている者も多い

かく言う自分も『YU』を支持し目標にしている者の一人


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