もう一度-6-

もう一度-6-


数日が過ぎ重役が何かしら暗躍している事は海馬も気が付いている

だが尻尾が掴めていない以上どうす事も出来ない

様子を見る事にした

 

 

遊戯は先日学友のバクラの言葉を思い出していた

彼は口が悪いし態度も横柄

だが仲間を思う気持ちは強い

その所為か仲間の誰かに悪い事が起きるとそれを感じ取り知らせてくれるのだ

そんな彼が自分に警告をしてきた

 

 

 

 

数日が経ち今尚何も起きない事に違和感を感じながら海馬は何時も通り出社をするが

自分を出迎える秘書の姿や受付け嬢の姿は、おろか他の従業員の姿も無い

同乗する磯野に訊ねるが彼も驚いて首を横に振るばかり

社内に入ると5人の重役の姿が・・・

「ほう 貴様等が俺を出迎えるとは、どう言う風の吹き回しかな?」

口角を上げイヤな笑みを浮かべる海馬

そんな海馬を見下す重役達

「おやおや 瀬人様に似た若造がデカイ態度で我々に話し掛けるとは」

「言葉使いや態度を似せた所で所詮は偽者」

「痛い目を見ない内に帰るのが得策だぞ」

各々に発する言葉に不快感の色を隠せない

 

俺に似た奴だと?

まさかこいつ等クローン技術を用いて俺のクローンでも製作したのか?

だがクローンが俺と同じ年齢に育つには、俺が生きてきた時間と同じ時間を要する筈・・・

それ以外だとするとサイバー・・・

 

確か昔サイバーの設計図らしき物を見た記憶が在る

しかもその設計図のサイバーが存在する事も聞いた事が在るが・・・

まさか復活したと言うのか

 

「騒々しいぞ」

重役の背後から聞こえて来る声

「これはこれは 御見苦しい所をお見せしました」

道を開け恭しく頭を下げる重役達

現れた姿に海馬は驚くしかなかった

 

 

 

「遊戯 帰る準備をしておいた方がいいぜ

何かイヤな予感がする」

「先日お前が言ってた厄介事の事か?」

「ああ・・・それが今日起るみたいだ」

さっきから感じるイヤな気配

その気配が確実に遊戯に迫って来ている

バクラの脳裏に浮かんだ物が少しずつ形になりつつある

「そ〜いやテメェ今日もデッキを持って来ているよな」

「当然だぜ デッキはデュエリストにとって命とも言える大切な存在だぜ」

「ど〜やら そのデッキが派手に暴れてくれるかもしれないぜ」

暴れる?カードが?

今一ピント来ない

それに早く帰るたってまだ1限目も始まってないのだ

カバンに入っている荷物を出すのを一先ず諦める

とは言えカバンに入っているのは筆箱と課題の為に持って帰っていた教科書とノート

それと御弁当ぐらい

他の教科書とノートは常日頃から置いて帰っているのだ

予鈴が鳴りホームルームの時間

担任が伝達事項を告げ様とした時ガラガラ・・・と開けられる扉

恐縮した様な面持ちで

「遊戯さま急用で参りました」

顔面蒼白の磯野

バクラが言ってた厄介事が自分の近くに在る感じた

「解ったぜ」

「武藤君!!何処に行くつもりかね?」

教室を出て行こうとする遊戯を呼び止める担任に

「オイ 先生よホームルームは未だ終わってないぜ」

悪態を付きながら担任を睨むバクラ

そんなバクラに怯えながら始まるホームルーム

新たにバクラの脳裏に浮かび上がるモノ

 

チッ・・・まだ他にも必要って事か・・・

 

それと一緒に浮かぶ人物の姿

 

しゃ〜ねぇな オレ様らしくもねぇ〜けど

ダチ見捨てる程落ちたくねぇもんな・・・

それにアイツの悲しそうな顔見たくねぇ〜し

 

自分だって遊戯に好意を抱いているのだ

海馬に負けてるとは、思いたくも無いけど

遊戯が自分に持っているのは友情だ

恋人になれないのは、解っているだから彼との唯一の繋がりである友情だけでも守っていたい

ホームルームが終わるとバクラは教室でて脳裏に浮かび上がった人物の元へと行った

 

全く厄介な力だぜ 予見の力ってのは・・・

オレ様が見たくない光景まで見せてくれるんだからよ

それに見せるなら日時ぐらいハッキリさせろよ






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