ニャンコな出逢い(遊戯編)
夜余りにも暑かったので窓を開けていたら1匹のネコが入って来た。
「お前 何処から来たんだ?」
勝手にベッドで寛ぐネコに部屋の主である遊戯が訪ねる。
こんな問い馬鹿げているとは、思う。
だって相手は、『ニャ〜ニャ〜』と鳴くネコなのだ。
もしネコ語で話してきても当然の事ながらネコ語なんて解らない。
それでも聞いてしまう。
蒼い瞳の白いネコ。
躰の大きさからみて成獣だろう・・・しかも年の若い。
遊戯は、そのネコに興味を抱き触れてみたいと思った。
でも警戒心の強いネコが見知らぬ相手に自分の躰を触れさせてくれるのだろうか?
威嚇され引っ掻かれるのオチじゃないのだろうか?
目の前に居るネコに対していろいろを考えてしまうがそれでもこのネコに触れたいと思う気持ちは、
抑えられない。
ゆっくり手を伸ばしネコに触れようとする。
自分に伸びてくる手を蒼い瞳で見つめるネコ。
逃げる気配も威嚇してくる様子も見せない。
遊戯の手がネコの躰に触れた時ネコは、蒼い瞳を閉じベッドの上で眠り出した。
サラサラする毛並み。
飼いネコなのかもしれない。
何故かこのネコを見ていて重なる人物が居る。
滅多に登校して来ない同じクラスのヤツ。
「なぁ・・・お前 飼いネコなのか?
もしそうならお前は、大事にされてるんだな。
だったらオレがお前に名前つけるなんて失礼だよな・・・」
それにこのネコは、今夜限りのお客さまなのかもしれない。
ネコは、遊戯の様子を盗み見していた。
何か言いたそうに・・・
それを期にネコは、時折遊戯の部屋に来るようになった。
ただ毎夜とは、言えないけど。
それでも遊戯は、ネコが来るのを楽しみにしながら窓を開けている。
ネコは、必ず遊戯のベッドの上で寛ぐ。
まるでソコが自分の指定席だと言わんばかりに。
そしてそれを遊戯も見とめている。
「なぁ・・・お前に名前つけていいかな?何時も『ネコ』じゃオカシイだろ?」
小首を傾げながら訪ねる遊戯。
ネコは、「ニャ〜」と一鳴きをする。
その鳴き声を肯定だと思った遊戯は、
「お前を始めてみた時オレのクラスメートを思い出したんだ。
お前の様に蒼い瞳をしたヤツで、そいつのイメージカラーが白だったんだ。
オレは、そいつの事何時も苗字で呼んでるんだ。
ソイツには、申しワケないけどお前にソイツの名前を着けたいと思ったんだ。
ソイツの名前は『海馬瀬人』って言うんだ。長身でイケ面で頭脳明晰。
非の打ち所が無いんだけど余り学校に来ない不登校児なんだぜ。」
学校で時折会う海馬。
彼がどんな性格なのか知らない。
ただ見た感じは、クールな性格だと思った。
滅多に学校に来ない所為か友達と一緒に居る所を見た事が無い。
何時も学校に来ると教室で一人本を読んでいる。
女子が遠まきで頬を染めながら海馬の事を噂している。
噂する女子や噂されている海馬が気に入らない城之内や他の男子は、海馬に対し悪態を着くけど
遊戯にとって海馬は、どうしてか気になってしまう存在なのだ。
「ソイツの名前でもある『瀬人』をお前の名前にするぜ」
嬉しそうな顔の遊戯。
何の反応も見せないネコ。
遊戯は、それを了承だと勝手に思い込みネコの名前を『瀬人』と命名したのだった。