プレゼント-1-

 


-海馬邸-

コンコン・・・

「はぁ〜い」

急いで開けられる扉。

「どうしたんだ遊戯? 兄さまと約束でもしてたのか?」

「モクバちょっとイイか?」

「いいけど・・・」

兄と遊戯の関係は、知っている。

だから遊戯が遊びに来る事に何の違和感も感じない。

ただ何時も兄の部屋に向う筈の遊戯が何故か今日に限って自分の部屋に来た。

「なぁ・・・モクバ 海馬が喜ぶモノって知ってるか?」

メイドに指示して運んで貰った紅茶。

その紅茶を思わず吹き出してしまう。

「なっ・・・何言ってんだ?」

モクバが吹き出した紅茶を拭きながら

「海馬の誕生日近いだろう?だから何かプレゼントを用意したいなぁ〜って思ったんだぜ」

顔を朱に染めながら答える。

(兄へのプレゼントってそんなの遊戯がその身を捧げればいいじゃないか)

まさか兄に何をあげればイイのか本気で言ってないよな・・・と思い遊戯の顔を見れば至って本気。

「な・・・モクバ」

懇願する様な表情。それが誘っている様に見える。

(小学生のオレにそんな瞳を向けるなぁ!!)

ドキドキしてしまう。

(兄さまは、あんな遊戯の表情を何時も見ているのか?

これじゃ兄さまじゃなくても落ちてしまうぜ)

何時も凛とした姿勢で居る遊戯の予想外な一面。

「なぁ本当に兄さまが何を望んでいるのか解らないのか?」

「解らないから聞きに来たんだぜ」

まぁ確かに知っていればこんな質問なんてしてこないだろう・・・

「う〜ん 解ったぜオレが用意してやる。

但しオレが用意するのは、プレゼントの方じゃないぜ

オレが用意するのは、時間。だから遊戯は、25日にオレの部屋に来るといいぜ」

「?」

何故と訪ねたかった。でもここは、モクバの言う通りにしようと決めた。

その日は、別に海馬との約束は、無かったので遊戯は、帰宅しようとしたが執事が海馬に連絡を

入れたらしく玄関ホールで海馬と鉢合わせになった。

「何処に行く?」

との問いに帰宅する事を告げると折角来たのだからとそのまま私室に連れて行かれる。

 

「まったく兄さまも早く遊戯の全てを自分のモノにすればいいのに・・・」

<遊戯>も遊戯に相当愚痴られてる(惚気られているが正解かも・・・)みたいだし

助け船でも出してあげないとあの2人の関係は、先に進みそうにないな・・・

オレって気苦労の多い小学生だぜ・・・

 

 

+++

 

 

「ねぇ・・・かいばぁ・・・もう我慢出来ない・・・早くオレの内に来てぇ」

紅い瞳を潤ませ熱い吐息を吐きながら強請る遊戯。

「何だ?もう欲しいのか?」

そんな俺の言葉に

「意地悪を言ってじらすのなら焦らすならココに入れてあげないぜ」

足を広げ海馬の欲望の全てを受け入れる場所を晒す。

モノ欲しげにヒクツク場所から目が離せない。

あの場所が与えてくれる悦を知っているから・・・喉が乾く・・・

「俺を焦らすつもりか?貴様の中に入れさせろ」

ヌプッ・・・

「ああ〜ん はぁ海馬そんな・・・激しい・・・」

貴様の熱い内肉の歓待を受けてノラリクラリとやってられるか!

 

遊戯の腰を掴み激しく揺さぶる。

「はぁはぁ・・・くっ・・・」

我慢出来ないイッテしまう・・・

ガバァ!!!

「はぁはぁはぁ・・・」

薄暗い部屋で目が覚める。

隣に居る筈も無い相手を探してしまう。

下肢に感じる違和感。

触れてみればグチュ・・・と粘液が手に付着する。

余りの気持ち悪さに急いでバスルームに入りシャワーのコックを捻ると冷水を頭から浴びた。

(くそ〜またしても夢か!この海馬瀬人が夢精をしてしまうなんて)

遊戯と躰を繋ぐ夢を何度見ただろう。

まさか自分が惚れた相手の躰に指一本触れられぬとは。

だが仕方が無い相手は、純粋無垢な魂を持っているのだ。

きっと性欲なんて言葉とは、無縁なのかもしれない。

それを汚す事に怯えているのかもしれない。

 

+++

 

「なぁ相棒 海馬は、どうしてオレに触れてこないんだろう?」

「もしかしてキスより先には、進んでないの?」

ベッドの中 双子の兄に相談をする遊戯。

「オレは、海馬の恋人じゃないのかな?こう言うのってオレから誘うモノなのか?」

「クスクス・・・多分海馬君は、手が出せない程君の事が好きで好きで仕方が無いんだよ。

だから誘うなんて事しなくていいよ。それにモクバ君がちゃんとお膳立てしてくれるって

古典的だけど君の全てを海馬君の誕生日に捧げられる様にね」

この計画は、既にモクバ君には、連絡済みなんだよね。

「安心してよ」

「ああ・・・」

それにしても海馬君って無理矢理もう一人の僕を襲うのかと思ったけどまさか奥手だったとは、

予想外だよ。

それとももう一人の僕が余りにも純粋だから手が出せないとか?

はははぁ・・・在りえるかな?

 

 

 

---25日海馬邸モクバの私室---

「モクバ 今日海馬は?」

「敷地内にある離れに重役共が勝手に主催している誕生日会と称した御見合いパーティに出席中だよ。

まぁ遊戯がそんな事気にする事ないけどな。」

遊戯は、兄さまが唯一自分の伴侶に認めた相手だから。

 

(御見合いパーティ・・・もしかしたらそこで素的な女性と廻りあい即婚約とかにならないよな?)

「それより遊戯 これ飲んでくれる?」

指し出されたグラスには、透明の液体。

「これは?」

小首を傾げながら訪ねると

「リラックスする為だよ 余り緊張していると喉が乾くし大事な打ち合わせが出来ないぜ」

「そうか・・・」

確かに今の自分は、緊張からくる喉の乾きを感じている。

何の疑いも無く遊戯は、グラスの中の液体を水だと思い込み飲み干し空いたグラスをモクバに渡す。

「あれ・・・?」

急に襲い来る眠気。何も考えられない。

「モ・・・ク・・・」

目の前に居るモクバが歪んで見える。

ドタッ・・・

「河豚田 遊戯を着替えさせ兄さまの部屋に運ぶんだ!」

隣の部屋に待機していた河豚田は、モクバの指示通り遊戯を抱えあげ一先ず海馬の部屋

へと向った。

「後は、兄さまが帰宅してくる時間だけ・・・」

そこは、既に磯野と打ち合わせ済みだが如何せん今回のパーティを主催しているのは、古狸共だ。

簡単に兄を帰すとは、思えない。

まぁこっちには、奥の手が有るからイザと言う時に使わせてもらう。

 

 

+++

 

「瀬人さま」

磯野が海馬に話し掛ける。

「フン 一通りの挨拶は、済ませた。疲れたから部屋に戻る」

「承知しました。」

恭しく頭を下げる磯野の前を通り過ぎ海馬は、出口に向う。

「社長 何処に行かれるのです?」

「部屋に戻るだけだ」

「しかし・・・」

「恐れ入ります。堵塚部長・・・」

磯野は、海馬から見えない様に内ポケットから写真を1枚見せる。

そこに写っているのは、女装している堵塚部長の姿。

「貴方の御趣味を御婦人に・・・」

「そっ・・・それは・・・」

冷や汗を流す堵塚部長。

彼の趣味は、女装。しかも婦人には、内緒で・・・まぁ婦人にバレタらタダでは、済まないだろう。

堵塚部長は、恐妻家なのだ。

「瀬人さま御部屋の方でゆっくり休んで下さい」

磯野が何をしたのか気には、なったが敢えて聞く気には、なれなかった。

(遊戯のヤツ 自分の恋人の誕生日に祝いに来ないつもりなのか?薄情なヤツだ)

そうは、思いつつも遊戯が来ない理由は、自分でも解っているつもりだった。

忙しい自分に気を使っているのだ。でも遊戯が居ればどんな疲れも癒されるのに・・・

 

本館に戻り部屋に向おうとした時

「兄さま パーティは、終わったの?」

「フン くだらん連中に対しての挨拶は、終わらせた。その後居る理由も無い」

「じゃ部屋に戻って休むんだね」

「ああ・・・」

「兄さまお休みなさい」

(遊戯と素的な一夜を楽しんでね)

「お休み」

それだけを言うと海馬は、部屋に戻った。



戻る | -2-