変貌-1-
朝目が覚める。
簡易的なキッチンに置かれている家電製品。
ジャックが何処からか持って来たジャンクを遊星が修理して使えるようにする。
今重宝しているのは、冷蔵庫だ。
その冷蔵庫を開けると昨夜ジャックの為に用意していおた夕飯が未だ手付かずのまま入っている。
どうやら夕べは、帰って来なかった様だ。
ジャックには、何度も「泊まって来るのなら事前に言う様にしろ」と言っているのに全然守ってくれない。
まぁアイツらしいと言えばアイツらしいのだが・・・
だがこのサテライトでは、食料も貴重なのだ。無駄に出来ない。
遊星は、ジャックが食べなかった夕飯をレンジに入れ温め直している間にペットボトルの水をそのまま口に
着けて飲む。
ジャックが何処からか仕入れて来たミネラルウォータ。
朝食を終え食器を片付けると昨日持ち帰って来たジャンクの中から直せば使えそうなモノを選ぶ。
使えないモノだって部品取りとして使えるので分解して保管しておく。
そしてその中から更にD・ホイールの部品になりそうなモノを別の場所に保管しておくのだ。
拡大鏡の付いたゴーグルを着けジャンクと向き合う。
細かい作業の時は、素手で行ったりピンセットを使う。
溶接が必要ならグローグをはめ面を着ける。
溶接をし過ぎると目がチカチカして見難いのと少し視力が低下するので余りしたくは、無い。
それでも仕事だと割り切れば我慢は、する。
ガタ・・・
何しかし等物音が聞こえて来る。大方ジャックが帰って来たのだろう。
余ほどの事が無い限り出迎えてやる。その際には、小言も少し言ってやるのだが・・・
何時もと様子が違うジャックに遊星の眉間に皺が寄る。
何時も畏怖堂々としているこの男の躰からアルコールの臭い。
そして微かにだが艶めかしい女の匂い。
女の匂いは、今までに何度と無くしてたから余り気にならないがここまでアルコールの臭いを漂わせて帰って来た
事なんて今迄無かった。
ふらついているジャックの躰を支えてやりながら
「お前 酒の飲みすぎだ」
と苦言する。
「酒の飲めん貴様に言われたく無い」
カチンと来る物言いだが本当の事なので言い返し難い。
それに今そんな事言ってる場合じゃない。
ジャックを何とか寝室まで運ぶとそのままベッドに寝かせ様とするが腕を掴まれ引き寄せられジャックの躰の上に
横たわってしまう。
「あ・・・危ないだろう!!」
何とか上体を起したものの腰を掴まれてしまい降りる事が出来ない。
ジャックの下腹部に座る形になる。
「イイ光景だ」
と見上げて来る紫の瞳。
ジャックの言っている意味が解らない遊星の眉間には、皺が寄る。
「このまま貴様と繋がりたい」
言うが早いか上下で入れ替わってしまう。
「ぐっ・・・何をするんだ?」
「この状況に陥って解らないのか?」
シャツの裾から差しこまれる手。
脇腹を伝い上へ上へと向う。
その手の動きにゾクッとしてしまう。
(まさか・・・)と思ってしまう心とそれを否定する心が入り乱れる。
「何をするんだ!!ヤメ・・・」
激しく抵抗をしてくる遊星にジャックは、
「ジャジャ馬を馴らすのも一興。だが余り抵抗されても事が進み難い。」
己が腰に捲かれているベルトを外すと遊星の両手首を一纏めに拘束しベッドヘッドに固定する。
「離せ!!」
両手首を固定されているものの両足は、自由に動かせる。
遊星を身を捩り渾身の一撃と言わんばかりにジャックに蹴りを入れるがそれをたやすく受け止めれてしまう。
「俺が貴様を俺だけの女にしてやる」
++++
信じられなかった。
ジャックがこんな事をしてくるなんて・・・
サテライトでは、女の絶対数が少ない。だから男同士でヤルのは、知っているし何時かは自分もそう言う相手
が出来ると心の何処かで思っていた。
だがその時は、互いが互いの事を想いあってヤルのだと思っていた。
だが今自分が置かれている立場は、互いが互いを想いあってしているわけじゃない。
両手首を拘束された一方的な行為。
何度も何度も「嫌だ」と言った。
でも自分の躰に舌を這わし撫でまわしているこの男の耳には、入ってない。
遊星の腰を高く持ち上げ後孔に亀頭をメリ込ませた状態で太股に触れながら
「貴様の太股は、柔らかくて滑やかだな」
ウットリとした表情を浮かべる。
拘束され組み敷かれている遊星にしてみば言葉にならない苦痛を強いられているに過ぎない。
幾ら解されているとは、言え受け入れる機能の無い場所を最大にまで広げられ亀頭が挿し込まれているのだ。
引き裂かれそうな痛みと熱さに声が出ない。
「貴様が俺に感じ俺によって啼く声が聞きたい」
愛撫を施している間遊星の感じる声を聞く事が無かった。
決して遊星は、声を圧し殺していたワケでは無い。
余りにも性急に後孔を解しにかかられてまともな愛撫を施されてないのだ。
それ故に遊星が感じたのは、痛みのみ。苦痛に喘ぐしかなかったのだ。
「貴様の中に俺の証を注ぎ込んでやる。このキングの精を貴様の中に」
そう宣言すると容赦無く一気に最奥めがけて突き進む。
「!!!!」
入り口を擦る熱に意識が飛びそうになる。
いっそうの事このまま気を失った方がましかもしれない。
蒼白になる顔。衝撃の余り口を閉じる事も出来ない。
涙と唾液で濡れている。
いきなり入って来た異物を押し出そうと煽動し締め付ける内肉。
「・・・くっ・・・」
思わず呻き声を上げてしまうが
「貴様の中は、最高に気持ちがいい。どんな女を抱こうがこんなに気持ちいいのは、初めてだぞ」
ズキッ・・・ジャックの声は、遊星に届いてない筈なのに痛む胸。
そしてジャックの声は、遊星からの締め付けに喜び浸っている様だった。
遊星に脹ら脛に口付けをすると
「貴様の中を堪能させてもらおう」
律動を開始しする。
ガクガクと揺らされる躰。
ジャックの耳に届くのは、遊星の苦痛の声。
目に入るのは、蒼白な顔と萎縮している茎の様な男根。
その男根を掴むと一瞬だが遊星の躰がビクッと反応する。そしてその男根を上下に扱きだすと。
「・・・はぅ・・・ああぁあ・・・」
苦痛の声以外の声を耳にする事が出来た。
どれだけ扱いていたのだろうか萎縮していた男根が次第に太さと固さを持ち出し自分の力で勃起し始める。
そして中道のある一点を突いた時遊星の腰がしなり声が一段と高くなった。
「ココか・・・ココに貴様の性感帯が在るのだな」
遊星の前立腺を見つけたジャックは、ソコを容赦無く責め続ける。
留まる事の無い妖艶な喘ぎ声。
その声が更にジャックの欲望を駆り立てる。
++++
どれだけこの行為に没頭したのだろう?
ベッドの上で力無く横たわる遊星。
その手首は、赤く擦り切れている。
そして自分を受け入れていた場所からは、自分が放った白濁とした粘液が零れ出している。
何度も拒絶された。それなのに・・・拒絶されても遊星が欲しかった。我慢の限界だった。
今までに何度も遊星を襲いそうになった。
だが彼を自分の欲望で汚したくなかった。傷つけたくなかった。
大切に守り同意の上で彼を抱きたかった。
だから自分の中で欲望が鎌首を持ち上げ始めると外に出て女と夜を共にしていたのだ。
そして女を抱く度に
(何故目の前に居るのは、遊星じゃない?この女を抱いても自分の欲望は、満たされない)
思っていた疑問。
昨夜も女と共に居た。酒も自分らしくなく煽る程飲んだ。
そして帰って来ると自分の欲望の対象が目の前で出迎えてくれた。
もう抑えられないと思うと同時に遊星を襲い貪っていたのだ。
満たされた躰。満たされない心。
きっと遊星は、自分に愛想をつかし離れ行くかも知れない。
遊星と離れて暮らすなんて自分には、出来ない。
もしそうなったら俺は、遊星を鎖に繋ぎ俺の傍から離れない様にするだろう。