変貌-5-


遊星から初めて施される口付けは、何処か甘く感じられる。

このまま堪能していたい気持ちになる。

ただ重ねているだけなのに・・・

それでも自分が想っている相手からされているのだと想えば子供同士がするの様なキスもドキドキするのだと

知った。

 

ジャックは、遊星の背に自分の腕を回し抱きしめながら床に寝かせる。

圧し掛かるジャックの重み。

その重みに抵抗する様子を見せない。

離され口付け。

唾液を交換する様なキスじゃないので息が上がる事は、無いが初めて自分から大胆な行動をしたのだと自覚した

遊星の顔は、酸欠でも起しているかのように赤い。

「遊星・・・俺は、貴様を抱きたい・・・性欲処理とかじゃなく貴様の事が手に入れたい程好きだから・・・」

初めて言えた積年の想い・・・

蒼い瞳を丸く見開きながらやや目許を朱に染め。

「オレを想って抱いてくれるのなら・・・イイぜ・・・」

自分に意見を・・・同意を求めてくれるのなら・・・

性欲処理の道具じゃなく自分を想ってしてくれるのなら。

全てを委ねも構わないと思った。

 

 

 

++++

 

「あ・・・ふぅ・・・はあぁぁぁ・・・・」

こんな熱い波は、知らない。

初めて抱かれた時には、感じなかった波に飲みこまれてしまう。

一方的に行われているワケじゃない。

両手は、自由に動く。

その両手でジャックにしっかりしがみつく。そうでもしないと波から助からない様な気がしたから。

「・・・せぃ・・・ゆぅ・・・」

自分が想っている相手との行為がこんなに甘く気持ちが良いものだとは、思わなかった。

以前遊星を抱いた時両手を拘束し動きを封じたうえで無理矢理犯した。

躰の充足。心の空洞。

欲しかったとは、言えその後遊星が自分から『離れるのは?』と言う恐怖に襲われてしまう。

そして女々しい思いながらも眠る遊星に口付けをしながら彼が自分から離れて行かない事自分の想いが

彼に伝わる事を祈った。

遊星を組み敷きながらその願いが通じたと思った。

この行為を承諾してくれたと言う事は、遊星が心が自分の手に入ったと思ってもいいのだろうか?

承諾するのと心を手に入れるのとでは、違うから・・・

でも無理矢理躰を繋いだ時の様な抵抗も恐怖の顔も今の遊星には、無い。

快楽に身を委ね昂ぶらせる様な嬌声を上げ吐精を促す様な締め付けを与えて来る。

互いが求め合う事がこんなに気持ちが良いなんて・・・思いもしなかった。

 

++++

 

遊星を胸に抱きしめながら余韻に浸る。

こう言う甘い時間は、女は好み男は何も感じないと言う。

これは、男女の脳の違いにあると言うが・・・やっとの想いで手に入れた相手を抱きしめながら甘い時間に

浸るのも悪く無いと思う。

「なぁ・・・」

「ん?」

「顔の傷痛まないのか?」

「貴様を手に入れる為に付いた傷なら平気だ。」

「オレの為って・・・?」

「貴様を手に入れる為に全ての女と縁を切った。」

「サテライトでは、自分の子孫を残すために女は貴重な存在だ。」

「そうだな。」

だったら何故彼は、女と手を切ったのか?と思ったがジャックの言動を考えたらその全てが自分の為だと言う

事に気が付いた。

(ジャックは、オレの為に女と関係を切ったのか?)

そう思うと申しワケ無い気持ちに陥るがもし彼が女と関係を切っていなかったら自分は、今こうして彼の腕に

抱かれていただろうか?多分自分の性格からにして抱かれていないと思う。

「貴様は、あの男と何の関係も無いのか?」

「あの男?牛尾の事か?」

自分に最近近付いて来た男と言えば牛尾しか居ない。

「アイツとは、何の関係も無い。強いて言うならデュエル相手だったと言う事だ」

牛尾がセキュリティの人間だとは、言わない。言う必要が無いと判断したためだ。

「あの男は、貴様に告白をしたと言っていたが・・・」

確かに2~3日前に突然告白をされた。

「断った・・・」

牛尾の事は、デュエル相手としか見て居なかったしジャックの事を自分は、どう想っているのか解らなかった。

そんな時簡単に答えなんて出せる筈も無く。断る事にしたのだ。

「あの男は、毎日来ていたのか?」

自分が帰って来た時遊星は、あの男の名前を呼んでいた。

極自然に何の違和感も無くj。

「・・・来ていた。お前が帰って来ているのか確認するために・・・」

(俺?)

「そんな事より・・・眠い・・・」

何度も求めあったのだ受け入れる立場だと何かと疲れるのかもしれない。

ジャックは、優しく遊星の頭を撫でながら

「少し寝よう・・・」

「ん・・・」

程無くして手に入れた温もりを抱きしめ眠りの中に・・・

目が覚めてもこの温もりは、きっと傍にあるだろうから。

 

 

 

目が覚めた時ジャックは、今一度遊星に想いを伝え遊星がそれに応じたのは、言うまでも無い。


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