密室-3-
初めての行為なのに最愛の人の心は、今ココに無い。
それを感じたアトラスは、不動の意識を自分に向くように
「俺に挿し貫かれているのに考え事ですか?」
耳元で囁き柔らかな耳朶に歯を立てる。
耳に感じる甘い声と吐息、そしてチクッと感じる痛みに不動の意識がアトラスに向けられるが反れていた意識
を急に戻したものだから快楽の波をまともに受けてしまい何を考えていたのか解らなくなってしまった。
ただ目の前に居る人物にしがみ付いていないと何処かに流されて戻れなくなってしまうかもしれないと錯覚して
しまう程に・・・。
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何度も躰を重ねた。
躰を重ねている間感じる事が無かった罪悪感。
不動は、アトラスとの行為に自分の妻子やアトラスの妻子に申しワケ無い気持ちに襲われていたが当のアトラス
は、不動を自分の胸に抱きしめ満足そうにしている。
「なぁ・・・こんな行為は、許される事じゃない。これが最初で最後だ・・・」
腕の中でそんな事を言われアトラスは、
「それは、無理ですよ。俺は、この先何度でも貴方を求める。そして貴方は、何度でも俺を受け入れる。」
「アトラス!!」
「確かに俺にとって妻や子は、愛してるし大切な家族だ。だが俺が本心から求めるモノでは、無い。
俺が本心から求めるのは、貴方だけ。俺は、貴方と共に居たい。俺の嘘、偽りの無い本心だ。」
「だが・・・」
自分に向けられるアトラスの想い。
まるでプロポーズの様にさえ聞える。
「俺は、貴方と離れるつもりは無いが貴方だって俺を手放す気なんて無いんだろう?」
「・・・」
「俺程の優秀なスタッフなんて居ないし貴方の隠された気持ちを曝け出してくれる相手も俺以外に居ない。」
何て横柄な男なんだろう。
だが彼の言う様に彼程の優秀なスタッフが居ないのも事実。
閉ざされた気持ちを曝け出す事なんて出来るのかどうか解らないけど多分彼の言う様に彼にだけは、曝し出す
かもしれない。
これほど自分にとって都合の良い相手なんて居ないかもしれない。
その代価に己が身を挿し出す・・・そう思えば幾分気持ちが楽になった様な気がする。
少し晴れやかになった不動の表情を見て
「では、もう一度貴方を味あわせて頂きましょうか。」
言うが早いかアトラスは、不動を組敷き嬉しそうな表情を浮かべる。
「ちょ・・・ちょっと待て。何回する気なんだ?」
初めての行為だと言うのに既に3回は、イかされた。
躰が重くて限界なのだ。
「何回でも。俺は、貴方と繋がって居たい。それにココは、密室。
貴方の許可無くこの部屋に入って来れる者なんていない。
それにこの可愛い蕾の中にも・・・」
アトラスを受け入れて未だ柔らかく口を開く場所に男根の先端を這わしゆっくりと飲み込ませる。
「あっ・・・んん・・・・」
大きく見開きその後強く瞼を閉じる不動の額に口付け。
「未だ就業開始時間まで時間がある。貴方の温もりをもっと感じたい。俺の温もりをもっと感じて欲しい。」
甘く囁かれる言葉。
きっと不動自身が研究所に泊まる度に彼も泊まり込むだろう。
そしてその度に快楽と言う名の宴が繰り広げられる。
誰にも言う事を禁じられた2人だけの甘い秘密。
この研究室と名付けられた密室で・・・。